「Firefox 10」ベータ版が近日公開、法人向け延長サポート版も導入を検討中


 Mozilla Japanは21日、「Firefox 9」の正式版が公開されたことに伴い、近日中に公開が予定されている「Firefox 10」ベータ版の新機能と、法人ユーザー向けの延長サポートリリース版の提供について紹介した。

 「Firefox 9」が正式版となったことで、次期バージョンの「Firefox 10」はベータチャンネルでの開発に切り替わる。ベータチャンネルでは安定性や互換性の修正が行われるのみで、ベータ版として公開後は基本的に新機能の追加は行われない。

 Firefox 10では、アドオンのバージョン互換性が柔軟に判断され、原則としてアドオンは後方互換性があるものとして扱われるようになる。これにより、Mozillaのアドオンサイト以外で配布されているアドオンなども、バージョンアップがあった場合でもインストールできるようになる。

 ユーザーインターフェイス面では、「進む」ボタンが無効な場合には表示されなくなり、有効な時のみスライド表示されるようになる。また、HTML5ビデオの右クリックメニューには、現在の画面を静止画として保存する「スナップショットを保存」と、動画のサイズやフレーム数などを表示する「統計情報を表示」メニューが追加。ブックマークなどのデータを同期する「Firefox Sync」についても、設定を簡単にした。

 ウェブ開発者向けには、HTMLの各要素を調査して属性やスタイルをリアルタイム編集できる「インスペクタ」を開発者ツールに追加。CSSの3D Transformへの対応や、WebGLでのアンチエイリアスのサポート、フルスクリーンAPIの対応などが行われる。

 Android向けのFirefoxでは、メモリ使用量を大幅に削減。また、バッテリー駆動を行なっているかどうかや、バッテリー残量などを把握できるバッテリーステータスAPIに対応する(Android版およびLinux版のみ)。

法人向けの「延長サポートリリース版」、Firefox 10からの導入を計画

 Mozillaでは、2011年夏から「高速リリースサイクル」を導入し、6週間おきにFirefoxとThunderbirdの新バージョンをリリースしている。今回、Firefox 9が正式版として公開されたことに伴い、次のバージョンとなるFirefox 10のベータ版も近日中に公開され、Firefox 10の正式版は2012年1月31日に公開の予定となっている。

 新バージョンの正式版が公開されると、以前のバージョンはサポート対象外となるため、より長期のサポートを求める法人ユーザーのニーズに応える形で、Mozillaでは延長サポートリリース版(ESR版)の提供を行うことを検討している。現時点ではまだ正式決定ではないが、次のFirefox 10からESR版の提供を開始することが提案されており、ESR版では通常のFirefoxのバージョンアップと同じタイミングで、セキュリティや安定性に関する修正のみを行ったマイナーバージョンアップを提供する。

 現在の提案では、ESR版は通常のFirefoxの7バージョン(42週)ごとにメジャーバージョンアップが行われる。Firefox 10で最初のESR版が提供された場合、次のESR版はFirefox 17と同じタイミングでリリースされる。最低2バージョンの間は新旧両バージョンをサポートするため、ESR版は最低9バージョン(54週)の間継続してサポートされることになる。なお、Android向けのFirefoxについては、ESR版の提供予定はないとしている。

延長サポートリリース版の提供イメージ(Mozilla Developer Streetより)

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(三柳 英樹)

2011/12/21 17:54