「LibreOffice 3.5」公開、安定性が向上するもビジネス利用はまだ推奨せず


 The Document Foundationは14日、フリーのオフィススイート「LibreOffice」の新バージョンとなる「LibreOffice 3.5」を公開した。Windows、Mac OS、Linuxに対応しており、無料でダウンロードできる。なお、ポータブルビルドバージョンは現在「3.4.5」で、近日中に「3.5」にアップデートされる予定だ。

 The Document Foundationによると、現時点でLibreOffice 3.5は「パワーユーザー向け」との位置付けであり、ビジネス利用を含む「より保守的なユーザー」は現行の3.4系列を利用し続けるよう推奨している。

 LibreOfficeは、OpenOfficeプロジェクトから派生して以来、3度目のメジャーアップデートとなる。過去のメジャーアップデート時にも、保守的ユーザーに対しては当面の間、前バージョン系列の利用を推奨していた経緯がある。

 今回のメジャーアップデートでは多くの新機能が追加されたほか、バグの修正と安定性の向上が図られている。

 ワープロ「Writer」では、ビルトインの文法チェッカーがこれまでより高速かつ正確になったという。英語、ハンガリー語、ロシア語に対応する。また、リアルタイムに更新するワードカウントウィンドウ、ヘッダーやフッター、ページブレイク表示の新ユーザーインターフェイスも含まれている。表計算ソフト「Calc」では、1万シートまでのサポート、多数のシートを含む場合のパフォーマンス向上などがある。プレゼンテーションソフト「Impress」や図形ソフト「Draw」では、Microsoft Visioからのインポートが可能になった。また、データベースソフト「Base」は、PostgreSQLネイティブドライバーが新たに統合されている。

 さらに、LibreOfficeスイート全体としては初めて、オンラインアップデートチェッカーが組み込まれ、新バージョン提供時に通知が表示されるようになった。

 なお、前バージョンのユーザーは暗号化アルゴリズムの変更に注意する必要がある。LibreOffice 3.5では、暗号化に使用するアルゴリズムをこれまでのBlowfishからAESへと変更した。そのため、3.5のユーザーは過去の暗号化ファイルを問題なく開くことができるが、3.4のユーザーは、同系列の最新バージョンである「3.4.5」にアップデートしなければ、最新バージョンの3.5で暗号化されたファイルを開くことができなくなっている。

 The Document Foundationでは、バージョン3.5の全変更点のリストを公開している。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/2/15 11:51