オープンハードウェアによる119ドル無線メッシュ端末「Mesh Potato」製品化


 途上国で格安の電話サービスを電話線も引かずに提供するための無線メッシュ端末「Mesh Potato」が製品化され、119ドルで販売されている。

 オープンソースのテレフォニーソフトウェアとオープンハードウェアによって構成され、コミュニティ電話、無線LANメッシュネットワーク、無線LANアクセスポイントに利用可能だ。防水・防塵で手のひらサイズであり、災害時の通信確保にも活用できないかとの模索も始まった。

Mesh Potato

 米非営利プロジェクトのVillage Telcoが、途上国での利用を想定して開発した。Mesh Potatoには、無線アクセスポイントとアナログ電話を接続できるジャック、メッシュネットワーキングとテレフォニーに必要なファームウェア/ソフトウェアなどが組み込まれている。すでに米国とEUの規制当局の承認を受けたとしている。

 Mesh Potatoにアナログ電話機を接続すれば、無線の届く範囲で、同じく電話機を接続したMesh Potatoとの間で通話開始が可能だ。また、Mesh Potatoをメッシュ状に敷設すれば、その地域に電話ネットワークを構築できる。

 Mesh Potatoには無線LANアクセスポイント機能もあるため、電話だけでなく、無線LANサービスを企業や地域、大学キャンパスなどに提供することもできる。単体で使用すれば、インターネット回線や携帯インターネットと組み合わせることによって、簡易無線LANアクセスポイントとして利用し、複数人にインターネット接続を提供することも可能だ。

 場合によっては、特定の地域に向けたVoIP電話会社を設立し、サービスを提供することさえ可能だとしている。

 同様の機能は米Merakiのような企業も提供している。しかし単純な用途にはオーバースペックで、しかも途上国で利用できるコストではない。大規模で高機能なメッシュ無線LANを必要としなければ、Mesh Potatoだけで十分なサービスを提供できるようになる。この途上国に向けた低コスト化が新たな用途を生み出しそうだ。

 米国ではMesh Potatoを使用し、災害時の通信確保に活用することを検討するエンジニアも出てきている。

 また、本来の用途として、途上国で低コストに素早く電話サービスを提供するために、南アフリカや東チモールで利用され始めているという。

 無線や電話を利用することから、国内利用には法的規制などのハードルがありそうだが、オープンハードウェアでもあることから、オープンソースソフトウェアのようにライセンスに基づく範囲で設計を利用することもでき、このような端末の災害時利用など、さまざまなアイデアの元となるかもしれない。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/3/14 11:42