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改正著作権法が1月から全面施行、「写り込みOK」明確化

 改正著作権法が2013年1月1日から全面施行される。すでに、違法ダウンロード行為の刑罰化や、DVDに用いられる「CSS」などの暗号型技術を回避して行う複製の違法化(DVDリッピング規制)など、一部は10月1日に施行済みだった。1月以降は、いわゆる「写り込み」に関する規定や、国立国会図書館によるデジタル化資料の自動公衆送信に係る規定なども施行される。

 いわゆる「写り込み」に関する規定ではまず、付随対象著作物としての利用(第30条の2関係)が、著作権侵害に当たらなくなる。具体的には写真やビデオ撮影の際、背景に著作物であるキャラクターが写り込んでしまったり、キャラクターが写り込んだ写真をブログに掲載するといった行為が含まれる。このような「写り込み」の利用は従来、厳密には著作権侵害に問われる恐れがあったが、2013年1月以降は侵害行為に当たらなくなることが明確化された。

 なお、「写り込み」として認められるのは、「軽微な構成部分となるものに限る」とされている。「軽微な構成部分」であるかどうかは、著作物の種類などに照らし、個別の事案で判断されるもので、あらかじめ定量的な割合が決まっているものではない。また、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合はこの限りではない」とのただし書きもあり、個別・具体事例に応じて司法の場で判断されることとなる。

 このほか、情報通信の技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用(第47条の9関係)も著作権侵害に当たらないようにする規定を整備。これにより、ネットサービスでデータの処理速度を上げる目的で、サーバー上でデータを大量複製するといった行為が、必要と認められる限度においては著作権侵害に該当しなくなる。動画共有サイトなどで、さまざまなファイル形式でサーバーにアップロードされているファイルを、統一化したファイル形式にするために必要な複製が行われる場合も含まれる。

 また、国会図書館によるデジタル化資料の自動公衆送信に係る規定は、国会図書館が絶版資料を図書館に自動公衆送信できるようにするもの。さらに、図書館が利用者の求めに応じて、国会図書館から自動公衆送信された絶版資料の一部複製を行えるようにする。

(増田 覚)