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「GALAPAGOS STORE」がEPUB3サポート、シャープの技術で“サクサク感”維持

 シャープ株式会社は22日、Android/iOS対応の電子書籍ストアサービス「GALAPAGOS STORE」において、EPUB3コンテンツを提供開始すると発表した。まずは同日より集英社と小学館が一部のコンテンツから開始し、追って早川書房などもEPUB3コンテンツを順次提供する。

 GALAPAGOS STOREではこれまで、XMDF 2.0/3.0、.book、EPUB/Open Manga Format(OMF)の各フォーマットに対応しており、これに今回、EPUB3が追加されたかたちだ。これにより、出版社や電子書籍取次事業者がEPUB3フォーマットで制作したリフロー型または固定レイアウト型コンテンツを、GALAPAGOS STOREで販売できるようになった。EPUB3コンテンツも、GALAPAGOS STOREが各種端末向けに提供している標準ビューアーアプリで閲覧できる。

EPUBコンテンツ取り扱いの流れ

 EPUBは、国際デジタル出版フォーラム(International Digital PublishingForum:IDPF)が策定したフォーマット。日本語組版に対応したその最新バージョン3.xがEPUB3になる。電子書籍の国際フォーマットということで、マルチデバイス展開を目指す出版社などで利用が増えているというが、シャープによると、「EPUB3は制作や表現の自由度が高い半面、商用展開の際はビューアーやデバイス依存の部分で違いが生じやすく、表示保障が煩雑になり、サービス品位の維持が困難」。ベースとなっているHTMLと同様、記述の幅が広いため、一口にEPUB3といっても広範な記述が可能であり、ガイドラインはあるものの制作者によって“記述ゆれ”があるという。

 その結果、ビューアーによって制作者の意図通りに表示されるものとされないものが出てくることが考えられ、出版社側でのチェックも難しく、マルチデバイス向けEPUB3コンテンツ配信の課題になっている。

 これに対してGALAPAGOS STOREでは、シャープがXDMFの開発で培ってきた電子書籍技術をEPUB3にも適用し、マルチデバイスにおける統一された表示を可能にした。また、シャープの特許技術による高速動作/省メモリのデータ構造を導入しており、大容量の電子書籍コンテンツでも瞬時に開けるような“サクサク感”も実現したという。

 シャープによると、GALAPAGOS STOREでは入稿された各フォーマットの電子書籍コンテンツをそのまま配信しているのではなく、フォーマット(.bookを除く)を変換し、DRMを付加して同ストア向けに配信パッケージ化した上で販売している。

 EPUB3についても、日本電子書籍出版社協会がまとめたガイドラインを基準とし、各出版社で制作したコンテンツの記述ゆれを修正。GALAPAGOS STOREの統一した配信形式に整形して配信している。

 また、従来よりシャープの電子書籍ではコンテンツをブロック分割して扱うことで、画面表示に必要なブロックを読み込むだけで瞬時に閲覧できるデータ構造をとっていたが、やはりこの技術もEPUB3に適用。XMDFコンテンツを閲覧しているのと同じ体感速度でEPUB3を閲覧できるようにした。通常のEPUBではファイルの冒頭から順に読み込むために、特に長編小説や全集などの大容量コンテンツで差が出るとしている。

 ビューアーの日本語レイアウト処理についても、縦書きや禁則処理、ルビ、自動段組表示、自動外字作成などに対応した従来のレイアウトエンジンにEPUB拡張を追加した仕組みとなっており、日本語のEPUB3電子書籍を「速く」「読みやすく」「正しく」表示できるとしている。

シャープの電子書籍技術

 GALAPAGOS STOREの電子書籍技術を事業者向けに提供するソリューションにおいてもEPUB3対応を行った。EPUB3コンテンツの記述ゆれを整形したり、ブロック分割やDRM対応などを行える配信フォーマット変換ツールを用意するほか、電子書籍ストアや出版社が自社ブランドなどで展開できるビューアーアプリ「Book-in-the-box」においてもEPUB3に対応した。また、すでにXDMFを採用している電子書籍ストアにも、EPUB3に追加対応できるビューアー拡張エンジンを提供する。

GALAPAGOS STOREの対応フォーマット展開

 2月20日現在、GALAPAGOS STOREでは出版社約800社のコンテンツを取り扱っており、ラインナップは約9万点に上る。内訳は、書籍が約5万2000冊、コミックが約3万4000冊、雑誌が約4500冊、新聞が3紙、辞書が38冊。

デジタル情報家電事業本部モバイルソリューション事業部長の辰巳剛司氏
デジタル情報家電事業本部モバイルソリューション事業部ネットワークソリューション推進部サービス推進グループチーフの松本融氏

(永沢 茂)