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簿記を知らなくても使える会計ソフト「freee」、グーグル卒業生が開発
(2013/3/19 17:19)
株式会社CFOは19日、銀行やクレジットカードのウェブアカウントと同期し、会計帳簿を自動的に作成するクラウド型会計サービス「freee(フリー)」を公開した。料金は青色申告に対応する個人事業主プランが月額980円、会社法に対応する法人プランが月額1980円、機能を省略した無料版もある。6月末まで全プラン無料。いずれも3ユーザーまで利用可能。
freeeは、銀行やクレジットカードのウェブ口座の明細からテキストを解析し、自動で会計帳簿データに変換してくれるサービス。テキスト解析が間違っている場合は、「飲食費」「営業関連の支払い」「物品の購入等」といったメニューから正しい勘定科目を指定できる。
CFO代表取締役の佐々木大輔氏は、「テキスト解析が間違っていても、IMEの変換候補のように勘定科目がヒントとして表示されるため、簿記の知識がなくても簡単に使える」と説明する。
機能面ではさらに、売掛・買掛管理や出納帳、仕訳帳、総勘定元帳をサポート。経営状況をグラフで表示するレポートや、青色申告や会社法に対応した決算書を出力することが可能だ。
作成した会計帳簿はクラウドに保存され、PCやスマートフォン、タブレットのブラウザーからアクセスできる。セキュリティ面では暗号化通信やデータの暗号化保存を行うほか、第三者認証の「TRUSTe」を取得。メールによる無料サポートも行う。
freeeと連携可能な銀行はみずほ、三井住友、三菱東京UFJ、りそな、楽天、ゆうちょ、ジャパンネット、住友SBIネットの8行、クレジットカードはJCB、三井住友VISAカード、UCカード、セゾンカード、MUFGカード、DCカード、楽天カード、アメリカン・エクスプレス、NICOSカードの9社。
会計専任者がいない個人・中小事業者がターゲット
CFOは、元グーグルの佐々木氏が2012年7月に設立。佐々木氏は2008年にグーグルに入社し、日本におけるマーケティング戦略立案、Google マップのパートナーシップ開発、日本・アジアパシフィック地域の中小企業向けマーケティング統括などを手がけてきた。2012年12月にはシリコンバレーのベンチャーキャピタル「DCM」より約5000万円の出資を受けた。
グーグルには、業務時間の20%で自分の好きなことをやってもよいという「20%ルール」があり、Google NewsやAdSenseが生まれたことでも知られる。佐々木氏は20%ルールでfreeeを開発するつもりはなかったと振り返る。
「今でこそコードを書いているが、当時はエンジニアではなかったし、以前から起業したい気持ちが強かった。海外ではGoogle卒業生のスタートアップは多いが、自分もそうなりたかった。」
「経営者がより創造的な活動に注力できる環境を作りたかった」と、会計サービスを立ち上げた佐々木氏。経理業務の問題点として、「入出金を手入力したり、大量の書類を整理するのが面倒。既存の会計ソフトを使いこなすには複式簿記の知識が必要とされる」と指摘する。これに対してfreeeは、会計知識がなくても使えるのが特徴といい、経理専任者がいない中小企業や個人事業主を中心に、初年度1万アカウントの導入を目指す。
今後は請求書の発行やAPI公開、スマートフォン向けアプリ公開などを予定している。