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悪質サイトの多くが広告収入目的、警察庁有識者会議が対策強化を提言

 警察庁の総合セキュリティ対策会議は、ネット上の違法・有害情報対策についてまとめた2012年度の報告書を公表した。

 違法・有害情報を掲載しているサイトの現状としては、こうしたサイト開設者の多くが広告収入を得ているという実態があると指摘。広告事業者による審査後に違法・有害情報を掲載し、削除に応じないような悪質サイトに変貌するケースが見受けられ、こうしたサイトはアクセス数を上げるために違法性がエスカレートしていき、それに伴って多くの広告料が報酬として悪質サイト管理者に流れている状況が見られるという。

 インターネット・ホットラインセンター(IHC)からの削除依頼に応じないサイトを対象として2012年8月6日~9月5日の1カ月間に実施した調査では、警察庁が削除されていないことを確認できた95件の違法・有害情報のうち、同じページに広告が掲載されていたものが44件あった。また、2010年~2011年の2年間におけるサイト管理者の検挙事例では、18件のうち13件が広告収入を得ており、広告収入額が判明した11件の最高額は7億5000万円、最低額は2万5000円、中央値は190万円となった。

 検挙事例としては、いずれもインターネット掲示板を開設し、児童ポルノを不特定多数のユーザーが閲覧できるようにしていた管理者が1年間で約190万円の広告料収入を得ていたケースや、薬物売買の投稿を放置していた管理者が約1年8カ月間で約311万円の広告料収入を得ていたケース、わいせつ画像の投稿を放置していた管理者が約2年4カ月間で約4600万円の広告料収入を得ていたケースなどを挙げている。

 総合セキュリティ対策会議では、広告料収入を目的とした悪質サイトを抑止するため、IHCから広告業界に悪質サイトの情報提供を行うとともに、広告業界が情報提供を受けて悪質サイトへの広告配信停止などの措置を自主的に取ること、新たな隠語などの情報を官民で交換することでクローリングなどにより悪質サイトの早期排除を促進することなどを提言している。

 匿名で自由に書き込みや画像の投稿を行うことが可能な「匿名サイト」の状況についても、広告掲載状況調査と同じく、IHCからの削除依頼に応じない違法・有害情報掲載サイトを対象として実態調査を実施。違法・有害情報の削除が確認できなかった95件のうち、匿名サイトのものが63件を占めていた。

 2010年~2011年の検挙事例18件のうち、匿名サイトのものは16件。16件のうち、管理体制が1人のものは11件、削除依頼への対応がないものは11件、自主的削除を行っていないものが12件で、検挙されたサイト管理者においてはほとんどが匿名サイトの管理者であり、多くで自主的削除の措置が取られていないという。

 総合セキュリティ対策会議では、匿名サイトの自主的管理強化を促進するための今後のあり方として、電気通信事業関連4団体が策定したIHCや警察からの依頼に対する手続きなどを定めたガイドラインや、違法・有害情報に関する禁止事項や削除規定などを定めた契約約款モデル条項について、普及促進のための啓発活動を強化することを提言している。

 また、警察庁の委託事業として運営されているIHCが、2012年度行政事業レビューで「抜本的改善」の評価を受けたことを踏まえて、IHCの民間費用負担のあり方について行った検討については、「国民の利便やインターネットの環境浄化の必要性にかんがみ、国民がインターネットを安全に安心して利活用できるよう、そのニーズを模索しつつ、引き続き検討を重ねるべきである」としている。

(三柳 英樹)