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自炊代行を健全な業界に、ブックスキャンが「日本蔵書電子化事業者協会」発足

 株式会社ブックスキャンは15日、個人が安心して蔵書の電子化を行うための環境作りを目指す団体「日本蔵書電子化事業者協会(仮称)」の設立準備会を発足した。裁断機やスキャナーを用いて蔵書を電子化する、いわゆる“自炊”を代行する事業について、著者や出版社の利益を損なわないよう配慮しつつ、蔵書の電子化を希望する利用者のニーズを満たす業界ルールを策定することが狙いだという。

 設立準備会では、蔵書電子化サービス「BOOKSCAN」を運営するブックスキャンが中心となり、蔵書の電子化サービスを行なっている他の事業者に参加を呼びかける。健全な業界ルールの制定や利用者の啓発活動について議論するという。著作権者が中心となって発足した「Myブック変換協議会」や有識者とも協議を進め、著者や出版社への還元を行うためのルール・環境づくりに取り組む。

 設立準備会の会長にはブックスキャン代表取締役社長の岩松慎弥氏、副会長には同社執行役員副社長の藤田剛士氏が就任。メンバーとしては、自炊代行サービスを提供する山セ(群馬県伊勢崎市)やFIVE GIVES(東京都渋谷区)、SGIシステム(東京都西日暮里)が参画しているほか、有識者の参加も予定している。

自炊代行を装う悪質業者の存在も報道、「業種としての確立が重要な課題」

 蔵書の電子化をめぐっては、日本文藝家協会、日本写真著作権協会、日本漫画家協会、ヤフーが「Myブック変換協議会(正式名称:蔵書電子化事業連絡協議会)」を3月26日に発足。いわゆる自炊を代行する業者がスキャン済みの蔵書を処分するといったルールを策定するとともに、これを守る自炊代行業者に対して電子化を許諾する仕組みづくりを検討している。

 こうした中でブックスキャンは、自炊代行業者を装い、海賊版を違法に販売する業者の存在が報道されるなど、「業種としての確立が重要な課題となっている」と判断。利用者がより安心・信頼でき、著者や出版社の利益を損なわないよう配慮した蔵書の電子化サービスを提供するための環境を業界として整備することが急務と考え、日本蔵書電子化事業者協会の設立に向けて、準備会を発足したという。

(増田 覚)