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量子コンピューター研究の喫緊の課題をゲームに、集合知で回路の最適化へ

 国立情報学研究所(NII)は28日、量子コンピューターにおけるエラー訂正手法として有力視されている「トポロジカル誤り訂正」を再現したパズルゲーム「meQuanics(メカニクス)」を公開したと発表した。体験版としてウェブアプリケーションとして公開されており、ウェブブラウザーから利用できる。プレイするには、プラグイン「Unity Web Player」のインストールが必要。

「meQuanics」体験版(遊び方説明の動画より)

 meQuanicsは、トポロジカル量子コンピューティングというモデルに基づいて構成。同モデルでは量子回路を組み上げる際に大規模な立体格子構造が用いられるが、その中にある量子回路と量子情報をパズルで表現した。プレイヤーは、格子構造の中に配置されたパズルピースを画面上で操作し、その構造をなるべく小さくするのが目的だ。「いかに回路を小さくするか?」という量子コンピューター研究における喫緊の課題をゲームにしたのだという。

 単なるゲームではなく、クラウドソーシングゲームとして公開したのがmeQuanicsの特徴。プレイすることで回路の最適化につながり、現実の量子コンピューター開発に直接結び付くよう作られているという。NIIによると、量子コンピューターを構成する回路のサイズが小さければ小さいほど、より早く実現化できると期待されているとしており、今後、iOS、Android、Windows、Mac OS、Linuxなどにも対応し、データの集積による集合知で難題解決のスピードアップを図るとしている。

(永沢 茂)