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「初音ミク V3」Win/Mac両対応で9月26日発売、英語で歌える「ENGLISH」も

 クリプトン・フューチャー・メディア株式会社は9日、歌声合成エンジン「VOCALOID3」を採用し、Windows/Mac OS両対応となった「初音ミク V3」を9月26日に発売すると発表した。オープンプライスだが、同社ウェブ販売価格は1万6800円。Windows 8/7/Vista/XPとMac OS X 10.7/10.8に対応する。

 「初音ミク V3」に、「初音ミク V3 ENGLISH」をバンドルした「初音ミク V3 バンドル」も同じく9月26日に発売する。オープンプライスだが、同社ウェブ販売価格は2万1000円。

 英語の音声ライブラリを収録した「初音ミク V3 ENGLISH」単体版については、「初音ミク V3」および「初音ミク V3 バンドル」に先行して、8月31日より全世界に向けてダウンロード販売を開始する。価格は149ドルで、日本国内でのパッケージ版の販売予定はない。

「初音ミク V3」パッケージイメージ illustration by iXima (C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
「初音ミク V3 バンドル」パッケージイメージ illustration by iXima (C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
「初音ミク V3 ENGLISH」ダウンロード版イメージ illustration by ざいん (C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

 「初音ミク V3」には、「ORIGINAL」「SWEEET」「DARK」「SOFT」「SOLID」という計5種類の歌声データベースを収録。VOCALOID3で採用された技術「トライフォン」の音素を多く含めることで、よりスムーズな音のつながりを実現したという。一方で、従来の「VOCALOID2 初音ミク」「MIKU APPEND」との互換性を重視。「愛着のある初音ミクの要素を失うことなく、これまでに作られた楽曲にもすぐに対応可能となるよう開発を進めた」としている。

データベース特徴得意なジャンル得意なテンポ得意な音域
ORIGINAL清楚で可愛らしい、オリジナル初音ミクアイドルポップス/ダンス系ポップス70~150BPMA2~E4
SWEET吐息成分を多く含み、甘くささやくような声フレンチポップ/バラード、エレクトロニカ等55~155BPMF2~D4
DARK落ち着きがあり、少し憂鬱な表情の声バラード、ジャズ、フォーク、アンビエント等60~145BPMD2~B3
SOFT全体的に物腰やわらかく、おしとやかな声ソフトロック、バラード、フォーク、アンビエント等70~150BPMA2~E4
SOLID硬く張り詰めた声質、緊張感のある声ポップス、ロック、ダンス、エレクトロ等65~160BPMD2~C4

 「初音ミク V3 ENGLISH」は、新たに開発した英語の音声ライブラリ「ENGLISH」を収録。「初音ミクの歌声はそのままに、やや落ち着いた雰囲気と、トライフォンの音素を多く含めることによる滑らかな発音」だという。

データベース特徴得意なジャンル得意なテンポ得意な音域
ENGLISH艶やかで落ち着いた、ナチュラルな英語の声ハウス、テクノ、クロスオーバー等100~130BPMB2~B3

 今回の新バージョンよりMac OSにも対応しており、まずはVSTiプラグイン形式としてMacに対応。追ってAppleの標準プラグイン形式であるAU(Audio Units)にもアップデータで対応する予定だ。

各製品は、Windows/Mac OS両方のインストーラーが同梱されたハイブリッドパッケージとなっており、どちらか一方をインストールして使用できるライセンス形態

 各パッケージには、音声ライブラリおよびVSTi対応のVOCALOIDエディターソフト「Piapro Studio」に加えて、DAWソフト「Studio One Artist Piapro Editon」や、200種類以上の楽器音源をバンドルしているのも特徴。ボーカルパートだけでなく、伴奏パートも含めて、楽曲をワンパッケージで制作できるようにした。

「Piapro Studio」操作画面。入力した音ごとに発声させて確認したり、鍵盤をクリックすることでその音程を発声できるサウンドプレビュー機能を搭載。プレビューをしやすくしたという。また、複数歌手を同時に編集しながら和音を入力できるハーモニー機能も搭載した(写真は日本語版のもの)
「Piapro Studio」操作画面。ボーカルを再生しながら(ループ再生も可能)、歌詞や音程をリアルタイムに編集できる(写真は英語版のもの)
「Piapro Studio」のロードマップ。「Piapro Studio」はこれまで「KAITO V3」向けにバージョン「0.9.0」が提供されていたが、「初音ミク V3 ENGLISH」で提供するバージョン「1.0.0」となり、MacおよびWindows 64bitに対応した。さらに、9月以降にリリースするバージョン「1.0.x」で、「初音ミク V3」「KAITO V3」以外のデータベースにも対応していく予定
(向かって左から)クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役の伊藤博之氏、開発作業のために記者発表会に出席できなかった「Piapro Studio」担当者のパネル、初音ミク制作担当の佐々木渉氏。伊藤氏によると、「初音ミク V3」に収録した歌声データベースでは、VOCALOID3技術の要であるトライフォンに対応した音素をなるべく多く活用し、滑らかさを実現しただけでなく、元の音素のバラツキを徹底的に調整し、音に磨き込みをかけたという。ただし、「もともと愛着のある初音ミクの声があり、そこから逸脱することは誰も望んでいない」とし、データベースの調整にあたっては「元のニュアンス残しつつ、丹念に磨き込みを行った」。英語用の「初音ミク V3 ENGLISH」について伊藤氏は、日本の音楽制作者が世界に出て行くための“パスポート”になるとも語った
「初音ミク V3」ビジュアルイメージ illustration by iXima (C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
「初音ミク V3 ENGLISH」ビジュアルイメージ illustration by ざいん (C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

(永沢 茂)