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「LINE MALL」を拡大、人とのつながりを活かした消費を促す5つの新サービス
(2014/8/27 21:30)
LINE株式会社は26日、ECサービス「LINE MALL」を拡大すると発表した。共同購入サービス「LINE グループ購入」、LINEの友だちに商品を贈れる「LINE ギフト」、鮮度の高い農作物・魚介類を産地直送する「LINE マルシェ」、店舗を持つセレクトショップの商品を購入できる「LINE セレクト」、クリエイターが手がけた商品の量産化を支援する「LINE クリエイターズモール」を展開する。
LINEならではの人のつながりを活かした消費を促す
記者発表会では、LINE株式会社上級執行役員コマース・メディア担当の島村武志氏が登壇した。これまでのECサービスは、ユーザーが興味を持ち、ECサービスで検索して購入するスタイルが一般的で、これを「Pull Commerce」と定義。ECサービス側は、できるだけ数多くの商品を登録して、検索してもらい購入してもらう構造が長く続いていると指摘した。
LINEではユーザーが検索する前に注目。新しいECのテーマとして「Push Commerce」を掲げ、検索する前の欲しい物を能動的に検索して購入するのではなく、商品と出会ってしまい動機がなくても購入に結び付けるものとした。
Push Commerceには、3つのポイントがあり、スマートフォンのみで販売できる「簡単に売れる」、送料込みの価格表示で複雑な購入形態を踏まない「シンプルに買える」、ウィンドウショッピングに近い感覚で利用できるアプリやセールなど「商品との出会いがある」を挙げた。
出会いを最大化する5つの新サービス
Push Commerceのポイントの「商品との出会いを最大化」は、アプリの通知や各店舗からのレコメンドが届くのではなく、LINEを通した社会的なつながりの中で生まれてくる消費を最大化。また、スマートフォンならではの、時間も距離も超えていつでもどこでもつながれる、その場に行かなければ出会えなかった商品との出会いを提供する。出会いを最大化するために、LINEは5つの新サービスを投入する。
LINEグループ購入は、LINEでつながっている人とのコミュニティを活かしてまとめ買いすることで、通常の商品価格よりも安く購入できるサービス。LINE MALL内のグループ購入対象の商品を、トークやグループに投稿し参加者を集め、最低参加数に達すると購入できる。日用品を中心とし、最大50%オフになるという。決済はユーザー別に行われ、配送はLINE MALLに設定されている住所へそれぞれ送られる。8月28日より提供開始。
LINEギフトは、ユーザー同士で商品を贈ることができるサービス。LINE MALL内の対象商品から贈りたい商品を選択し、LINEの友だちリストから送り先を選択するだけで、相手の住所を知らなくても送付できる。受取人は、LINE上で届いたメッセージから、住所や配送日を設定することで商品を受け取りできる。複数のユーザーによる決済も可能で、1つの商品を割り勘で購入できる。提供開始は今秋を予定。
LINEマルシェは、産地に行かなければ手に入れられない鮮度の高い農作物・魚介類を産地直送で購入できるサービス。数よりも品質と鮮度を重視しており、一定基準を満たす生産者のみが出店するという。正式オープンに向けて商品ラインナップを拡充し、2014年中にサービス開始予定。
LINEセレクトは、実店舗を持つセレクトショップに限りLINE MALLと契約。店舗でしか買えない商品をLINE MALL上から直接購入できるサービス。東京都内のアパレルや雑貨などのセレクトショップを中心に参加店舗を拡充し、全国各地のセレクトショップが集まる仮想ショッピングモールを目指す。
LINEクリエイターズモールは、クリエイターと工場をつなぎ、クリエイターが手がけたハンドメイド商品を量産製造できるよう、LINE MALLが支援するサービス。LINE MALLの「お気に入り」登録の機能を活用し、評価が多い商品に対して量産化のオファーを行う。量産が難しいハンドメイド商品を広くユーザーに届けるほか、クリエイターを支援する。高い技術を持つ国内製造業を活用できる。
島村氏は、便利さを前提とした上で、スマートフォンだからこそできるワクワクする出会いをもっと創出したいと意気込んだ。また、5つのサービスを組み合わせて展開も検討しているとした。
LINE MALLはLINEにしかできない価値を提供するECサービス
島村氏は、LINE MALLは、あらゆる人の売る・買うニーズに対して、LINEにしかできない価値を提供する新しいECサービスであるとし、既存のフリマアプリや他ECサービスと比較するのは難しく、フリマアプリとして他サービスと比較自体はできるが、それはLINEが目指しているECサービスとは異なるとした。
LINE株式会社上級執行役員/CSMOの舛田淳氏は、LINEが成長できた要因として「順番」と「タイミング」としており、LINE MALLにおいては、最初からLINEと連携するのではなく、まずはきちんとEC事業を回すことに注力。LINE MALLがインフラとして機能するようになった段階で、今回の新サービスを発表したという。サービスを展開する上で段階を踏む重要性を強調した。
LINEはメッセンジャーから始め、プラットフォームとして展開。今は、プラットフォームの上にプラットフォームを作る過程で、ゲームやマンガ、ニュースなどを展開する。自社で展開する理由として、競争に勝つために新しい価値を提供する必要があり、既存サービスをただLINEプラットフォームに載せるのではなく、LINEのつながりやスマートフォンでできることベースとしているとした。
LINEアカウント乗っ取りについては引き続き対策を行う
LINE MALLでは、LINE IDを認証時のみに使用し、取引にはLINE MALL IDを利用する。そのため、LINE IDの乗っ取りがもし発生した場合、LINE MALL IDと切り離すこともできる。また、クレジットカード利用時にも暗証番号を入力することで、安全性を高めているとした。また、LINE ID乗っ取りへの対策として、パスワードのユニーク化やPINコードの設定を呼び掛け、アカウントの乗っ取り件数は減少している。引き続き対策は続行するとしている。