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世界初、発電船で電力供給する「洋上データセンター」を商船三井とKaradenizが共同開発
2025年7月9日 10:55
株式会社商船三井は7月7日、世界最大級の発電船事業などを手掛けるKaradeniz Holding傘下のKinetics technologies holdings limited(Karadeniz)と、発電船から電力供給する「洋上データセンター」の共同開発に向けた基本合意書(MOU)を締結したことを発表した。“発電船から電力供給する洋上データセンター”は世界初であるとしている。
同事業は、発電船からの電力供給で洋上データセンターを運用するデジタルインフラの構築を目指している。商船三井の中古船を再利用し、洋上データセンターを建設してKaradenizの発電船から電力を供給することで、生成AIの普及などで急増するデータ処理ニーズに対応する。現在、2027年の運用開始に向けて、洋上データセンターとKaradenizの発電船の統合コンセプト設計の評価などの技術的検証が行われる予定。
洋上データセンターは、発電船と組み合わせることで、地域電力から独立して運用でき、場所を自由に変えられることも特徴。また、都市圏周辺の大規模な土地の確保および土地費用が不要になる。従来の陸上データセンター開発と比較して、洋上データセンターの改造工事は1年程度なので、最大3年短縮できるという。
コスト面では、中古船を活用することで、原材料の採掘・加工から生じる環境負荷を低減し、既存の船内システム(空調、取水、発電機など)の活用により、初期投資や建設コストの削減が見込まれるという。さらに、海水を活用した水冷システムを利用し、サーバの冷却にかかる電力消費を抑制することで運用コストの削減も可能だとしている。
商船三井では、洋上データセンターと発電船の統合事業モデルが資源不足の解消につながり、今後AIの普及とともに社会に不可欠となる新たなデジタルインフラを、迅速に提供可能になるとしている。