清水理史の「イニシャルB」【特別編】

Wi-Fi 7メッシュの新モデル登場! 機能充実のエントリー向けメッシュWi-Fiシステム TP-Link「Deco BE22」
- 提供:
- ティーピーリンクジャパン株式会社
2025年10月10日 06:00
TP-Linkから、Wi-Fi 7に対応したメッシュシステムのエントリーモデル「Deco BE22」が発売された。本日(10月10日)までのAmazon プライム感謝祭セールでは、単品が1万1730円、2台セットでは2万1930円という特別価格で販売されている。
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2882+688Mbps対応のデュアルバンド対応で、有線は1Gbps。手軽にWi-Fi 7メッシュを構築してみたい、と考えている人に適した製品と言えそうだ。早速、その実力を検証してみた。
メッシュ専用モデル「Deco」の魅力
ふと気が付くと、メッシュというカテゴリの製品が、かなり少なくなっていた。国内外のメーカーで、メッシュ「専用」のモデルを扱っているメーカーは、数えるほどしかなく、場合によってはWi-Fi 6E以前の古いモデルしかラインアップされていないケースもある。
汎用的に使えるEasyMeshの登場によって、通常のWi-Fiルーターでもメッシュ構成が可能になり、メッシュ「専用」モデルの意義が見直されつつあるわけだ。
そんな中、メッシュ専用モデルであることにこだわり、現在も新製品の拡充を続けているのがTP-Linkだ。
同社のメッシュ製品となる「Deco」シリーズは、Wi-Fi 6から最新のWi-Fi 7まで、10以上のモデルがラインアップされているが、今回、Wi-Fi 7対応のエントリーモデルとなる「Deco BE22」が新たに追加された。
メッシュ製品、中でもTP-LinkのDecoシリーズのメリットは、「最初からセットで購入できる」「設定が簡単」「複数台の制御を前提としたアプリで管理できる」「移動時の接続先の切り替え(ローミング)を細かく制御できる」「有線も組み合わせた柔軟なバックホール構成ができる」……、など数々の点が挙げられる。
もちろん、TP-Link製の一般的なWi-FiルーターもEasyMeshによるメッシュ構成が可能となっているが、Decoシリーズには、単に通信エリアを拡大できるだけでなく、複数台のアクセスポイントを使う環境ならではの課題となりがちな、設定、ローミング、バックホール、管理などを解決するための工夫が盛り込まれているわけだ。
現状、家庭内でのWi-Fiの使用状況を考えると、電波の届かない部屋や速度改善の対策で中継機を利用する、もしくは利用を検討しているケースが少なくない。それならば、最初から、複数台のアクセスポイントを、セットで、簡単に、しかも中継が最適化された状態で利用できるメッシュを、選択肢として用意しようというのがTP-Linkの考え方になる。
シンプルで主張の少ないデザイン
それでは実際の製品を見ていこう。TP-Link Deco BE22は、Wi-Fi 7ことIEEE 802.11beに対応したメッシュWi-Fiシステムだ。今回、検証に使ったモデルは2台がセットになったモデルで、実売価格は2台で2万5800円ほどとなる。
スペックは、無線が2.4GHz帯が最大688Mbps、5GHz帯が2882Mbps(いずれも2ストリーム対応)のデュアルバンドとなっており、もちろんWi-Fi 7ならではの4K QAMやMLO(クライアント接続用は標準オフ)にも対応している。
インターフェースは、有線LANが1Gbps×2となっており、Decoシリーズならではの自動判定となっている。つまり、どちらにインターネット回線をつないでもかまわない。このあたりの柔軟性も、手軽さにつながっている印象だ。
項目 | 内容 |
価格 | 2万5800円(2台セット) |
CPU | - |
メモリ | - |
無線LANチップ | - |
対応規格 | IEEE 802.11be/ax/ac/n/a/g/b |
バンド数 | 2 |
320MHz対応 | - |
最大速度(2.4GHz帯) | 688Mbps |
最大速度(5GHz帯-1) | 2882Mbps |
最大速度(5GHz帯-2) | - |
最大速度(6GHz帯) | - |
チャンネル(2.4GHz帯) | 自動選択 |
チャンネル(5GHz帯-1) | 自動選択 |
チャンネル(5GHz帯-2) | - |
チャンネル(6GHz帯) | - |
ストリーム数(2.4GHz帯) | 2 |
ストリーム数(5GHz帯-1) | 2 |
ストリーム数(5GHz帯-2) | - |
ストリーム数(6GHz帯) | - |
アンテナ | 内蔵×4 |
WPA3 | 〇 |
メッシュ | 〇 |
IPv6 | 〇 |
IPv6 over IPv4(DS-Lite) | 〇 |
IPv6 over IPv4(MAP-E) | 〇 |
有線LAN | 1Gbps×2(自動選択) |
有線WAN | ↑ |
LAG | - |
引っ越し機能 | - |
高度なセキュリティ | HomeShield |
USB | - |
USBディスク共有 | - |
VPNサーバー | 〇(回線に依存) |
DDNS | 〇 |
リモート管理機能 | 〇 |
再起動スケジュール | 〇 |
動作モード | ルーター/ブリッジ |
ファーム自動更新 | 〇 |
LEDコントロール | 〇 |
ゲーミング機能 | - |
サイズ | 150×150×62mm |
デザインは円筒形で、カラーもホワイトでシンプルな印象となっている。ロゴが中央に配置されるが本体サイズに比べて小さいので、さほど目立たない。LEDも底面側にひとつあるだけで、普段はグリーンに点灯したままなので気になることもない。もちろん、LEDコントロール機能も搭載されているので、夜間などは消灯することもできる。
見た目はコンパクトだが、実サイズは直径150mmとなっており、設置面積はそれなりに必要となる。ただ、高さが62mmと低いので、棚などに設置してしまえば目立たなくなる。Wi-Fi 7対応モデルは、どうしてもサイズが大きくなりがちだが、その中でもなるべく目立たずに設置できるように工夫されている方だと思う。
はじめてでも簡単
設定の手軽さも好印象だ。
まず、初期設定が非常に簡単だ。スマートフォン向けの「Deco」アプリから接続のガイドや設定などが簡単にできるように工夫されており、デバイスの発見から、インターネット接続回線の自動判別、Wi-Fiの設定まで、画面を見ながら簡単にできる。
特にTP-Linkは、日本市場での経験が長いこともあり、海外メーカー製品ながら国内の回線環境での設定に苦労することがない。競合の海外メーカー製品が回線の自動判別に失敗するようなシーンであっても、TP-Linkだと問題なく回線設定を完了してくれる。
実際、筆者宅では上位のDHCPサーバーに有効なホームゲートウェイが存在するASAHIネットのv6コネクト(DS-Lite)環境なのだが、こうした環境でも問題なく回線を判別し、接続設定が可能だった。
また、メッシュの構成も簡単だ。今回は、2台セットの製品を利用したが、2台目について特別な設定は不要で、1台目のセットアップ完了後、近くで電源を入れて待機させておくだけで、自動的に2台目の構成も完了した。
こうした手軽さが、冒頭で触れたメッシュ製品ならではのメリットだ。一般的なWi-Fiルーターでは、EasyMesh対応と言っても、ケーブルやWPSを使ったメッシュの設定作業が必要になるが、本製品は、そうした苦労が一切必要ない。
このほか、アプリから2台の接続状況や、それぞれに接続されているクライアントを確認できたり、スピードテストを実行したりすることもできる。また、HomeShieldによるセキュリティ機能も利用可能で、有料プランを利用することで、リアルタイムIoT保護や悪意のあるサイトのブロック、侵入防止システムなどを利用できる。
回線環境に依存するものの、Wireguardに対応したVPNサーバー機能も搭載されており(DS-Liteなどでは利用不可)、エントリーモデルとしてはかなり機能が豊富だ。
速度も十分
気になるパフォーマンスだが、問題ないレベルだ。
以下は、木造3階建ての筆者宅の1階と3階の2カ所にDeco BE22を設置し、各階でiPerf3による速度を計測した結果だ。
SSID | 方向 | 1F | 2F | 3F入口 | 3F窓際 |
BE22 2台構成 | 上り | 915 | 355 | 288 | 277 |
下り | 945 | 465 | 360 | 362 |
※単位:Mbps
※サーバー:Minisforum MS-01 Core i5 12600/RAM64GB/2TB NVMeSSD/10G SFP+/Proxmox 9.0(Ubuntu 22.04コンテナ)
※クライアント:Core Ultra 5 226V/RAM16GB/512GB NVMeSSD/Intel BE201D2W/Windows11 24H2

有線LANが1Gbpsなので、上限は1Gbpsまでとなるが、下りで1階が945Mbpsと1Gbpsに近い速度が出ている。2階でも465Mbps出ているので速度は問題ない印象だ。
メッシュのメリットは3階の結果によく表れている。3階入口で下り360Mbpsと高速で、もっとも離れた3階窓際でも下り362Mbpsと、ほぼ同じ速度になっている。2台目のDeco BE22が3階に設置されているおかげで、3階はどこでも300Mbpsオーバーという印象だ。
ちなみに、性能にもよるがWi-Fiルーター単体のケースだと、もっとも離れた3階窓際で数Mbps~十数Mbpsほどに速度が下がってしまうケースもある。広いエリアで、まんべんなく高速な環境を実現したいなら、やはりメッシュが有利と言えるだろう。
Wi-Fi 7への切り替えに
以上、TP-LinkのDeco BE22を実際に試してみたが、日本市場向けに熟成したDecoシリーズを最新のWi-Fi 7で、手軽に試せる製品という印象だ。
メッシュとしての良さが追求されているだけでなく、日本の回線環境で使っても困らない配慮がなされている。こうしたお手本があるのに、なぜ競合の海外メーカーは、こうした優れた先例の真似をしないのかが不思議でならない。
価格が2台で2万5800円ほどなので、少々割高な印象があるが、2台セットなうえ、設定も楽である点を考慮すれば、悪くない投資と言える。Decoシリーズは、既存製品との互換性も高いので、将来的により高性能な製品に買い替えても、メッシュのサテライトとして活用できるのも魅力と言えるだろう。