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Amazonプライムデーでも安すぎ!! 10ギガ対応なのに1.5万円のWi-Fi 7ルーター、TP-Link「Archer BE450」の実力は?
- 提供:
- ティーピーリンクジャパン株式会社
2025年7月8日 00:04
TP-Linkから発売されている10Gbps対応のデュアルバンドWi-Fi 7ルーター「Archer BE450」のコスパがすさまじい。7月8日から先行セールが始まっているAmazon.co.jpのプライムデーにおいて、プライム会員限定の特別価格とはいえ、実売1万4990円という、とんでもない価格を打ち出してきた。これは「10ギガ対応のルーターは2万円台」という従来の常識を大きく破る価格設定だ!
昨年の発売以来、性能的にも機能的にも評価の高かった同製品だが、今回の特別価格で、大きくユーザーの相場感を揺るがすことになりそうだ。その背景に加え、肝心の「Archer BE450」の10Gbps環境での実力を検証した。
もはや主流と言ってもいい10Gbps対応ルーターで起きた事件
今回、TP-Linkが大胆な特別価格を打ち出してきた理由は、「安い10ギガ対応ルーターが欲しい」という市場の声に応えるためだろう。
NTTのフレッツ 光クロスが2020年にサービスを開始してから約5年。昨年あたりから10Gbpsに対応したインターネット接続サービスは、幅広いユーザーの注目を集めるようになり、各回線事業者、ISPが熾烈な顧客獲得競争を繰り広げている。
その結果、回線が10Gbps化された家庭が増え、「せっかく10ギガ回線にするんだから…」と10Gbps対応のWi-Fiルーターを求める声が高まり、国内外のWi-FiルーターメーカーはWAN側に10Gbpsポートを備えたWi-Fi 7ルーターのラインアップを充実させてきた。
TP-LinkのArcher BE450は、もともと2万800円という低価格で、WAN/LAN両対応の10Gbps×1+2.5Gbps×1、LAN側1Gbps×3を備えるWi-Fi 7対応ルーターとして登場した製品だ。このため、安い10Gbps対応ルーターとして、十分にユーザーの声に応える製品となっていた。
現状、各社の10Gbps対応Wi-Fi 7ルーターを見てみると、デュアルバンド4ストリーム勢(Archer BE450はこちら)と、トライバンド2ストリーム勢の2つの製品に分類されるものの、価格的には安くても2万円、高くても2.7万円と、「2万円台」というのがひとつの壁になっていた。
今回、TP-Link「Archer BE450」は、この2万円台の壁を大きく壊しに来た。
タイミングによってクーポンが配布されている時期もあったので、2万円を切る価格で手に入る時期もあったが、今回のプライムデーに合わせて打ち出してきた価格は、何と実売1万4990円。2万円を切るどころか、ライバルより5000円、場合によっては1万円以上安い価格を設定してきた。
もともと、TP-Linkは性能に対して、価格を抑えた「コスパ」の高さで躍進してきたメーカーだが、近年はコスパだけでなく、国内市場に合わせた製品デザイン、マニュアル類の拡充と、どちらかというと地域に合わせた「質」の部分に注力する方針を打ち出していた。
そろそろ価格競争は落ち着くのかな? と思っていたところでの今回の大幅な値下げは、正直、驚きだし、業界としても大事件と言ってもいい。これだけ価格差を付けられると、なかなか追いつくのは難しい。
もちろん、「安い10ギガ対応ルーターが欲しい」というユーザーの声を受けてのメーカー努力であることは間違いないが、「ライバルが並びかけてきたところで、もう一段加速する」というか、「いつの間にか囲まれていた敵をコスパという丸太でなぎ倒す」というか、かわいい見た目の製品のわりに、ギラついた野心が見え隠れする印象だ。
実際に10Gbps環境でテスト
というわけで、本製品が10Gbps回線でどこまで使えるのかをあらためて検証してみた。いくら安くても、10Gbps回線の性能を生かせなければ意味がない。
まずは、シンプルに10Gbps回線での性能を計測した。以下は、フレッツ 光クロス(ISPはASAHIネット)でアイドル時間帯に回線速度を計測した結果だ。有線(2.5Gbps)の場合と無線(最大2882Mbps)の場合の両方で計測している。
結果は有線が2Gbps前後、無線が1.4Gbps前後となった。この数字だけ見ると10Gbpsの回線としては少々物足りないと思うかもしれない。
ただし、これには理由がある。Archer BE450は、WAN側は10Gbpsに対応しているが、LAN側は2.5Gbpsまたは1Gbpsとなっている。このため、「PC単体」での最高速は2.5bpsの有線や2882Mbpsの無線の速度が上限となってしまう。
「それじゃあ、10ギガ回線の実力を生かせないじゃないか?」と思うかもしれないが、そうとも限らない。以下は、本製品の2.5Gbpsポートに1台と1Gbpsポートに2台のPCを接続し、3台同時に速度を計測した結果となる。
ご覧のとおり、3台同時に接続しても、それぞれ2.5Gbpsのフルスピード、1Gbpsのフルスピードで通信できており、どのPCも速度が低下していない。WAN側が10Gbpsであるメリットが完全に生きている。
これは、以下の図をイメージすると分かりやすい。つまり、WAN側の10Gbpsポートが排水溝で、LAN側の2.5Gbpsポートや1Gbpsポートから水が注がれてくる状況だ。排水溝の10GbpsのWANポートは、十分に広い帯域を持っているので、複数経路で水が流れ込んでも水があふれることがない。
もちろん、10Gbps回線の性能をフルに生かすなら、LAN側も10Gbps対応の方がいいが、そうなると1.5万円というコストでは到底実現できない。Archer BE450は、どちらかというとピークスピードを狙った製品ではなく、家庭内のたくさんの有線LAN機器、さらに無線機器の通信が集中しても、渋滞なく利用できることを目的にした製品ということになる。
ちなみに、本製品は、2.5GbpsポートをWANポートにすることもできるので、現状1Gbps回線を使っているケースでは2.5GbpsポートをWAN側に利用することもできる。10GbpsポートはNASなどへの接続に利用し、将来的に10Gbps回線に移行したときにWAN側を10Gbpsに切り替えるという使い方もできるだろう。
Wi-Fi 7環境の入門にも最適
このように、10Gbps回線環境に適したArcher BE450だが、Wi-Fiルーターとしての機能も充実している。
前述したように本製品はWi-Fi 7に対応している。昨年あたりから、スマートフォンやPCもWi-Fi 7対応モデルが主流になりつつあるので、高速かつ安定したWi-Fi環境を構築したいケースでもおすすめとなる。
価格 | 1万4990円(プライムデーセール価格) |
CPU | - |
メモリ | - |
無線LANチップ(5GHz帯) | - |
対応規格 | IEEE802.11be/ax/ac/n/a/g/b |
バンド数 | 2 |
320MHz対応 | × |
最大速度(2.4GHz帯) | 1376Mbps |
最大速度(5GHz帯) | 5764Mbps |
最大速度(6GHz帯) | - |
チャネル(2.4GHz帯) | 1-13ch |
チャネル(5GHz帯) | W52/W53/W56 |
チャネル(6GHz帯) | - |
ストリーム数(2.4GHz帯) | 2 |
ストリーム数(5GHz帯) | 2 |
ストリーム数(6GHz帯) | - |
アンテナ | 内蔵 |
WPA3 | 〇 |
メッシュ | 〇 |
IPv6 | 〇 |
IPv6 over IPv4(DS-Lite) | 〇 |
IPv6 over IPv4(MAP-E) | 〇 |
有線WAN(10Gbps) | 1 |
有線LAN(1Gbps) | 3 |
有線LAN(2.5Gbps) | 1 |
有線(LAG) | - |
USB | USB3.2(Gen1) |
セキュリティ | 〇 |
USBディスク共有 | 〇 |
VPNサーバー | 〇(OpenVPN、PPTP、L2TP、WireGuard) |
動作モード | RT/AP |
ファーム自動更新 | 〇 |
LEDコントロール | 〇 |
サイズ(mm) | 230×163×60 |
本製品は、前述したようにデュアルバンド対応となっており、Wi-Fi 7の特徴のひとつである6GHz帯の高速な通信は利用できない。ただし、Wi-Fi 7には「MLO」という複数待機を同時に利用できる機能があり、アプリや設定画面からMLOを有効化することで、近距離での高速な通信と長距離での安定した通信を両立できる。
具体的には、普段は5GHz帯で高速に通信しつつ、5GHz帯で電波が届きにくい場所や干渉がある場所では、自動的に2.4GHz帯に切り替えて通信できる。従来のWi-Fiと異なり、MLOはこの切り替えが非常に高速かつスムーズで、ユーザーに切り替えを意識させることがないのが特徴だ。
このため、iPhone 16シリーズやGoogle Pixel 9シリーズなど、Wi-Fi 7対応のスマートフォンなどを移動しながら使う場合でも、通信が高速かつ安定しているのが特徴となる。
もしも、手元にWi-Fi 7対応の機器がないという場合は、同社から販売されているUSB子機「Archer TBE400UH」(実売9800円)を利用するといいだろう。4096QAMの恩恵で、最大2882Mbps(5GHz帯)でArcher BE450に接続できるのもメリットだが、上記のMLOによる安定した通信が実現できるメリットが大きい。
10Gbps対応と同時に家庭内のWi-Fi 7化を目指すのにも適した製品と言えそうだ。
なお、距離別のWi-Fi 7の性能やメッシュ構成時のパフォーマンスについては、以前に本誌に掲載された以下の記事を参考にしてほしいが、無線の性能も十分という印象だ。
簡単な設定と豊富な機能
このほか、本製品はスマートフォン向けアプリ「TP-Link Tether」で簡単に初期設定ができる点、「かんたん設定ガイド」という大判の取扱説明書が同梱されているあたりも特徴となる。
もちろん、筆者宅で利用していたフレッツ 光クロスのISP(ASAHIネット)のv6コネクト(DS-Lite)も自動判定で接続設定可能だったうえ、昨今、IoT機器のセキュリティ被害で問題になりがちな管理者パスワードなども初期設定で複雑な文字列に設定できる。
難しいことを考えず、アプリのガイドに従って、接続、回線判別、パスワード設定と指示通りに進めていけば誰でも設定できるので、初心者でも安心して使える製品となっている。
このほか、付加機能も豊富で、高度なセキュリティ機能やペアレンタルコントロール機能が使える「TP-Link HomeShield」が利用可能なうえ、USBポートに接続したストレージでファイル共有ができる機能も搭載、さらにVPNサーバー機能(WireGuardにも対応!)も搭載している。
機能としては盛りだくさんで、ライバルと比べて不足する部分がないというのも本製品の特徴だ。スペック表を見比べれば、見比べるほど、今回の1.5万円という価格が異次元であることを実感できる。
初めてから上級者まで1.5万円ではじめられる新世代ネットワーク
以上、10Gbpsルーター市場で起きた価格破壊の全貌に迫りつつ、そのきっかけとなったTP-LinkのArcher BE450の実力を再検証した。
本製品をあらためて使ってみると、WAN側に10Gbpsを使えることによる渋滞の少なさと、4ストリーム対応とWi-Fi 7のMLOによる安定性が魅力的な製品という印象だ。手軽で機能が豊富なのもうれしいが、何より1.5万円で手に入れられるメリットが大きい。
現状、10Gbps回線の性能を生かせてない場合はもちろんのこと、これから10Gbps回線を導入しようと考えている人にもオススメできる製品だ。回線事業者からWi-Fi 7ルーターをレンタルすると月々数百円前後かかるので、1.5万円なら2~3年で元を取れる計算になる。今回の安くなったタイミングで買っておくのもひとつの選択だ。