トピック
待望の“ちゃんと”10ギガ回線で使える固定IPサービス登場! 個人でも65536ポートで10Gbps性能をフル活用できるASAHIネットのIPIP方式「固定IPアドレスオプション」
- 提供:
- 株式会社朝日ネット
2026年2月4日 06:00
「10ギガのフレッツ 光クロスに移行して困ることは何か?」。そう問い続けることで、顧客の課題解決に真剣に取り組んできたのが老舗のISP「ASAHIネット」だ。IPv6サービスを他のISPに提供するVNE事業者でもある同社は、単にユーザーをインターネットに接続するだけでなく、10ギガ回線をいかに快適に提供するか? を念頭に、日々、回線品質の改善やサービス開発に努めている。
そんな同社から、2025年12月に、フレッツ 光クロス/フレッツ 光クロス Biz向けの新サービス「固定IPアドレスオプション IPv4 over IPv6接続(IPIP)」の提供が開始された。IPアドレスによる接続制限やサーバー公開などで固定IPが必要な法人はもちろんのこと、個人でも65536のフルポートを生かして、多台数、多セッション接続が制限されにくい、快適な通信環境を得られる点が注目されている。現代の通信環境において「固定IP」が求められる理由とサービス提供に至るまでの苦労を担当者に聞いた。
PPPoE固定IPからの移行先を求める現場の声
「10ギガ回線にアップグレードしたいが、DS-LiteやMAP-Eでは移行が難しい……」。
こうした声を耳にすることがある。特に多いのは中小の法人環境だ。組織で利用するクラウドサービスやアプリの帯域が増え、1ギガ回線のままでは限界が近づいているが、その一方で、拠点間VPN、アクセス制限(ホワイトリスト登録)、IPカメラ運用、サーバー公開などで固定IPが必要になるケースは多い。
現状のフレッツ 光クロス向けのインターネット接続サービスの多くは、DS-LiteやMAP-E方式が採用されているため、固定IPが利用できなかったり、利用できるポートが制限されたりする。かといって、小規模な環境(や個人)では、コストがかさむ法人向け回線サービスを導入するのも難しい状況となっていた。
そんな中、ASAHIネットが提供を開始したのが、フレッツ 光クロス/フレッツ 光クロス Biz/フレッツ 光クロス オフィスタイプ対応、つまり、個人向け、法人向けの「フレッツ 光クロス」のどの回線でも、気軽にオプションとして既存のプランに追加できるIPIP方式の「固定IPアドレスオプション」だ。
「当社が古くから提供してきたPPPoE方式による固定IPサービスは、当社のラインアップにおいて非常に高いシェアを誇り、特に多くの法人のお客様にご支持いただいてきた『強み』の1つとなっていました。こうした状況を受け、従来の1ギガ、IPv6環境向けにもIPIP方式の固定IPサービスを提供していましたが、10ギガ回線のフレッツ 光クロスの登場以降、回線のアップグレードを検討されるお客様が増えたことで、今まで通り、かつより高速な環境で固定IPをご利用いただけるよう、フレッツ 光ネクスト回線向けと同一の価格・オプション構成のままで、フレッツ 光クロス向けにIPIP方式の『固定IPアドレスオプション』を提供することになりました」。
今回の新サービス提供の経緯について、そう語ってくれたのは、株式会社朝日ネット サービス企画室 齋藤真由氏(以下、齋藤氏)だ。
固定IPサービスというと、かつては個人ユーザーでもサーバー公開などのために利用するケースがあったが、齋藤氏によると「お客様によっては、拠点間VPN、アクセス制限(ホワイトリスト登録)、IPカメラ運用などでのニーズが高く、その運用をなるべく変えたくないというケースが多い」という。
また、株式会社朝日ネット サービス企画室 担当部長 澁谷晃生氏(以下、澁谷氏)によると、「環境によっては、社内に音声通話用の古いPBXが残っているケースもあります。IPv6に対応できない周辺機器が内部に残っているケースもあるので、こうした機器の利用のためにIPv4の固定IPアドレスが必要というケースもあります」という。
こうした現場レベルの課題は、どちらかというと回線や通信機器を販売する地場のSIerから上がるケースが多いが、朝日ネットは、自身で現場の声にしっかりと耳を傾けている印象だ。
澁谷氏は、固定IPサービスが求められている現状について、さらに次のように続けた。
「固定IPオプションでは、IPアドレスが固定されるだけでなく、通信でフルポートを利用できるという大きなメリットもあります。例えば、教育機関で利用する場合、1つの教室で40人前後が同時にインターネットに接続するような場合でも、固定IPオプションなら、通信に利用できるポート数が制限されることがないため、大量のセッションも問題なく処理できます」。
現状、個人向けの一般的なフレッツ 光クロス向けのサービスでは、利用できるポート数がVNE事業者によって異なっていて、MAP-Eで200から多いところでは1000程度、DS-Liteの場合で5000前後と言われている(公表されていない)。一般的な家庭での利用であれば十分なセッション数を確保できるが、PCだけでなくIoT機器など接続端末の台数が多かったり、利用するアプリが多かったりすると、処理しきれない場合がある。
法人はもちろんだが、個人ユーザーでも、この「フルポート」のメリットを享受できるのが、ASAHIネットのIPIP方式による「固定IPアドレスオプション」の魅力だ。
IPIP方式とはどのような方式か? どんなメリットがあるのか?
今回、ASAHIネットが提供を開始したIPIP方式の固定IPアドレスオプションとは、どのような仕組みで、かつてのPPPoEや従来のDS-Liteと何が違うのだろうか?
株式会社朝日ネット サービス基盤部 担当部長 関本義久氏(以下、関本氏)によると、「IPIP方式の固定IPサービスは、IPv6のIPoE方式の高速道路の中に、お客様専用のIPv4アドレストンネル(IPIPトンネル)を作って接続する仕組みとなります。1つの固定グローバルIPv4アドレスを『お客様専用』として割り当てます。また、ポートの制限がないため、より安定した接続が可能となります」という。
「他の方式との違いは、設備やNAT処理の場所などにあります。まず、設備の違いですが、PPPoEは通信経路上で網終端装置という混雑しやすい装置を必ず通る必要があります。この網終端装置は、NTTの施設に設置される設備で、ISPの都合だけで設備を増強することはできません。このため、環境によっては速度低下の主な原因となっていました」。
「これに対して、DS-LiteやIPIP方式は、VNEが設備を管理します。弊社は、ISPであると同時にVNE事業者でもありますので、この「自社で設備を直接運用している」という強みを生かし、利用者数や利用状況に合わせて、混雑しないように自ら帯域を管理し増設判断をしています」という。
では、DS-LiteとIPIPで何が違うのかというと、NATが処理される場所だ。
「IPIP方式では宅内ルータ(CPE)でNAT処理を行うのに対して、DS-Lite方式ではISP側のアドレス変換ルータ(AFTR)でNAT処理を行います。DS-Liteは、1つのグローバルIPv4アドレスを複数のユーザーで共有するため、利用できるポート数に制限があります(関本氏)」という。
IPIP方式では、グローバルIPアドレスがユーザー宅のルーターに割り当てられるため、そこで65536個のすべてのポートを使ってNAT処理ができることになるわけだ。
少々、ややこしいかもしれないが、この「NAT処理の場所」という意味では、IPIP方式とPPPoE方式は似ている。関本氏によると「PPPoE方式も宅内ルーター(CPE)でNAT処理をしますので、NATの管理(ポート開放などの設定)をする場所が同じ宅内ルーターとなります」。
関本氏は続ける。「つまり、IPIP方式とPPPoE方式の間で、NAT設計を変更しなくてもよいというのも、IPIP方式のメリットです。例えば、現状、PPPoEの固定IPサービスでポート開放の設定や各種のアクセス制限などのセキュリティ設定をしている場合、同様の管理方法でIPIP方式でもポート開放やアクセス制限などの設定が可能です」という。
冒頭で、現状の固定IPアドレスサービスを使ったまま、10ギガ回線にアップグレードしたいという例を紹介したが、IPIP方式の固定IPアドレスオプションなら、従来のPPPoE方式の固定IPアドレスと同様の設定、管理方法を引き継げることになる。
IPIP方式の課題と向き合う
このように、IPIP方式の固定IPアドレスサービスは、「IPアドレスを固定できる」「フルポート利用できる」「NAT処理を従来通り利用者が管理できる」というメリットがあるが、その一方で課題もある。
関本氏によると、「IPIP方式は設定が複雑という欠点があります。これを補うために、弊社では、国内標準プロビジョニング方式の開発に初期段階からかかわってきました。この方式を利用すると、対応ルーターに自動設定取得IDやパスワードを設定するだけで、簡単にIPIP接続の設定ができます」とのことだ。
筆者も同社の固定IPアドレスオプションを申し込み、実際に設定を試してみたが、国内標準プロビジョニング方式を使う場合とそうでない場合の設定の難易度は大きく違う。国内標準プロビジョニングに対応した製品では、設定画面にIDとパスワードを入力するだけで設定が完了するが、手動設定の場合、ルーターのインターフェースにIPv6のインターフェースIDを手動で割り当てて通信がルーティングされるようにするなど、若干の知識が要求される。
国内標準プロビジョニングのIPIP設定に対応したルーターは増えてきているものの、メーカーやモデルは限られている状況だ。ただし、同社の固定IPアドレスオプション申し込み画面には、対応ルーターの一覧や実際の設定例へのリンクが掲載されており、利用者が設定に迷わない工夫がなされている。
齋藤氏によると、「サービスの申し込みページの導線や用語などには、かなりこだわりました。分かりやすさは重要ですが、それだけを優先しすぎると、プロフェッショナルな方々に必要な情報を提供しきれない場合があり、そのバランスを取りながら現在のサイトを設計しました」という。
前述したように、筆者は本サービスを契約済みだが、確かに申し込みはマイページからオプションを申し込むだけと簡単だった。また設定も、対応ルーターのリンクから参照することで、実際の設定ができた。
澁谷氏によると、「フレッツ 光クロスの場合、ひかり電話の利用でホームゲートウェイを併用するケースも考えられます。自分で用意したルーターを利用する場合でも、ホームゲートウェイを利用する場合でも対応できるようにする工夫もしています」という。
ここは、筆者も感心した点だ。ISPによっては、ホームゲートウェイが存在する場合は、フレッツジョイントの機能を使って、自動的にホームゲートウェイにIPIP接続の設定を自動的に配信する場合がある。筆者のように、ホームゲートウェイ配下で市販のルーターを使用したい場合、この自動配信がされてしまうと、市販のルーターを利用できなくなってしまう。
利用シーンを特定してしまった方がISPとしては楽だが、そうではなく、ユーザーが選択し、制御できるようにしている点は素晴らしい。齋藤氏によると、こうした点は、社内でも意見が分かれ、議論になったということだが、筆者は現状のように、ユーザーに選択を許可した方式に大賛成だ。
どうやら、こうした数々のコダワリのおかげで、サービス提供開始が当初の2025年秋から、年末ぎりぎりに伸びたという経緯があるようだが、そのおかげで、今回、話をしてくれた齋藤氏、澁谷氏、関本氏のいずれも、納得のできるサービスをリリースできたと、自信を持っている印象だった。
ASAHIネットならではの強み
もちろん、バックボーンを含めたネットワーク全体の信頼性や安定性にも、同社は強いこだわりを持っている。
関本氏によると、「フレッツ 光クロスの10Gbpsという広帯域を最大限に生かすため、バックボーンのキャパシティ管理には細心の注意を払っています。トラフィックの増大を予測し、余裕を持った増強を継続的に実施することで、高負荷時でもパケットロスや遅延の少ない高品質な通信を提供しています」という。
今やISPやVNEの設備は、大規模なコンテンツに左右される時代で、中長期的な増強計画に加えて、注目度の高いスポーツイベントなどの大規模な配信を想定して予定を前倒しすることもあるそうだが、直近では3月のWBC(ワールドベースボールクラシック)が予定されている。Netflix限定配信となるこのイベントに備えて、同社も対応を進めているそうだ。
なお、IPIP方式と従来のDS-Lite方式では、帯域制限などの考え方に違いはない(関本氏)とのことだ。ネットワーク全体を見ながら、ユーザーの利用状況に合わせて、適切にコントロールしている印象だ。
このほか、同社は近々設備の更新を予定しているそうだが、そのコダワリもすごい。「IPIP方式・DS-Lite方式ともに、弊社側でアドレス変換ルーター(AFTR)を運用しています。IPv4 over IPv6接続サービスに欠かせないこの装置への継続的な投資は、通信品質の維持に対して重要ですが、新機種の採用にあたっては、慎重さも必要です。この点に関しては機器ベンダーと協力して、大規模な性能検証を予定しています。今までの運用で培った実際のトラフィック状況を模したシミュレーション環境を用意し、新規導入する機材に負荷をかけ、安定性や最大性能の確認を行います(関本氏)」という。
澁谷氏によると、「検証の時のトラフィックが人為的すぎると結果が良くなりがちで、実際に導入した際のギャップが大きくなってしまうため、いかに実際のトラフィック状況に近い検証環境を用意するかが重要です」とのことだが、この話になった途端、両氏とも、にわかに技術者の目になって熱っぽく語っていたのが印象的だった。
フレッツのパワーをフルに引き出す努力を続ける
最後に、今回リリースされた「固定IPアドレスオプション IPv4 over IPv6接続(IPIP)」について、同社の意気込みを聞いた。
「私たちは、フレッツ回線が持つ本来のパワーを最大限引き出すことができるよう、常に余裕を持った設備運用を心がけています。『フレッツ 光クロス Biz』をご利用中のお客様も、当社の『フレッツ 光クロス』コースと『固定IPアドレスオプション IPv4 over IPv6接続(IPIP)』を組み合わせていただくことで、回線のスペックをフルに生かしつつ、コストも抑えた非常にバランスの良い運用が可能になります。このオプションは、通常の『フレッツ 光クロス』や『フレッツ 光クロス オフィスタイプ』をお使いの法人・個人すべてのお客様にとっても、そのポテンシャルを存分に体感いただけるサービスとなっています。これからも『やっぱりASAHIネットは通信品質が良いね』と喜んでいただけるよう、全力でより良い接続環境づくりに取り組んでいきます(齋藤氏)」とのことだ。
今回のサービスを提供するにあたり、料金設定についても社内でかなり議論があったそうだが、最終的に1ギガのフレッツ 光ネクストと同じ料金で提供することが決定されたそうだ。いいものを安く提供したいという気持ちも強い印象だ。
なお、昨年末にNTT東日本から最大25Gbpsに対応した「フレッツ 光25G」の提供がアナウンスされたが、当然、同社もサービス提供の検討をしているという。フレッツ 光25Gは、サービス開始エリアが東京都中央区の一部となっているが、ASAHIネットの本社は、このエリアに含まれている。同社なら、いち早く、検証を開始してくれることが期待できそうだ。



