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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2007年8月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)を毎月ピックアップ。中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、幅広い話題をレポートしていきます。


反・腐敗政治ゲーム、2週間余りでサービス停止【7月25日、8月15日】

 7月25日、「中国初の反腐敗政治をテーマにしたビッグタイトル」と銘打ってサービス開始されたオンラインゲーム「清廉戦士」。浙江省寧波市の共産党の関連部署がリリースしたものだが、リリースされるや各メディアで紹介されて大きな話題となり、7月31日の1日だけで10万ダウンロードを記録した。このゲームの発表後、反腐敗をクリエイティブに模索することを肯定する賛成派と、反腐敗をテーマにしたゲームは無理があるという否定派で賛否両論となった。

 大きな話題となった「清廉戦士」だが、リリースから2週間余り経過した8月15日、サービスは突如停止した。オフィシャルサイト上では「利用者が多すぎたため負荷に耐えられなかった」と説明、「現在アップグレード中」であると書いてあるのだが、8月末時点においても再開の様子はない。あまりにも突然だったため、またしても多くのメディアが突然のサービス停止を報道して話題になった。



B2Bの雄、アリババが上場を予告【7月28日】

 B2Bサイトで知られる「阿里巴巴(アリババ)」が、近い将来上場すると同社CEOの馬云氏が発表した。中国メディアは、中国発の世界に通じるプラットフォームを作り上げた企業として、また「会社を立ち上げてから上場までの時間が、今まで上場したどの中国IT企業よりも長い」ことから、実際に上場されれば百度以上の莫大な金が動くだろうと予想している。同社は、ヤフー中国、中国最大のオンラインショッピングサイトの「淘宝網」、中国最大のサイバーマネーシステムの「支付宝」などを子会社に持つ。

 ちなみに「支付宝」は、8月28日に中国建設銀行や中国銀行と組んで海外業務を行なうと発表。中国で普及し、海外に展開するデビットカードの「UnionPay(銀聯)」のように海外で支付宝が使えるようにする、ということを発表した。同社の上場は今冬と噂されている。


映画「SPIRIT」の海賊版配信で3万元の損害賠償判決【8月3日】

 山東省にあるニュースサイトが、海賊版の映画「SPIRIT(原題:霍元甲、中村獅童共演 )」を配信したとして、同映画のオンライン配信権を持つ香港の安楽公司が、映画配信の停止と33万元(約511万円)の損害賠償を求めて提訴していた。この判決が8月3日に下り、山東省徳集市中級人民法院は、権利なく映画配信を行なったニュースサイトに3万元(1元=15.4円として、約46万円)の損害賠償の支払いを命じる判決を下した。

 今回紹介した事件では、2007年1月に原告の安楽公司は被告となったサイトで同映画の配信を確認していたが、裁判が結審する以前に同サイトはSPIRITを削除し、映画チャンネルを閉鎖していた。

 中国ではこうした海賊版映画を配信するサイトは多数あり、試聴できる映画は最新映画ばかりをラインナップするので回転が早い。このため、コンテンツ権利者は海賊版コンテンツを確認しても、すぐに削除されてしまう可能性があり、すぐに証拠を押さえるなどの対応が必要となるようだ。


ゲームベンダーの久遊網、盗作疑惑問題で上場中止へ【8月21日】

 オンラインゲームベンダーの「久遊網(ナインユー・インターナショナル・リミテッド)」が、韓国のオンラインゲーム会社「T3」とのゲーム盗作疑惑のために7月中に予定されていた大証ヘラクレスへの上場が見送られたと前回書いたが、8月に入って同社は上場中止を発表した。

 久遊網の副総裁を務める呉軍氏は、「上場中止は業務の縮小を意味するのではなく、将来機会があれば米国など他地域での上場はあり得る」とコメントしている。


中国インターネット協会、ブログ執筆のルールを発表【8月23日】

 中国互換網協会(中国インターネット協会)は、ブログのサービス事業者が守るべきルール「ブログサービス自律公約(博客服務自律公約)」を発表した。虚偽情報や、悪質な他人への攻撃、他人のプライバシーの公開などを防ぐために、たとえば実名制の推奨や、問題がある場合の連絡先を明記するなどのルールが19条にわたって書かれている。人民網や新浪(Sina)など14のブログサービスプロバイダーがこれに調印した。

 多くのブロガーらがこれを「机上の空論」と感じていると中国メディアは伝えている。


上海のオンラインゲームベンダー、CEOに18歳の男性を起用【8月23日】

 本連載6月分の記事で、23歳の青年が中国IT系Webメディアの総編集長に起用されたというニュースを紹介したが、8月はそれより5歳も若い、18歳の男性がCEOに就任したことが話題となった。

 18歳という若さで「上海天実網絡科技公司」のCEOに就任したのは、歌手で作詞作曲もこなす張伯宏氏。張氏は過去に管理職についたことはなく、経験といえば、15歳のときにCEOトレーニングのクラスで学んだことがある程度だという。同社は北京の市内を駆け抜けるレースゲームを制作したが、張伯宏氏はそのゲームについて「(ゲーム中の)ビルの屋上に広告を載せたほうがいいのでは」とアドバイスしたのをはじめ、様々なアイディアを提案した。それが経営陣の眼にとまり、同社創始者も張氏のCEO就任を承認したという。

 同社は100万元(約1,550万円)で張氏と契約を結んだ。張氏は中国メディアの取材に対して、この契約金の使い道について「母親にあげようと思っている」とコメントしている。

 ちなみに、中国オンラインゲームのCEOは、「アイディアが湧き出る」という理由から、音楽業界出身の人が多い。


洛陽市、ネット利用者に関する個人情報調査を禁止【8月24日】

 歴史の街として知られる河南省洛陽市は、インターネット利用者の個人情報を調査することを禁止することを通知した。これは市民の言論の自由を保障するため、情報提供を行なったインターネット利用者に対する、報復目的での調査をなくすためだという。これにより、洛陽市内の掲示板を管理する部門や電信企業は、調査のための個人情報の提供が禁止される。

 このニュースを発表した大河報は、「虚偽の情報を流布した場合は犯罪であり刑事責任を問われる」として、報復目的の調査が禁じられたとしても、虚偽情報の流布は犯罪であることをあらためて強調、読者に注意を促している。


ノートン製品のWindowsシステムファイル消去事件で初の訴訟【8月25日】

 5月18日に中国で起きた、ノートン製品のアップデートによるWindows XPのシステムファイル誤消去事件(中国名:誤殺門事件)に関連して、初の損害賠償請求の訴えが北京市の海淀法院で受理された。原告は広州市の弁護士。この弁護士は5月30日に事件で被害を受け、当時中国を管轄していた米Symantec本社を相手に裁判を行なったが、中国国内で米国にある同社の登記が入手できないため、このときかかった訴訟費用1,644元の損害賠償請求を北京にあるSymantec社現地法人に行なった。

 この弁護士が最初Symantec米本社を訴えた理由は、少々複雑だ。弁護士が中国国内でHP製のPCを購入した際、使用期限付きのノートン製品が付いていた。弁護士はその後、正規版取り扱い店である「連邦」で引き続き利用するためのチャージを支払ったのだが、Symantec社は「当該ライセンスはSymantecが製造した正規ライセンスなのかが不明で、正規版を購入した証明がない」として、被害に遭ったことをSymantec社が認めなかったためだという。この裁判については、判決が出たらまた追ってお伝えする予定だ。


悪意のあるソフト認定を受けたCNNIC、名誉毀損で提訴し勝訴【8月28日】

 中国では昨年、ユーザーが気づかないうちにインストールされ、アンインストールの方法もわかりにくいようなソフトウェアが「ならずものソフト」「悪意のあるソフト」と名付けられて話題となった。当時各ニュースサイトは該当するソフトをリストアップし、オンラインソフトのダウンロードサービスを行なうサイトは、リストに載った該当ソフトを掲載しないという処置を行なった。CNNIC(China Internet Network Information Center)の提供するフリーソフト2本もまた、その対象とされていた。

 CNNICは今年1月に、これを名誉毀損として、CNNICの提供するフリーソフトを削除したポータルサイト「奇虎」を相手取り、名誉毀損による損害賠償請求を求めて提訴した。この訴訟を受理した北京市海淀区人民法院は8月28日、被告の「奇虎」にCNNICに対して15万元(約232万円)の損害賠償を命ずるという、原告勝訴の判決を下した。理由として同法院は、「CNNICがリリースした製品はPCに危害を与えるものではなく、悪意を持っているわけではないため」としている。

 「奇虎」はこの判決を不服として、上訴する見込みだ。


セガ、中国におけるオンラインゲーム事業を終了【8月30日】

 8月30日、セガ中国が運営するオンラインゲーム「彩虹騎士」の運営が終了した。セガ中国は、5月30日に中国におけるオンラインゲーム事業からの撤退を発表しており、8月30日をもって完全にオンラインゲーム事業から撤退完了となった。

 中国メディアの第一経済日報はこの撤退について、「中国市場と中国企業を理解していなかったため」と分析。またセガだけでなく、日本や韓国のゲームベンダー全般に同様のことが言えると分析。セガの撤退はあくまで第一波であり、日韓企業の撤退の第二波があると同誌は予測している。


21歳女性、IT系ポータルサイトに肖像権侵害で賠償請求【8月30日】

 21歳の女性が、自分のお気に入りの自身の写真をネット上にアップロードしたところ、その後偶然にも、中国最大のIT系ポータルサイトである「太平洋電脳」上でその写真が無許可で利用されていたことを発見し、太平洋電脳に対し、謝罪および彼女自身の精神損失費20万元(約310万円)を求める損害賠償を起こした。北京市豊台法院は、太平洋電脳が女性の肖像権を侵害したとして、サイト上で謝罪文を公開するとともに、精神損失費8,000元(約12万4,000円)を支払うよう命じる判決を下した。

 オンラインメディアのバナー広告などで、一般人の肖像権を侵害したというのは今回が初めての事例だが、中国では、バナー広告に限らず紙メディアのイメージ画像などでも日米の人気キャラクターを無断使用する事例は多数見られる。


オークションサイト易趣、ebayの手を離れ本土化を推進【8月31日】

 中国第2のオンラインショッピングサイト「易趣」は8月31日、ebayからの独立を宣言した。それまでは、「ebay易趣」というサイト名が示す通り、ebayの中国版だった。

 「易趣」は、ブランド名である「ebay」は引き続き利用するものの、サーバーを米国から中国に移し、新プラットフォームにすることで、米国とは別の、独立した運営となる。

 「易趣」の中国オンラインショッピング市場におけるシェアは、ebayと手を組む5年前には一時9割を越えていた。しかし、ebayと手を組んだ4年の間にシェアは2割以下にまで落ち込んだ。「易趣」は徹底した本土化で、中国第1のオークションサイトである「淘宝網」に奪われたシェアの奪還を目指す。


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(2007/09/05)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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