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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2008年3月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)を毎月ピックアップ。中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、幅広い話題をレポートしていきます。


チベット事件後検閲厳しく~一部動画共有サイトは閉鎖

 3月中旬よりチベット自治区の都ラサで始まった一連の事件で、YouTubeなどの海外動画共有サイトの当問題に関する投稿や、ニュースサイトの関連ページ、果てはチベットや中国に関することが書き込まれた一部の掲示板や、ミクシィのコミュニティに至るまでさまざまなサイトにアクセスできなくなるという事態が続いている。

 この規制強化の影響だろうか、上記のようなアクセス制限された状況下では、中国から日本への回線速度は体感でもはっきりわかるほど向上している。

 またチベット騒乱後、中国の動画共有サイトにも動きがあった。コンテンツの内容について担当する中国広電総局が、内容が違法であるという理由で、大手動画共有サイトの土豆網に警告をし、また25の動画共有サイトが閉鎖された。4月もまた中国広電総局は未許可の動画共有サイトに対し審査を行なう。



北京市政府、ネット管理強化を宣言

 北京市人民代表大会(北京市人大)の機関である北京市人大常委会は「ネットワークの管理を強化し、ポルノ的内容を厳しく取り締まる」ことを検討したことがニュースとなった。中国では、こういったニュースが流れた後ですぐに取り締まりが開始されることが多い。オリンピック開催前には、北京市という枠の中で、インターネットの管理はさらに強化されたものとなるだろう。

 ちなみに北京市のインターネット人口は737万人。インターネット普及率は46%と、中国の省市の中で最も高い。


asahi.comの「サイト改ざん被害の攻撃元は中国」記事に中国メディアは不満

 3月12日にトレンドマイクロのWebページが改ざんされた。これについて3月31日付けのasahi.comは「サイト改ざん被害1000件超 攻撃元は中国か」という記事を掲載した。記事では、トレンドマイクロ以外にも1,000件以上のサイトが被害を受けた可能性があり、さらに英国、カナダ、韓国にも被害が及んでいると書かれていた。

 これに対し、翌13日にCCTVや中国メディア各誌が同記事を翻訳し、「中国を犯人に仕立てた」というニュアンスで掲載。そのニュース感想の掲示板の書き込みは、アンチ日本の書き込み一色となっている。


著作権問題、問題山積みも、具体的解決策を示す方向に

 3月は著作権関連の話題が目についた。ここでは、3つのニュースをご紹介しよう。

 1つめはは2月27日の、百度に関するニュースだ。中国音楽著作権協会は、百度に対し、百度が著作権を侵害しているとして、「愛我中華」など50の曲の著作権使用料100万元(約1,500万円)を支払うよう求める訴訟を起こした。中国音楽著作権協会は協会のWebサイトで「百度は許可なく、音楽試聴やダウンロードサービスを提供し、結果として大量のクリック数を稼ぎ、その結果巨額の広告収入を得ている」と非難。

 百度はこれに対し、「百度は中国の上場企業であるからには責任を持たなくてはならないと認識、インターネットの著作権保護を重視している」とコメント。また「EMIなどと広告配信などで合法的に無料で音楽を配信しているように、同じ新しいビジネススタイルで提携し、ともに音楽業界を盛り上げていきたい」とコメントした。個人的には、訴えられた百度が知らぬ存ぜぬの態度で通すのではなく、このような具体的な対処で返すあたりは、以前に比べてかなりの前進と思う。

 次に、中国最大のP2Pダウンロードサイト・サービスを提供する「迅雷」が著作権対策の発表を行なった。迅雷は中国のコンテンツプロバイダー数社と提携し、正規版コンテンツを配信すると3月20日に発表した。迅雷は前月の2月に、ハリウッドから著作権侵害で訴えられており、現在も係争中だ。

 3つ目は、3月28日に正規版の利用推進を啓蒙する団体ができたというニュースだ。人民網や新華網や網易などの中国著名サイトに加え、中国版権保護中心、中国電影版権保護協会、アメリカ映画協会らにより「夸克電影正版網絡聯盟(夸克映画正規版ネットワーク聯盟)」が立ち上がった。同時にコンテンツが正規版というお墨付きの合法無料映画視聴サイト「夸克電影網(http://www.quacor.com/)がサービス開始した。

 中国の海賊版対策は、音楽や映画コンテンツを中心に、徐々にではあるが、より踏み込んだ形で明確に対策が練られ、具体的に行動を起こすようになってきたと筆者は感じている。


中国で最も人気のソフトの互換ソフトの作者に実刑判決

 中国で最も人気のフリーソフトにして中国PC普及を牽引したインスタントメッセンジャー「QQ」。3月20日、その互換ソフト「珊瑚虫QQ」を作成した作者に120万元(約1,800万円)の罰金と3年の実刑判決が下った。

 裁判の舞台となった、広東省深セン市南山区法院によれば、作者は2005年から2007年にかけて、営利目的のためにQQの開発元である騰訊に未許可でチャットソフト「珊瑚虫QQ」を作成し配布。これにより117万元強の利益を得た。ちなみに、オリジナルの騰訊の「QQ」と比べて、ソースコードが95%同じであったという。

 この判決に対し、騰訊は「著作権保護は中国のインターネット産業を成長させるには不可欠で、今回の判決を尊重する」とコメントしている。実刑判決を受けたソフトウェア作者は上告を予定。

 なお、今回の判決では有罪となっが、現在のところ、権利者に許可を得ていないで発行した互換プログラム、チートプログラムについての法はまだないのが実情だ。


グーグル中国、日本、韓国に続き、トップページをリニューアル

 グーグルは3月20日、「Google」中国語版のトップページをリニューアルした。日本語版のトップページのリニューアルの翌日のことだった。

 新たな日本語版トップページと同様、検索フォームの下に各サービスへのリンクをアイコンで表示しているが、そのサービスの選別やデザインは日本語版とはかなり異なっている。むしろ、中国語版と同時にトップページをリニューアルした韓国語版によく似たものとなった。

 中国語版では検索キーワード入力欄の下に、「動画」「画像」「ニュース」「地図」「ブログ検索」「ホットなランキング」「お勧めサイト」へのアイコンが置かれている。


中国最大級の旅行サイト、外国人客を見込んで英語版サイト開設

 中国の2大旅行サイトの1つである「携程旅行網」は、正式な英語版サイト( http://www.ctrip.com/ )を開設した。華僑や外国人旅行客の利用者を呼び込むのが目的だ。英語版サイトでは、ホテル予約、航空便予約、パッケージツアー予約、タクシー予約、旅行情報閲覧の5つのサービスが利用できる。

 同社はNASDAQに上場しており、2007年までは楽天が筆頭株主であった。なお、中国の2大旅行サイトのもう1つは「藝龍」だ。


百度、インスタントメッセンジャー「百度Hi」β版公開

 中国では、インスタントメッセンジャーは、メール以上に重要なコミュニケーションツールだ。また、中国人インターネット利用者の多くが利用しているのは、MSN Messengerでも、Yahoo Messengerでもなく、中国産のインスタントメッセンジャーソフト「QQ」だ。

 これまで中国のインスタントメッセンジャー市場は「QQ」がほぼ独占してきた。そこに、百度がインスタントメッセンジャー「百度Hi」で参入を決め、3月26日にβ版を公開した。

 インスタントメッセンジャーがコミュニケーションツールの主役である中国では、「百度Hi」の投入が予告されるや、メディアでもつねに話題となっており、百度のその他の新サービスよりもずっと大きく報道されてきた。

 「百度Hi」が公開されると、早速各メディアがレビューを掲載した。それらのレビューによれば、あらゆる点で「QQかそれ以上」という高評価を受けている。このサービスの利用には百度のIDが必要だが、中国ではすでに同サイトの別サービスでIDを取得している利用者は少なくない。今後「百度Hi」が「QQ」のシェアをどれだけとり崩せるかは、引き続きIT系中国メディアで注目され続けるだろう。



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  http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
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  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/07/21/12742.html
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  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html

(2008/04/04)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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