筑波大学情報学類の学生である登大遊氏は12日、仮想ネットワークを構築するソフトウェア「SoftEther」の新バージョン「Version 0.50 Beta 3」を14日より配布すると発表した。業界標準のプロトコルであるSSLを全面採用したのが特徴で、旧バージョンとの互換性はない。対応OSは従来通り、Windows Server 2003/XP/2000。
SoftEtherは、スイッチングハブとLANカードを仮想的にソフトウェアで実現し、その間をTCP/IPにより通信を行なうことで、VPNを実現するソフトウェア。情報処理振興事業協会(IPA)が主催した平成15年度未踏ソフトウェア創造事業未踏ユース部門に採択された開発プロジェクトに基づくものとして、2003年12月17日より無償で公開されている。一方、公開後にIPAに複数の民間企業や自治体からセキュリティ面での不安が寄せられ、一時公開が中止されるなどの反響を呼んでいた。
今回、配布が開始されるバージョンでの変更点は、暗号化通信にHTTPSを採用、無通信状態が続いた場合にも接続を持続させる機能の強化、Windowsがルーティングテーブルを自動的に書き換える現象への対応など。
SoftEtherのこれまでのバージョンでは、プロキシ経由の接続を行なう際に、SSL通信用のポート443に対して独自のSoftEtherプロトコルを使用する形で通信を行なっていた。一方、こうした動作はネットワークのポリシーやマナーに違反するのではないかという意見がソフトウェア公開後に寄せられたこともあり、今回のバージョンからはHTTPSを利用することにしたとしている。また、安全性が十分に検証されていない独自プロトコルではなく、長期間に渡って十分に検証されているSSLを使用することで、安全性も向上したとしている。
SSLの実装についてはOpenSSLライブラリを組み込んでおり、暗号化プロトコルにはAES-256bitやRC4、ハッシュ関数にはSHAやMD5が利用可能となる。また、SSLの採用による通信速度の低下はごくわずかであり、パフォーマンスの大幅な低下は発生しないとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.softether.com/jp/news/040112.aspx
・ VPN構築ソフト「SoftEther」のダウンロード配布を再開(2004/01/05)
・ 経産省の要請により、VPN構築ソフト「SoftEther」配布停止(2003/12/25)
・ 仮想ネットワーク構築・通信ソフトウェア「SoftEther」が無償公開(2003/12/15)
( 三柳英樹 )
2004/01/13 19:45
- ページの先頭へ-
|