総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の第4回会合が27日に開催された。今回は、中間報告書に盛り込む要素についての骨子案が、事務局である総務省から示された。主に携帯電話のフィルタリングについての議論を報告するかたちになり、現状の携帯フィルタリングサービスには課題があることを指摘するとともに、改善の方向性も示す。
● 現状のフィルタリングには課題、改善の必要性~中間報告の骨子に
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「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」第4回会合
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中間報告では、違法情報と有害情報を区別した上で、青少年にとって有害な情報への携帯電話からのアクセス対策が緊急課題だとして主要テーマに据える。フィルタリングサービスの導入促進を図りつつ、現状のサービスモデルの課題を改善し、より望ましいサービスモデルの構築を目指すことを狙いとする。
具体的に盛り込む要素は、1)携帯電話等のフィルタリングサービスの「現状モデル」の課題、2)携帯電話等のフィルタリングサービスの改善の方向性、3)携帯電話のフィルタリングサービスにとどまらない課題──の3分野。
まず、1)については、現状モデルでは、フィルタリングポリシーが一律であるため、個人の価値観や年齢差を反映できない点や、コミュニティサイトなど遮断されるサイトが広範囲であること、ホワイトリスト方式を採用するサービスでは携帯キャリアによるコンテンツ選別となる恐れがあること、フィルタリングサービスの認知度が上がっている一方で中身については必ずしもユーザーに理解されていない点などがある。
2)については、ユーザーが個別に判断して選択できるようにするとともに、優良なコンテンツへアクセスできるようにするための「サービスの多様性」や、「サービスの利用簡便性」などを、改善の方向性としてフィルタリングサービスに求められるとしている。また、「優良なコンテンツ」の基準の策定などを行なう第三者機関の必要性を指摘するとともに、その中立性や透明性を確保する方策も盛り込むという。
3)については、インターネット・メディアリテラシーの向上のための教育・啓発活動や、違法・有害情報の検知技術の向上、ユーザーの選択の手がかりとしてのラベリングおよびレーティングといった項目を挙げている。
今回の会合では、委員の1人である奈良先端科学技術大学院大学教授の山口英氏が、携帯コンテンツとキャリアによるフィルタリングの議論に終始している点を指摘。「私のような一般的なコンピュータネットワーク屋から見ると、統制と規制が多く行なわれているところ」との印象を受けるとした上で、この流れがインターネットでも「一般化されるのを恐れている」と述べた。
コスト負担のあり方に関しても、携帯キャリアだからこそフィルタリングが可能だが、これが一般のプロバイダーでは不可能だとして、報告書がひとり歩きすることで、プロバイダーのビジネスモデルに大きな影響を与える可能性も指摘した。「検討会の名称に『インターネット上の』と付いているが、中間報告書を出す時は『携帯電話オンリー』にしてもらいたい」(山口氏)。
なお、検討会では、4月にとりまとめる中間報告書において、まずはフィルタリング関連について報告したのち、秋頃にとりまとめる最終報告書で違法・有害情報対策全般を盛り込むスケジュールを想定している。
また、他の委員からは、検討会での議論が当初からフィルタリングありきの議論になっている点について、「有害情報対策はいろいろな方法ある。その方向性を議論すべきであり、フィルタリングはその1つに過ぎない」との指摘や、現状モデルでは問題があるにもかかわらず導入促進を図る方向性を示していることについて、「問題があるなら、解決するまで導入促進は止めるべき」との指摘もあった。
関連情報
■URL
インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/internet_illegal/index.html
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( 永沢 茂 )
2008/02/27 15:23
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