日本ビジュアル著作権協会(JVCA)は4月30日、同協会に所属する著作権者180人が、米Googleの書籍検索サービス「Google Book Search(Googleブック検索)」を巡って、Googleと米国の作家協会や出版社協会との間で争われた裁判の和解案グループから、離脱したことを発表した。180人には、詩人の谷川俊太郎氏や作家のねじめ正一氏らが含まれる。
米Googleでは、米国の「Google Book Search」において、著作権保護期間内であっても絶版または市販されていない書籍については全文閲覧を可能とする計画を打ち出したが、米国の作家協会や出版社協会がこれに反対。2005年にGoogleに対して集団訴訟を起こしたが、2008年10月に和解に合意している。
和解案では、Googleが著作権保護期間内の書籍の使用により得た収益の63%を権利者に支払うことなどが定められたが、和解案の対象は「米国著作権を有する人物」とされているため、著作権に関する国際条約の「ベルヌ条約」により、日本の著作権者も和解集団に含まれることになる。このため、訴訟の和解管理者は日本の著作権者に対して、和解に同意するかどうかの意思表明を5月5日までに行うよう求めていた。
JVCAでは、2月に和解についての新聞広告などが掲載され、報道されて以来、多くの会員から問い合わせを受けており、その多くは複雑な事態に対する困惑と一方的な通知に対する憤りの声だったと説明。JVCAでは、日米双方の提携弁護士事務所に和解文書の精査を依頼し、対策について検討を重ねてきたが、会員に対しては4月上旬に和解に同意しないよう勧告を送り、4月30日現在で180人の著作権者が和解からの離脱を表明したという。
一方、米Googleと訴訟関係者は、和解への参加・不参加を表明する期限の延長を裁判所に対して申請。期日は5月5日から9月4日に延長された。
JVCAでは、和解離脱を表明した180人の著作権者の離脱手続きを事務局で進めており、提携弁護士事務所からはGoogleに通知を送り、和解の枠組みとは別にGoogleと交渉を進める予定としている。また、和解期限が延期されたことで、多くの著作権者にもう一度考えてもらう時間ができたとして、JVCA会員以外の著作権者、各種団体、出版社などに対しても、広く和解離脱を呼びかけ、離脱を希望する著作権者・団体などの受け皿として活動していきたいとしている。
JVCAでは、この問題についての特設サイトを開設。集団和解離脱に関する記者会見の模様などを公開している。
関連情報
■URL
JVCAのGoogleブック検索に関する特設サイト
http://www.jvca.gr.jp/tokushu/google09.html
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( 三柳英樹 )
2009/05/07 18:25
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