これまで、不景気も関係なく順調に成長を続けていると見られていたGoogleが、先週は6つのサービス終了と100人規模の人材削減を同時に発表しました。米Appleのスティーブ・ジョブズCEOの病気療養、米Yahoo!のCEOにCarol Bartz氏就任と米有力企業トップに関するニュースが相次ぎましたが、Googleのリストラのニュースの流れで読むと、不安な雲行きを感じてしまいます。Googleについては、「Google Apps」再販プログラム開始などの前向きなニュースもあるのですが。
一方、国内の大きなニュースとしては、2007年秋から検討されていた「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の最終報告書が発表になりました。後半では、こちらについて解説します。
◆総務省の違法・有害情報対応検討会、最終報告書をとりまとめ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/01/14/22088.html
総務省「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」が1月14日に最終報告書をとりまとめ、16日に公表した。本年4月の「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(青少年ネット規制法)」施行から、2011年度までに講じるべき施策を提言しており、同省の「『安心ネットづくり』推進プログラム」の骨子となるもの。内容の詳細は後半で解説します。
◆米Google、「Google Video」のアップロード機能など6サービスを終了
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/01/15/22105.html
1月14日、米Googleは、「Google Video」への動画アップロード機能停止など6サービスの終了を発表した。「Google Notebook」は開発停止、「Google Catalog Search」は終了、「Jaiku」は開発を停止しオープンソース化、「Dodgeball.com」「Google Mashup Editor」も終了する。同日、人材採用部門スタッフ100人の削減とオフィス3カ所の閉鎖も発表している。
◆米Yahoo新CEOにAutodesk元CEOのCarol Bartz氏が就任
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/01/14/22084.html
1月13日、米Yahoo!は、Carol Bartz氏のCEO就任を発表した。同職は、共同創業者のJerry Yang氏が後任が決まり次第辞職する意向を表明していたもの。Bartz氏は米AutodeskのCEOを14年間勤め、株価を10倍以上に成長させた実績がある。
◆米AppleのジョブズCEO、6月末まで病気療養
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/01/15/22095.html
1月15日、米Appleは、スティーブ・ジョブズCEOが6月まで病気療養のため休職すると発表した。ジョブズCEOの体重減少について各所で噂され、死期が迫っているとの報道まで流れていた。療養期間中はCOOのTim Cook氏が日常業務を代行する。
◆中国のインターネット利用者、3億人が目前に
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/01/15/22106.html
1月13日、CNNICは、中国におけるインターネットの利用状況をまとめた「第23次中国互換網発展状況統計報告」を発表。2008年末時点のインターネット利用者は2億9800万人で、前年から8800万人の増加。約90%がブロードバンドを利用しているとした。携帯電話での利用者、地域別分布などのデータも公開している。
● 民間の取り組みを重視「安心ネットづくり」への提言まとまる
総務省「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」は、1月16日に最終報告書を公表しました。インターネット上の違法・有害情報への対策について民間の自主的取り組みを支援・促進すること、法制度など基本的枠組みの整備、リテラシー教育など利用者を育てる取り組みの促進という3つを柱に、提言を行っています。
この検討会は2007年11月に設置され、同年8月に起きた殺人事件(サイトをきっかけに知り合った3人が殺人事件を起こす)などから大きく問題視されていた「闇サイト」や、悪質な出会い系、児童ポルノ、犯罪情報など様々な有害情報に対する施策についての検討を目的としていました。
検討会の始動とほぼ同時期の2007年12月に、有害情報から青少年を守るためとして携帯・PHSのフィルタリング原則義務化を総務大臣が要請。そして2008年6月には、フィルタリングの義務付けなどが盛り込まれた、いわゆる「青少年ネット規制法」が国会で可決・成立します。同法は2009年4月1日に施行し、3年以内での見直しが予定されています。
この法律は民間から多数上がった反対意見を押し切り、拙速に可決・成立された感がありました(その後「iPhoneを想定してなかった」といったこぼれ話もありました)。検討会の提言は、こうした経緯も踏まえて民間の動きとのバランスを取り、順調に運用するための提言といった意味合いを持つと考えられます。
その民間の取り組みとしては、2008年には有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)、インターネット・コンテンツ審査監視機構(I-ROI)など、いくつかのコンテンツ審査団体・研究会の設立が発表されています。今後は適切な官民のパワーバランスのもと、ネットの有害情報等への対策が進められていくことが期待されます。
詳しい情報は、以下の関連記事インデックスもご覧ください。
・本誌記事で振り返る「青少年ネット規制法」
・ネット上の“有害情報”をめぐる動き
2009/01/19 11:39
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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