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ネット上の犯行予告情報を共有するためのサイトとして6月に開設された「予告.in」 |
未成年者が使う携帯電話のフィルタリング義務化や、さらに広範囲の規制になる“青少年ネット規制法”について、2008年に入って活発に議論されるようになった。こうした規制に対しては問題点が指摘される一方、硫化水素自殺が相次いだことや、秋葉原での殺傷事件ではネット上の犯行予告がクローズアップされ、何らかの対策が求められる状況になっている。ネット上の“有害情報”をめぐる2008年の動向を本誌記事で振り返る。
なお、ここでリストアップしたニュース記事のほか、1月より掲載中の連載「10代のネット利用を追う」でも、青少年のネット利用という観点から、携帯フィルタリングや青少年ネット規制法などについて関係者に取材しているので、あわせて参照してほしい。
● 硫化水素による自殺、警察庁が“有害情報”として削除要請へ
硫化水素による自殺は、ネット上でその方法が広まったことに端を発していると言われている。警察庁では、これを“有害情報”として削除要請する姿勢をとった。
● ネット上の犯行予告、警察庁が110番通用呼び掛け
ネット上の犯行予告については、警察庁では110番通報するよう呼び掛かけるとともに、摘発も強化しているようだ。一方、総務省では有害情報の検知技術の検討へ乗り出すとしており、民間では犯行予告情報を共有するためのサイト「予告.in」も登場した。
● 携帯フィルタリング、義務化騒動で課題が浮き彫りに
総務省が2007年11月末に開始した「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」で、ネット上の違法・有害情報への対策について議論がスタート。ところが直後の12月中旬、その議論を待たずに、未成年者が使う携帯電話へのフィルタリング適用義務化が総務大臣要請というかたちで発表される。しかし、検討会の場などで携帯フィルタリング義務化の問題点が指摘されるようになり、2008年に入ってからは改善に向けた議論が行われ、リテラシー教育の必要性などの議論にも発展している。
一方、政府の教育再生懇談会では、「必要がない限り小中学生に携帯電話を持たせないこと」などとする報告書をとりまとめるなど、依然として子どものネット利用を強く規制する考え方もある。
● “青少年ネット規制法”にネット業界からの反対声明相次ぐ
6月に国会で可決・成立した「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」いわゆる“青少年ネット規制法”。ネット業界などからはこれを懸念する声や反対声明が多く挙げられ、本誌でもこれら反対派の意見を報じる記事が多く掲載されている。一方、推進派の考えを伝える記事はほとんどないが、自民党の高市早苗・衆議院議員にインタビューした連載記事を参照されたい。
● 青少年ネット規制法を受け、民間でも自主規制の動き
携帯フィルタリング義務化や青少年ネット規制法を受けて、業界団体などが自主規制へ向けた動きも本格化した。今後、実効性のある運用が求められる。
(2008/08/12)
[編集部]
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