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「iPhoneでSuica」の時代が到来~Apple Payで日本の決済はどう変わる?
2016年11月4日 06:00
2016年10月25日。Appleの決済プラットフォーム「Apple Pay」がついに日本へ上陸した。さまざまな会社が発行したカードをiPhoneへ電子的に保存することで、安全性と利便性の両立を狙った、意欲的なサービスだ。Apple Payによって日本の決済がどう変わっていくのか? 関連各社の対応状況を追った。
iPhone 1台で電車やバスに乗れる! Apple Pay×Suicaの実力はいかに?
Apple Payがさまざまなカードを抱合するプラットフォームであることはすでに述べたが、その中でも最大のメリットと目されるのが、JR東日本発行のSuicaへの対応だ。今のところ、利用できる端末はiPhone 7/7 PlusおよびApple Watch Series 2の日本向けモデル限定。しかも、世界的に見れば超ローカルなSuicaへの対応のために、わざわざ専用チップを搭載するという、異例の対応をApple側で行っている。その実力はいかに?
Apple Pay
http://www.apple.com/jp/apple-pay/getting-started/
Appleによる公式サイト。Apple Payのメリットが一通り解説されている。なお、日本国内でApple Payをフルに活用するには、iPhone 7/7 PlusおよびApple Watch Series 2が必須。それ以前の機種ではSuica機能などが利用できない点に注意しよう。
Apple Payサポート
https://support.apple.com/ja-jp/apple-pay
https://support.apple.com/ja-jp/HT206638
同じくAppleのサイトだが、こちらはサポート情報を中心に掲載。初期設定の方法はもちろん、万一Apple Pay利用登録済み端末を紛失した場合の対処などにも言及している。何か困ったことがあったら、まずはこのページを覗いてみよう。
Suica
http://www.jreast.co.jp/appsuica/
http://www.jreast.co.jp/suica/
JR東日本のウェブサイト。Apple PayでSuicaを利用するための方法をさらに詳しく解説している。まず実際の登録にあたって覚えておきたいのが、iPhoneの基本ソフト(iOS)を「10.1」以降にバージョンアップしておくこと。さらに、Suica専用アプリをApp Storeからダウンロードしよう。あとはSuicaカードが手元にあれば準備は完了だ。
ただし、iPhoneにSuicaをタッチして残高などを取り込む機能について、アクセス集中などの影響で上手く完了しないことがあるという。この公式サイトでも状況が報告されているので、心配な人は適宜確認を。
ビューカード Apple Pay
https://www.jreast.co.jp/card/function/ap/
JR東日本グループが発行しているクレジットカード「ビューカード」。Suica機能の一体化、また「モバイルSuica」(フィーチャーフォンやAndroidスマホでSuica相当の機能を利用するためのサービス。システム上の扱いはSuicaと微妙に異なる)の年会費が当面無料になるなど、他にない数々のメリットを備える。
だが、Apple Pay対応にあたっての制限もあり、例えばビューカード一体型のSuicaで利用中の定期券やチャージ残高に関する情報は、iPhone側へ転送できないという。詳しくは「よくある質問」を参照のこと。読み進める際には「ビューカード」と「Suica」が根本的に別サービスである点に留意を。
ビューカード Suica・オートチャージのご利用・設定
https://www.jreast.co.jp/card/function/autocharge/
http://appsuica.okbiz.okwave.jp/
ビューカードのメリットの1つに「オートチャージ」がある。Suicaの電子マネー残高が一定額を下回った場合、改札入場時に自動で金額がチャージされる機能だ。この機能はApple Pay登録Suicaにも適用されるが、その際にはクレジットカード登録でビューカードを指定しなければならない。JR東日本によるQ&Aサイト(ドメインはokwave.jp)でもこの点について解説している。
au iPhone Apple Pay
http://www.au.kddi.com/iphone/service/apple-pay/
Apple PayはNFC対応のiPhoneであれば利用可能(もちろんSuica関連機能はiPhone 7/7 Plusだけだが)。契約中の携帯電話会社には依存しない。こちらはauによる解説だが、その他の携帯電話会社のiPhoneを利用している人でも、十分参考になる内容だ。
マネーフォワード Apple Payで!マネーフォワードとSuicaを!ついに連携する!
https://moneyforward.com/engineers_blog/2016/10/25/apple-pay-suica/
オンライン家計簿・会計サービス「マネーフォワード」の関連ブログ。iPhone 7のSuica導入の効果として、ウェブサイト経由での支払い履歴取得が可能になったことを紹介している。このデータはマネーフォワードでの経費精算などに流用できるという。
クレジットカードもiPhoneに取り込める! 事業者側の対応は?
日本におけるApple Payサービスのうち、Suicaと並ぶもう1つの柱がクレジットカード対応。おおまかにいって、手持ちのカードが「QUICPay」ないし「iD」に対応していれば、iPhone 7/7Plusへ必要情報を転送し、店頭での決済などに使えると考えてよい(当然例外はあるが)。そして、レジに決済手段を伝える時は「Apple Payで」ではなく、QUICPayとiDいずれかを申告するのが正しい。
一方で、既存のiPhone 6/6 Plus/6s/6s Plus/SEについては、店頭タッチ決済こそ未対応なものの、ウェブやアプリ内からのオンライン決済を行うことができる。少々紛らわしいが、こちらについても見ていこう。
iDとApple Payで、多様な毎日をシンプルに。
http://id-credit.com/pay/
iPhone 7を使って、国内リアル店舗でのクレジットカード決済をタッチで行う際の裏方となっているサービスは2つ。まずは「iD」だ。フィーチャーフォン時代からサービスが展開されており、例えばマクドナルドでの会計に使える。こちらのページでは、対応カード会社の紹介のほか、簡単なQ&Aがまとめられている。
QUICPay with Apple Pay
http://www.quicpay.jp/promotion/new-service/20160908.html
Apple Payによるタッチ決済方式のもう1つが「QUICPay」だ。利用にあたっての設定方法はiDとほぼ一緒。端末の「Wallet」アプリからカード追加操作を行い、カード表面をカメラ撮影したり、あるいは別の認証手段(SMS送信)などと組み合わせることで完了する。会計時には同じく「Wallet」アプリを操作して、さらに指紋認証を毎回行う必要がある。もちろん、QUICPay非対応のお店では使えないのでご注意を。
三井住友VISAカード Apple Payの概要
https://www.smbc-card.com/nyukai/add/applepay/
上記2サービスのうち、iDを採用するのが三井住友VISAカードだ。Apple Payへの登録にあたって、利用状況オンライン確認サービス「Vpass」のアカウントを取得しておき、かつ携帯電話番号を登録しておくと、手続きがよりスムーズという。
JCB Apple Pay
http://www.jcb.jp/products/apple-pay/
クレジットカード大手のJCBでは、発行するカードの多くでQUICPayを採用している。こちらのページを見れば、Apple Pay対応JCBカード発行会社などを確認できる。設定・利用方法についても画面写真付きで詳しく紹介中。
セゾンカード・UCカードとApple Payという新しい支払い方。
https://www.saisoncard.co.jp/services/ap/
セゾンカード、UCカードにおけるApple Pay対応状況を掲載。基本的にはQUICPayを使うことになる。なお、各種キャンペーンを実施しており、Apple Payで店頭決済した場合は777円キャッシュバックされる。期間は12月31日まで。
オリコカードならより多くの場所でApple Payが使えます
http://www.orico.co.jp/applepay/
オリコカードでは主にQUICPayを採用。なお、事前にエントリーの上で1万円以上Apple Pay決済すると、その10%がポイントバックされるキャンペーンを2017年1月31日まで開催中。
dカードでApple Payを使おう
http://d-card.jp/st/pay/
NTTドコモグループのクレジットカード。Apple PayではiDによってタッチ決済することとなる。なお、ドコモ電話料金との一体請求を基本とする「dカードmini」については、Apple Payで利用できず、今後の対応予定もないとしている。
au WALLETクレジットカードでApple Payを始めよう
http://www.kddi-fs.com/function/promotion/applepay.php
KDDI系のクレジットカード。Apple Pay対応をすでに果たしている。なお、似た名称ながら仕組みが全く異なる「au WALLETプリペイドカード」のApple Pay対応については別途告知するとしている。
楽天カード Apple Pay登場。
https://www.rakuten-card.co.jp/service/applepay/
楽天カードもApple Payに対応しており、実際にはQUICPayを使って決済する。FAQも掲載されているので、自分の持っている楽天カードが本当に登録できるか、確認したい場合などに参照しよう。
イオンカードとApple Pay
https://www.aeon.co.jp/apple-pay/
イオン発行のカードでは主にiDでのタッチ決済をサポートする。登録手順も他のサイトとほぼ同じ。ただし、Visaクレジットカードとプリペイドカードは、iPhone 7とApple Watch Series 2にのみ追加できるとしている。
セブンカードApple Pay取扱開始について
http://www.7card.co.jp/info/20161025/
セブン&アイ・ホールディングスのグループ会社が発行する「セブンカード」。現時点では、JCBブランドのカードのみがQUICPayでのApple Pay決済に対応する。しかし、セブン-イレブンなどグループ店舗利用時のポイント・割引特典が受けられないといった制限もある。
TS CUBIC CARD Apple Pay登場。
https://ts3card.jp/myts3/ts_appay/
トヨタ系列のクレジットカード会社。Apple Payへの登録にあたっては、主にQUICPayでの支払いを行うことになる。登録から3カ月間限定のポイント5倍キャンペーンを実施。設定締切は2017年3月31日。
三菱UFJニコス
http://www.cr.mufg.jp/
Apple Payが現状では一切使えないというカード会社もいくつかある。「DCカード」などで知られる三菱UFJニコスは、9月14日の時点で対応を表明しているものの、10月末の段階では利用不可。時期については改めて告知するとしている。
「JALカードSuica」 Apple Payへの対応について
https://www.jal.co.jp/jalcard/announce/161025/
JALカードは今のところ「JALカードSuica」のみがApple Pay対応を済ませている状態(このカードはJR東日本のビューカードのロゴが入っている)。その他の「JAL・Visaカード」「JAL・MasterCard」などへの対応は未定という。
全国タクシー iOSの方へ Apple Payが使えるようになりました!
https://japantaxi.jp/notes/2016/10/25/01.html
Apple Payがサポートするのは、Suica/iD/QUICPayでの店頭レジ決済だけに限らない。iPhoneのブラウザーやアプリで、通販・サービス類の注文を行う際の「オンライン決済」にも適用できるのだ。こちらのタクシー配車アプリは乗車前にクレジットカード決済を指定できたが、この方法にApple Payが加わる。なお、このアプリと関係なく、タクシー内にiD/QUICPay対応リーダーが設置されているケースもある。
TOHOシネマズ Apple Payのご利用方法
https://www.tohotheater.jp/applepay/
https://www.tohotheater.jp/news/_apple_pay.html
こちらもApple Payオンライン支払いの例。この形態の支払いだと、iPhone 7/7Plusに加え、iPhone 6/6 Plus/6s/6s Plus/SEでもApple Payを利用できる。また、クレジットカード番号を入力する手間も減らせる。
出前館でApple Payが使えるようになりました。
https://demae-can.com/link/cam/applepay1610
ネットでピザなどの配達注文ができる「出前館」では、アプリにおいてApple Pay対応を実現した。オンライン決済型なのでiPhone 6からの利用もOK。さらにApple Pay利用者先着1万名を対象にTポイント1000ポイント分のプレゼントも。
Mastercard、Apple Payへの対応開始について
http://newsroom.mastercard.com/asia-pacific/ja/press-releases/newsroom-160909/
国際カードブランド「マスターカード」では、9月9日のiPhone 7発表にあわせてApple Pay日本サービス開始の方針を打ち出した。これに対し、VISAはApple Payの国内オンライン決済に非対応である点が知られている(VISAのマークが付いたカードでも、iDやQUICPayでの店頭タッチ決済は可能)。
プリペイド、デビット、QRコード……多様化する決済手段
決済市場は巨大だ。Apple Payと直接競合するようなサービスもあれば、クレジットカードを代替する「QRコード決済」などの手段も次々と生まれている。各社の主要な取り組みについて、以下にまとめた。
Android Pay(英文)
https://www.android.com/pay/
Apple Payと並んで注目される決済技術。米Googleが開発を主導するAndroidに最適化され、米国などですでに先行スタートしている。気になる日本展開については未だ不明。続報が待たれる。
ペイパル
https://www.paypal.com/jp/
米国などで極めて高い認知度を誇る決済手段。クレジットカード番号をペイパルに登録しておき、以後はIDとパスワードで決済する方式のため、セキュリティ面で有利なのが魅力(お店にクレジットカード番号が伝わらない)。この点でApple Payと目指すところは同じだが、ペイパルは店頭の対面決済が利用しづらい。
LINE Pay
https://line.me/ja/pay
無料メッセージ・通話アプリ「LINE」の派生サービス。近年増加しつつある、プリペイド式の決済方法となっており、あらかじめチャージした金額の分だけ、JCB加盟店において使える。また、ネット決済だけでなく、発行されるプラスチックカードを使えば対面レジでも使用可能。
ソフトバンクカード
http://www.softbank.jp/card/
http://www.softbank.jp/card/special/member/apple-pay/
ソフトバンク携帯電話契約者なら無料で取得できる。プリペイドカードで、なおかつApple Payに対応するという、かなり珍しいカード。「おまかせチャージ」オプションを付与すると、後払いのクレジットカード感覚で使えるようになる。
ANAプリペイドカード
https://www.ana.co.jp/amc/promo/ana-prepaidcard1605/
航空大手のANAが発行するプリペイドカード。やはり事前に金額をチャージし、その範囲内でVISA加盟店決済を行える。利用額に応じてANAのマイルが貯まるが、ネットバンキングなど一部チャージ手段で1回200円の手数料がかかる。
おさいふPonta
http://www.osaifuponta.lawson.co.jp/
コンビニのローソンでもプリペイド式のカードを発行中。JCB加盟店で利用でき、さらに1枚のカードにPonta(ポイントカード)機能も統合しているのが特徴。ローソンでのャージも可能。
WebMoney Card
http://sp.webmoney.jp/masterwm/
KDDIの100%子会社であるウェブマネーが運用する電子マネー。事前チャージの必要はあるが、多くのMasterCard加盟店で利用できる。
SMBCデビット
http://www.smbc.co.jp/kojin/debit/
「現金よ、今までありがとう」という、なかなか挑発的(?)なキャッチコピーを掲げる。三井住友銀行に預けた残高の範囲内で、Visa加盟店においてカード決済ができる。カード/オンラインともに利用可能。年会費無料。
三菱東京UFJ-VISAデビット
http://www.bk.mufg.jp/tsukau/visadebit/
こちらは三菱東京UFJ銀行の口座残高に紐付いたカード。年会費は1080円だが、年間10万円以上の決済を行えば翌年度は無料化される。なお、これら「デビット」のサービスは国内銀行でかなりの広がりを見せている。気になる方は、利用中の銀行のサイトをチェックしてみてほしい。
楽天ペイ
http://pay.rakuten.co.jp/
楽天が10月末に発表したばかりの決済サービス。店側の端末に決済用QRコードを表示し、客はそれをスマホのカメラで撮影。画面で最終確認操作を行うと支払いが完了する。店・客ともに一般的なiOS/Android端末さえあれば利用できるのが魅力。
Airウォレット
https://airregi.jp/wallet/
上記「楽天ペイ」のようなQRコード決済は、中国で人気という決済手段「アリペイ」にも通じるところがあり、今後日本でも脚光を浴びそうだ。Airウォレットはリクルートが2014年から手がけている決済サービスで、やはりQRコードを利用する。
Yahoo!マネーとは
https://wallet.yahoo.co.jp/promotion/campaign/
Yahoo! JAPANが手がける電子マネーサービス。銀行口座と連携し、「1カ月あたりの利用限度額」を任意に決められるようになっている。現在はヤフオク!での代金支払いなどにしか使えないが、当初の発表によれば外部ストアへの拡大、リアル店舗決済も視野に入っているという。
Tマネー
http://tsite.jp/pc/r/tmoney/
共通ポイント制度として普及が進む「Tポイント」のカードを、そのまま電子マネーとして使えるのが特徴。利用可能店舗はファミリーマートなど。月間利用額500円あたりに1ポイントを還元する制度もある。
楽天Edy
https://edy.rakuten.co.jp/
iPhone 7でSuicaは利用できるようになったが、この楽天Edyを筆頭に、WAONやナナコなど既存の電子マネーまで利用できるようになるのかは、現状では全く分かっていない。Appleの一挙手一投足に、今後も注目する必要がありそうだ。