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金属加工と空間演出のコラボレーション、日本のものづくりをデジタルな手段で世界へ~株式会社ティーアンドエス

コンテンツ東京2025:第1回イマーシブテクノロジーEXPO 会場レポート

 「コンテンツ東京2025」が、7月2日~4日の日程で、東京ビッグサイトにて開催されている。関連する複数の展示会が同時に行われるイベントで、「ライセンシング・ジャパン」「映像・CG制作展」「クリエイターEXPO」「広告クリエイティブ・マーケティングEXPO」「コミュニケーションEXPO」のほか、今年はリアル体験に特化した五感を刺激する最新のイマーシブテクノロジー(没入型技術)が集結した「第1回イマーシブテクノロジーEXPO」が初開催となり、6つの複合展示会となった。

 このイマーシブテクノロジーEXPOに、クリエイティブ集団の株式会社ティーアンドエス(T&S)が出展している。

株式会社ティーアンドエスのブースの壁

デジタル×金属による演出を展示

 ティーアンドエスは6月26日に、金属などのデザイン研磨の技術を持つ株式会社美光技研と戦略的パートナーシップ契約を締結した。今回のブースでも、ティーアンドエスの空間演出ツール「Ambience」に、美光技研の加工した金属を組み合わせて展示していた。

 Ambienceは、ソフトウェアベースでLED照明や動画などによる演出を1カ所で統合的にできるシステム。タイムライン制御やイベント制御などができる。

 ブースでは、銀色の金属のパネルを配置。このパネルは薄く、細かい穴が多数空いており、その背後にディスプレイを設置して金属ごしに映像を再生した。また、それとLED照明とをAmbienceでコントロールし、来場者も操作を体験できるところを展示していた。

 ブースの説明によると、ティーアンドエスは映像だけなど単体を作るのではなく、企画から演出まで一貫して作る「体験を作る会社」ということを、展示で示しているとのことだった。

ティーアンドエスと美光技研のコラボによる展示。人間の顔ほどの高さにある銀色のパネルが美光技研による金属板で、その背後のディスプレイで映した映像が透けている。なお場面は後述のトークショー
Ambienceの画面。画面左のタイムライン制御で動画を再生し、画面右からLED照明を制御している
金属パネルをアップで見たところ

常設ロケーションでティーアンドエス×美光技研の展示を

 ブースでは、ティーアンドエス代表の稲葉繁樹氏と、美光技研代表の和田昇悟氏によるトークショーも開かた。

 まず、パートナーシップの目的についての話題となり、稲葉氏は、美光技研のような日本のものづくり技術はすばらしいということで、それをティーアンドエスのデジタルな手段によって世界中に届けたいと答えた。

ティーアンドエス 代表 稲葉繁樹氏

 一方の和田氏は、最初「なぜうちが、というのが正直な感想」だったと告白。ただし、実際に話すると、離れた分野だが親和性があると感じたと語った。

美光技研 代表 和田昇悟氏

 今後コラボレーションによって実施することについて、稲葉氏は、Ambienceを使った常設のロケーションがこれから増えるので、そこで金属加工の作品と組み合わせたものを設営したいと語った。また、今回の展示のようなものをホテルのインテリアにもできると述べた。

 これに対して和田氏は、デジタルの世界はとてつもないスピードなので、一生懸命についていくと語った。ただし稲葉氏も、「日本のものづくりの方々は、これがいいと思ったら作ってしまう速さがある」とコメントした。

 最後に和田氏が、伝統的なものづくりとデジタルという、一見遠いものをかけあわせて、新しい価値を生み出していきたい、と締めくくった。

ティーアンドエスの稲葉氏と美光技研の和田氏

レースの没入作品や、AIによるムードボード作成を、来場者が体験

 ブースの大きなスペースでは、「イマーシブ×ドライブシミュレーション」を展示し、来場者が体験できるようになっていた。

 5月に富士スピードウェイで開催された「NAPAC富士24時間レース」の会場で大型ドームテントを使って実演された没入体験作品「DIVE into RACING」の一部を再編集したもの。富士スピードウェイのコースを走る映像をドライブシミュレーターに乗って体験するもので、車体の揺れなども表現される。なお、これにもAmbienceが使われている。

「イマーシブ×ドライブシミュレーション」
「イマーシブ×ドライブシミュレーション」のAmbience

 また、「体験提案AI」(生成AI体験)コーナーでは、自動車の車種・ロケーション・環境・雰囲気という要素をリファレンス画像で選択すると、コンテンツの「ムードボード」を生成AIが作ってくれるところを、来場者が体験できるようになっていた。

自動車の車種・ロケーション・環境・雰囲気という要素をリファレンス画像で選択
コンテンツの「ムードボード」を生成AIが作ってくれる