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「速く」「共有する」「備える」、Googleが震災対応で学んだ3つのこと


 3月11日の東日本大震災が発生した直後、グーグル株式会社は1時間46分後に被災者の消息を検索できる「Google Person Finder(パーソンファインダー)」を公開したり、その後も被災地域内で通行実績のあった道路をGoogleマップ上に表示する「自動車・通行実績情報マップ」など、数々の支援サービスを提供してきた。

 これらのサービスを手がけたのは、災害対応を行うための「クライシスレスポンスチーム」。そのメンバーの1人で、シニアエンジニアリングマネージャーを務める賀沢秀人氏は、震災対応で3つのことを学んだと振り返る。「速く、早く」「共有する」「備える」ことの大切さだという。

グーグルでシニアエンジニアリングマネージャーを務める賀沢秀人氏

出して、聞いて、直す

 「速く、早く。」とは、とにかく迅速にサービスを投入することだ。「未曾有の震災と言われる状況で、どのような情報が必要なのかがわからなかった」というが、震災後は「これだと思う」サービスを「とりあえず」リリースし続けた。意識したのは「出して、聞いて、直す」ということだ。

 「リリース後の反応がよければ、さらに伸ばす方法を考える。うまくいかなければ直す。役に立たなければやめてしまってもよい。この点は自分たちでもできたと自負している。4月に被災地に行って感じたのは、状況は時々刻々と変わるということ。そうした状況では速く動いて、早く出すのが大切だと実感した。」

「共有する」ことで「1+1」が2を超える

 2つ目に学んだのは「共有する」ことだ。その重要さに気付くきっかけは、被災地の避難所に置かれている名簿を携帯電話で撮影し、メールを送信すると、Googleの写真共有サービス「Picasa」で名簿の写真を公開できるようにするサービスだったと、賀沢氏は振り返る。

 同サービスは当初、「名簿写真が集まればいい」という思いでスタート。ところがその後、ボランティアが名簿写真の情報をテキスト化し、パーソンファインダーに入力したことで、名簿情報をもとに安否確認が行えるようになった。最終的には5000人以上のボランティアが14万件以上のデータを入力したという。

 「我々が想定していたのは名簿写真を集めることだけ。しかし、(パーソンファインダーで)共有してもらうことで『1+1』が2を超えた。災害関連情報を持っていても、どこに伝えればいいかわからない人も多いと思いますが、その受け皿となる箱を用意して、共有できる場所を提供すれば、とても大きなネットの力が最大限発揮されるはず。」

共有することで「1+1」が2を超えるという

「備える」ことが究極の対応

 グーグルは震災直後にパーソンファインダーをリリースし、2011年4月下旬には67万件の安否情報が登録されたという。この数の中には、ユーザーが直接パーソンファインダーに投稿した件数だけでなく、NHKの「安否情報ダイヤル」や携帯電話各社の「災害伝言板」に登録された件数も含まれている。

 また、東日本大震災の被災地域内で通行実績のあった道路をGoogleマップ上に表示する「自動車・通行実績情報マップ」では、ホンダやトヨタ、日産にデータを提供してもらうなど「通常ではありえないようなスピードと規模で情報が集まった」と評価するが、「次は災害が発生する前にパートナーシップができてなければならない」と話す。

 「何かあったときに情報提供を求めるのでは遅い。備えることが究極の災害対応になる。災害に向けて協力していただけるパートナーを積極的に探すために、問い合わせフォームも用意した。『こんな情報を持っているが災害時に使えないか?』や『パーソンファインダーをこう使ってはどうか』など、気軽に問い合わせしてもらえれば。」

パートナーの問い合わせフォーム

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(増田 覚)

2012/3/7 17:18