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JASRAC、独禁法違反を否定した公取委審決「取消」判決を不服として上告

 一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は13日、JASRACが放送事業者と結んでいる包括契約は独占禁止法違反にはあたらないとする公正取引委員会の審決に対して、東京高等裁判所が審決を取り消す判決を言い渡したことに対して、上告したことを発表した。

 公正取引委員会では2009年2月、放送事業者が使用曲数にかかわらず事業収入の一定率をJASRACに支払う包括的利用許諾契約は、JASRAC以外の著作権管理事業者の参入を阻害しており、独占禁止法違反にあたるとして排除措置命令を出した。

 JASRACではこの排除措置命令を不服として、公正取引委員会に対して審判を請求。2012年6月に、JASRACの行為には他の事業者の活動を排除する効果は認められないとして、排除措置命令を取り消す審決を出した。

 この審決に対して、株式会社イーライセンスが公正取引委員会に対して、審決の取り消しを求めて提訴した訴訟で、東京高等裁判所は11月1日、審決の認定は実質的証拠に基づかないもので、その判断にも誤りがあるとして、審決を取り消す判決を言い渡した。

 JASRACでは、「訴訟の結果により権利を害される第三者」としてこの訴訟に参加し、イーライセンスには原告適格が認められないことや、審決の事実認定は合理的であり、法解釈にも誤りはないため、審決には取り消し理由がないことを主張してきたと説明。東京高裁の判決はこれらの主張をいずれも否定したものだが、いずれの判断も法令の解釈適用を誤ったものであるため、最高裁判所の判断を求める必要があるとの結論に至り、上告を行うことにしたとしている。

(三柳 英樹)