本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)を毎月ピックアップ。中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、幅広い話題をレポートしていきます。
■中国のインターネット人口、9月末の時点で1億7,200万人
10月12日に開催された第九届中国国際高新技術成果交易会において、中国信息産業部副部長の婁勤倹氏が、9月末時点での中国におけるインターネット人口は1億7,200万人と発表した。6月末時点の同利用者は1億6,200万人であったことから、7月から9月までの3カ月間で新たに1,000万人増加したことになる。
■YouTubeへのアクセスが一時期規制される
10月17日の午後から、YouTubeへのアクセス(日本語版など各国版含む)が上海など一部地域でできなくなった。筆者自身も上海において同サイトにアクセスできないことを確認したが、中国各地に在住する日本人に確認すると問題なくアクセスできる地域もあったことが判明した。アクセス禁止は10月31日に解除され、現在はYouTubeにアクセスできる状態となっている。
また、YouTubeへのアクセス禁止と前後して、それまでアクセス禁止となっていたGoogleのblogspotや、Flickrへのアクセスが解禁された。
これらの措置に関して公式な発表はない。中国メディアでは、おそらく中国当局による措置で、15日から21日まで開催された第17回中国共産党大会か、あるいは18日に台湾でYouTube繁体字版のサービスがスタートした影響があるのではと推測している。
■秋のGW「国慶節」のオンラインショッピングの消費は10億元以上
中国の10月第1週の国慶節は、5月の労働節と並び、1週間ほど続く大型連休=黄金週となる。今年の国慶節の間に、中国の消費者はオンラインショッピングで合計して10億元(約155億円)もの消費を行ったと、中国最大のオンラインショッピングサイトの淘宝網のリサーチ部門が発表した。この数字は前年比で2倍以上となる。
商品ジャンル別では、携帯電話やデジタルカメラ、それにノートパソコンなど電子機器類が最も多く、全体の4分の1以上を占める。携帯電話本体の消費だけで9,500万元(約15億円弱)を記録した。
その他の日用品などでも売上は伸びたが、特に書籍やCD・DVDなどは大きく伸びた。書籍は3秒に1冊のペース、計18万冊が売れ、書籍とCD・DVD類を合わせた売上は1,300万元(約2億円強)に達したと報じられた。中国でも、富裕層においては、価格の高い正規コンテンツが買われるようになりつつあるのかもしれない。
■百度、オリンピック特設サイト開設など積極的な動き【10月8日】
百度は北京オリンピック戦略の一環として、特設サイト「百度2008総動員」を開設した。新浪、捜狐、網易など大手ポータルサイトがこぞってオリンピック戦略をアピールする中で、百度もそれに加わった形となった。
百度のビジネス運営副総裁の沈皓瑜氏は、「オリンピックに関連する検索の流量から、インターネットユーザーがどのようなことに興味あるかを分析し公開する。そのため、「百度2008総動員」は他のポータルサイトの北京オリンピック戦略とは異なる」とコメント。既存のオリンピック関連ポータルサイトとは違うコンテンツ作りの方向性で、中国のインターネット利用者にアピールするようだ。
■ドメインの競売会が開催、落札価格100万円を越えるドメインも【10月8日】
サイト「尊米網」が主催する第2回競売会が北京で開催された。BaiDu.net、MangGuo.com、LiuXiang.netなど36のドメインが競売にかけられ、8つのドメインが落札された。
最も人々の興味を集めたのは百度(Baidu)と同じ綴りの「BaiDu.net」だったが、最高で2万元(約31万円)の入札価格があったものの落札とはならなかった。落札されたドメインをいくつか紹介すると、「3GDG.com」が2,800元(43,000円強)、「福建人.com」と福建人の中国語の発音となる「FujianRen.com」「FujianRen.net」を3つセットで8,500元(13万円超)、「67.cn」が10万元(約155万円)で、マンゴーの中国語である「MangGuo.com」が25万元(約387万円)で落札された。
■キングソフト(金山軟件)、香港証券取引所に上場【10月9日】
10月9日、日本でもキングソフトの名で知られる「金山軟件」が香港証券取引所に上場した。初日は1株3.9香港ドルから5香港ドルまで上がる上々の滑り出しとなった。
金山軟件(キングソフト)は、日本でも展開しているセキュリティソフトやオフィスソフト、加えて翻訳ソフトなどのアプリケーション分野とオンラインゲームの分野で製品を展開しており、2006年度の売上はアプリケーションが9,840万元(15億円強)、オンラインゲームが2億1,540万元(約33億5,000万円)となっている。
同社は、今回の上場で得た資金1億9,150万香港ドル(約29億円)をR&D費用に当てると発表。現在の1,000人体制の研究開発人員を、2~3年後には倍増して2,000人体制まで増員し、研究開発面でも競争力をつけたいとしている。
■IT長者9人が、中国の金持ちベスト100にランク入り【10月10日】
英国人経済ジャーナリストであるRupert Hoogewerf氏による研究機関「胡潤百富」が中国の長者番付ベスト100を発表した。IT業に関わるIT長者は、ベスト100までに9人がランクインした。
IT業でトップとなったのは、第4位にランク入りした家電チェーン大手の「国美電器」の黄光裕氏でその額は450億元(7,000億円弱)。国美電器のライバルとなる家電チェーン大手の「蘇寧電器」が380億元(6000億円弱)で9位となった。
そのほか、インターネット関連では「百度」の李彦宏(Robin Li)氏が180億元(2,800億円弱)で29位、中国のPC普及のキラーソフトのひとつであるインスタントメッセンジャーのQQをリリースする「騰訊」の馬化騰氏が120億元(約1,860億円)で50位、オンラインゲーム大手「盛大」の陳天橋氏が100億元(約1,550億円)で65位、大手ポータルサイト「網易」の丁磊氏が80億元(約1,240億円)で81位となった。
ちなみに、1位は不動産業の「碧桂園」の創業者一族の若き女性、揚恵妍氏。その額たるや1,300億元(約2兆円強)と桁外れだ。
■百度、オンラインショッピングサイト開設を発表【10月17日】
百度がオンラインショッピングサイトを開設することを発表した。ビジネスでの百度の利用をさらに推進するのがその狙いだという。サービス開始は来年を予定しており、これが登場すれば、淘宝網の独り勝ちの現状の勢力図が少なからず変わるだろう。百度によれば、淘宝網へのアクセスは百度の検索を経由するユーザーが多く、「自サイトの検索サービスを介して他サイトで買い物する利用者を自サービスに呼び込みたい」としている。
■地図サイト大御所の「MAPABC」、地図にパノラマ写真を掲載【10月24日】
中国の地図サイトは数多くあり、混戦状態となっている。詳しくは5月に特別企画として本誌で掲載した「お隣中国の地図サイト事情~Google Mapsより人気の地図サービスとは」でご紹介したので、ご参照いただきたい。
そうした熾烈なサービス競争の中で差別化を図ろうと、地図サービスでは最大シェアを誇る「MAPABC」が、マップ上の特定場所に限って、クリックするとその場所の360度のパノラマ写真が表示されるシステムを導入した。天安門広場などの有名観光地はもちろんのこと、多くの場所で写真が表示されるようになった。
■グーグル中国、最短ドメイン名「g.cn」の運用を開始【10月29日】
グーグル中国は世界でもトップクラスの短さのドメイン「g.cn」の運用を開始した。このドメインの運用の背景には、googleのスペルミスが頻発してしまう中国のインターネット利用者を考慮してのもの。
グーグル中国は、中国における百度との熾烈な検索市場におけるシェア争いのため、日本とは比較できないほど現地化政策を行なっている。たとえば、ドメインでは「g.cn」の前には「google.cn」や中国名の「谷歌」の発音をドメインにした「guge.cn」を既に運用している。
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山谷剛史の海外レポート
http://internet.watch.impress.co.jp/static/others/travel/060126/index.htm
中国のネット人口は1億2,300万人、回線はADSLが主流に
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/07/21/12742.html
ワールドカップで盛り上がった中国インターネット
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html
(2007/11/07)
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山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。
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