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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿
2008年10月

 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわる政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、それに中国インターネットのトレンドなどをレポートしていきます。


マイクロソフトの海賊版対策に反対の大合唱~8割が海賊版

 マイクロソフトが今年の夏から始めた海賊版対策に、中国ではインターネット利用者のほぼすべてが声を合わせて反対を叫んでいる。

 このマイクロソフトの海賊版対策とは、海賊版を使っていると壁紙が黒一色に変えられてしまい、海賊版の利用をやめるよう訴えるメッセージが壁紙の一部に表示されるというもの。このマイクロソフトの対策については、本誌でも8月のニュース記事でお伝えしているので、詳しくはそちらを参照していただきたい。

 壁紙を真っ黒にするマイクロソフトの対策について、中国の各ポータルサイトでは大々的に紹介。読者アンケートもあちこちで実施されたが、「マイクロソフトの対策には反対。今後も海賊版を使い続ける」という意見が多数を占める。

 具体的にはたとえば、ポータルサイトQQで行ったアンケートの場合、現在利用しているOSについて8割強が海賊版と回答。また、ほぼ同じ回答率で「マイクロソフトの今回のやり方に反対」と回答している。今後海賊版を使い続けるか、という質問には6割が使い続けると回答している。

マイクロソフトの中国サイトでは、トップページで正規版への乗り換えキャンペーンをアピール 海賊版を使っていると壁紙が真っ黒になり、画面の右下隅に海賊版の利用をやめるよう訴えるメッセージが表示される

百度、キラーサービスとなるオンラインショッピングサイトを開始

 百度は18日、オンラインショッピングサイト「有〓(〓は口へんに阿。“ありますよ!”の意)」< http://youa.baidu.com/ >をスタートした。

 中国では、現在のインターネットのキラーサービスはオンラインショッピングとなっている。そこに、中国インターネット業界の巨人、百度が参入を表明したとあって、サービス開始前から中国では非常に大きな話題となっていた。

 今後百度は、オンラインショッピングのブームを作った「淘宝網(TAOBAO)」と競うことになる。言い換えれば、百度は、中国のインターネット業界のもうひとりの巨人、淘宝網を配下に抱えるAlibabaに真っ向勝負を挑むことになる。

 百度のショッピングサイト「有〓(〓は口へんに阿)」は、淘宝網に慣れた中国のインターネット利用者向けのサービスだけに、淘宝網に似た使い勝手となっている。淘宝網と同様に、百度も第三者支払いサービス「百付宝」を同時に提供することで、同サービス利用者に安心感を与えている。良く言えば、淘宝網の利用者もすんなり利用できるが、悪く言えばオリジナリティに乏しいといえる。

 もっとも、「有〓(〓は口へんに阿)」も、淘宝網とまったく同じというわけではない。たとえば、携帯電話のプリペイドカードやオンラインゲーム用のチャージカードなど、メール送信で事足りる商品については、客が購入した時に商品自動発送が可能になっている。淘宝網をさらに改良しようとする努力はあちこちに見られる。

 ちなみに、日本では、10月16日に新型のPSPが、11月1日にNintendo DS iが発売されたが、中国のショッピングサイトではこうした日本製の新型ゲーム機が多く販売される。今回も、淘宝網と有〓の両サイトで両ゲーム機の予約販売が行われたが、現時点では淘宝網で販売する利用者の方が圧倒的に多いことが見てとれた。

 中国のリサーチ会社「China IntelliConsulting Corporation(北京正望咨詢有限公司)」の10月の発表によれば、38万人が淘宝網での店舗運営により仕事を得ているという。百度の参入による競い合いで使い勝手やサービスの質が向上すれば、利用者が増え市場が拡大し、さらに多くの人に就業の場を与えることになると見られている。


「バーチャルマネーに所得税」でインターネット利用者は猛反対

 中国国家税務総局が10月28日に、「個人がオンラインでバーチャルマネーを利用して売買することによる収入に関する個人所得税について」という“お触れ”を発表。バーチャルマネーを利用するインターネット利用者が少なくない中国では、お触れが出るや、大きな話題となり、バーチャルマネーの移動で一律20%の所得税が課せられるらしいという噂が飛び交った。

 中国ではメールアドレスは持っていなくてもQQのIDは持っているというくらいチャットソフトのQQは人気がある。QQは、バーチャルマネー付きのサービスでは最大利用者を抱えるサービスであり、QQのIDとバーチャルマネーを利用したアバターやオンラインゲームが人気だ。

 利用者が多いこともあり、バーチャルマネーサービスも信頼度が高いと思われていることから、QQのチャットは使っていないが、QQのバーチャルマネーだけは利用しているという人もいる。こうした背景から、QQのサイトではとくにこの“お触れ”の反応が激しく、かたくなに納税を拒むコメントが、このニュースに関する掲示板のコメント欄を埋めた。

 中国国家税務総局の発表後、北京の地方税務局はこのお触れについて「現在までのところ、これに関する計画について国家税務総局から文書をもらっておらず、いつ始まるのか不明」とコメント。多くのインターネットメディアがこの問題を取り上げてたが、その多くが「流通する全てのバーチャルマネーを把握するのは非常に困難」という分析を紹介している。


SNSが急増。背景にはSNSサイト構築サイトの存在

 米国でのFacebookの成功を機に、中国でそれによく似たデザインのSNSサイトが急増している。その数があまりに多いため、誰もその実数を掴んでいないのが実情だ。これには、ブログにおけるMovable Typeのような、SNSサイトを手軽に構築できるソフトが登場したことが背景にある。

 今年4月に北京の企業が「UCenterHome」というSNSサイト構築ソフトをリリース。リリースからわずか1週間で、4000強のSNSサイトが登場した。現在は200万強の人々が、UCenterHomeを利用したSNSサイトを利用しているといわれる。

 SNSサイトが急増する状況の中、ヤフー中国が10月13日に「雅虎関系(日本語で書くと「ヤフー関係」)」というSNSをリリースした。ヤフー中国によれば、「雅虎関系」は、ヤフー中国が2008年にリリースした新サービスの中でも、最も重要な新サービスのひとつだという。

 「雅虎関系」は実名制を採用。レストランや娯楽、旅行などの生活情報だけでなく、画像や音楽、映像などをシェアできる点が他のSNSサイトとの違いであり、「雅虎関系」の特長であるという。


キングソフト、日本・ベトナム・タイに続き、マレーシアにも進出

 日本ではキングソフトの名前で知られる会社「金山軟件」は、日本を皮切りにベトナム、タイと海外進出を果たしている。10月30日には、新たにマレーシアへの進出を発表した。現地法人は「Kingsoft (M) Sdn. Bhd」という名称で、キングソフトの名前を使う。

 キングソフトの主力商品としては、ビジネスソフト以外に、オンラインゲームが挙げられる。華僑の割合が高いマレーシアにおいて、まずはベトナムでも成功を収めたオンラインゲームで市場開拓する。キングソフトによれば、マレーシアのオンラインゲーム人口は500万人で、今後も年30%の割合で増えていく見込みだという。


iPhone版QQがリリース

 QQを開発・リリースする騰訊(Tencent)がiTunes Apps Storeで、iPhone向けQQを無償公開した。中国ではiPhoneは未発売だが、非公式な形で流通している。iPhoneは各国で携帯電話事業者と組んで販売しているが、非公式な並行輸入品のみが流通している中国では、iPhoneから携帯電話回線を利用することできない。このため、iPhone向けのQQは、携帯電話のインフラを利用するのではなく無線LANを利用する仕様になっている。

 なお、中国のネットとPC普及のけん引役であるQQは、2007年まではWindows版のQQしかリリースしていなかったが、2008年に入ってからは、Linux版(中国独自CPU搭載PC向け含む)、Mac版など、非Windowsプラットフォーム向けのQQを立て続けにリリースしている。


百度に次ぐ中国産検索サイトが著作権侵害で罰則

 百度に次いでメジャーな中国産検索サイト「中捜(ZhongSou)」は、河北省の版権部門から、著作権侵害で10万元(約140万円)の罰金とサーバーの徴収、および著作権侵害行為の停止を命じられた。

 著作権侵害に当たるとされたのが、「中捜」のmp3検索サービスだ。「中捜」では、自社サーバー上で海賊版のmp3ファイルを公開。中捜のmp3検索サービスで検索すると、用意したサーバーにアクセスされる仕組みを構築していた。百度mp3検索で出ず、中捜mp3検索だけで出る海賊版mp3ファイルを不審に思った国際レコード協会の版権部門が調査、当局へ通告することにより明らかになった。


バーチャル紫禁城を一般公開

 北京の天安門広場に面する世界遺産の故宮博物院(紫禁城)が10月10日に83周年を迎える。その記念日に故宮博物院とIBMが共同で、時空を超えたバーチャル紫禁城を公開した。開発に3年、300万ドルの費用がかかったという。故宮博物院は中国の世界遺産の中でも、中国国内外、特に国内に広く認知されていることから、たくさんのメディアがこのニュースを扱った。

 北京の天安門広場に面する世界遺産の故宮博物院(紫禁城)が10月10日に83周年を迎える。その記念日に故宮博物院とIBMが共同で、時空を超えたバーチャル紫禁城を公開した。開発に3年、300万ドルの費用がかかったという。故宮博物院は中国の世界遺産の中でも、中国国内外、特に国内に広く認知されていることから、たくさんのメディアがこのニュースを扱った。


国慶節期間に登場のウィルス、35万台のPCが感染

 中国では、いわゆる建国記念日にあたる国慶節は10月1日前後を挟んで1週間ほどの休みとなる。ネット媒体では、この期間に必ず多種登場するウィルスを紹介するのが恒例となっている。今回の国慶節も例に漏れず、中国で一定のシェアを持つセキュリティソフトウェアベンダー「江民」のレポートによれば、1週間の国慶節の間に6万8178種の新種のウィルスが発見され、35万2530台のPCが感染したと報告している。


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  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2008/05/14/19539.html
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  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/07/19/12688.html

(2008/11/07)


  山谷剛史(やまや・たけし)
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。

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