医薬品の通信販売規制を定めた厚生労働省令について、「薬局のない離島居住者」と「継続使用者」について2年間の経過措置として通信販売を認めるとする改正省令が29日、公布された。
6月1日に完全施行される改正薬事法では、一般用医薬品をリスクの高い順に「第1類」「第2類」「第3類」に分類し、それぞれの販売方法や情報提供の方法などを定めている。これに伴って2月6日に公布された厚生労働省令では、医薬品は対面で販売することを原則として、通信販売では最もリスクの低い「第3類」のみが販売できると定めた。
この省令に対しては、医薬品のネット販売業者や通信販売に頼る伝統薬の業者、消費者などから医薬品通販の継続を求める声が挙がり、舛添要一厚生労働大臣の指示により、省令の公布後としては異例となる再検討会が開催された。
再検討会は7回開催されたが、通販規制に賛成・反対の双方の意見がまとまらないまま、厚生労働省が省令の再改正案を提示。再改正案については検討会でも反対意見が多く、実施されたパブリックコメントでも約85%は通販規制自体に反対の意見が寄せられたが、厚生労働省では省令の再改正を実施した。
改正省令では、今後2年間(2011年5月31日まで)の経過措置として、「薬局のない離島居住者」と「改正法施行前に通信販売で購入した医薬品の継続使用者」については、第2類医薬品についても通信販売を認めるとしている。これにより、風邪薬などの第2類医薬品についても、離島居住者と継続使用者に限っては2年間通信販売が認められることになる。
医薬品ネット販売業者のケンコーコムでは、検討会などで省令の是正を求めてきたが、それが受け入れられないまま改正省令の施行日である6月1日を迎えることについて「誠に遺憾」とするコメントを発表。ケンコーコムでは5月25日に省令の無効・取り消しなどを求めた行政訴訟を提起しているが、「法を無視することなく、やむなく、当面この改正省令には従います」としている。また、今後2年間は再改正された省令のルールに則って、離島居住者と継続購入者に対して第2類医薬品のネット販売を継続するという。
関連情報
■URL
官報(2009年5月29日号外)
http://kanpou.npb.go.jp/20090529/20090529g00111/20090529g001110003f.html
ニュースリリース(ケンコーコム)
http://www.kenko.com/company/pr/archives/2009/05/post_63.html
■関連記事
・ 医薬品通販規制、「離島」「継続使用」のみ認める経過措置実施へ(2009/05/22)
・ 「医薬品販売規制は撤回し、国会で議論を」与野党議員らが声明(2009/05/22)
・ 医薬品のネット通販継続を求めて行政訴訟、ケンコーコムら2社(2009/05/25)
( 三柳英樹 )
2009/05/29 14:34
- ページの先頭へ-
|