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地球観測衛星のデータを処理した「ASTER-VA」、産総研が一般に提供開始
2016年4月21日 06:00
国立研究開発法人産業技術総合研究所の地質情報研究部門は、地球観測衛星データを処理した付加価値プロダクト「ASTER-VA」を4月1日から無償で一般に提供開始した。
「ASTER-VA」は、米国航空宇宙局(NASA)が運用する地球観測衛星「TERRA」に搭載された経済産業省開発の光学センサー「ASTER(Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection Radiometer)」で観測された衛星データを、インターネット回線を通じてNASAから取得した上で付加価値処理を行ったもの。同データの空間分解能は、従来のランドサットのデータの空間分解能よりも高く、バンド数も多いという。
「ASTER-VA」の作成システムについては、ASTERは設計上、青バンドの情報を持っていないため、青色を推定して擬似天然色画像を合成する独自技術を開発し、人間が判読しやすい天然色データに変換する機能をシステムに搭載した。これにより、例えば森林地域などは、より自然に近い緑色となる。また、GISソフトウェアなどにおいて衛星データをほかの地理空間情報と簡単に重ね合わせられるように、すべてのASTERデータにオルソ補正という地形補正を施している。
この「ASTER-VA」のデータは、衛星データ検索システム「MADAS(METI AIST satellite Data Archive System)」を通じて提供される。同サイトを使ってユーザーはユーザーは観測日時や画像にかかっている雲の量の多さなどを指定してデータを検索できる。
検索対象領域は、緯度・経度を入力して指定できるほか、地図左上のアイコンの中で一番右にあるアイコンを押してから、地図上をマウスでドラッグすることで範囲指定できる。このほか、日中観測/夜間観測で画像を絞り込んだり、雲量で絞り込んだりすることも可能だ。
検索結果は、該当する画像が画面左側にサムネイルで表示され、必要なデータをダウンロードできる。データは、Google Earthなどで表示できるKML形式のデータと、GISソフトや画像処理ソフトで利用可能なGeoTIFF形式のデータの2種類のファイル形式から選択可能だ。また、検索結果リスト右側の「Overlay」をクリックすることで、選択したASTER-VA(擬似天然色画像)を直接、MADASの地図上に表示することもできる。この「ASTER-VA」は全世界のエリアをカバーしており、防災や環境、農林水産業など、ビジネス利用も含めてさまざまな分野で利活用が期待されている。