編集部コラム

インターネット接続サービス、「快適に使えて当たり前」を成り立たせるプロの技術を知りたい!

 INTERNET Watchでは、ただ今ISP(インターネットサービスプロバイダー)の取材に力を入れ、今のISPの「当たり前の舞台裏」を紹介しようとしています。

 インターネット接続サービスは、すっかり成熟して、いわゆる「コモディティ化」した(値段以外での差別化が難しい「日用品」となった)状態だとも言えるかもしれません。いろいろな方に、ISPをどう選びましたか? と聞いてみていますが、その回答はおおむね「(スマートフォンとのセットで)安くなるところ」「引っ越したときに不動産会社から紹介されたところ」「昔から知ってるところ」といったもので、ISPや通信サービスに近い業界の方も、そうでない方も、ほとんど変わりません。

 2023年に掲載した、清水理史さんの連載「イニシャルB」の通算1000回記念インタビューで、「昔から『蛇口をひねると水が出るように、インターネットも何も意識しなくてもデータが流れるようになるべき』という話があったけど、今はそうなったんじゃないかと思います」とのコメントがありました。まさにそうした、当たり前の存在にインターネット接続サービスはなっていて、(料金面以外では)熱心に比較して選ぶような存在ではなくなっている、と言えるのでしょう。

 しかし、世の中の「当たり前」の多くは、舞台裏の大変な努力によって成立しているものです。そうした、当たり前に快適なインターネットが利用できるサービスが、どのように運営されているのかを紹介できればと考えています。

 今年7月には、清水さんが実際に契約した朝日ネット(ASAHIネット)のインタビューを掲載しました。

 そして本日、関西の電力会社系ISPを運営する4社、関西のオプテージ(eo光)、中国のエネコム(メガ・エッグ)、四国のSTNet(ピカラ光)、九州のQTnet(BBIQ)にインタビューした記事を公開できました。西日本の方にとっては地元のISP、東日本の方としては地元にないタイプのISPが、どのようにサービスを提供しているか、舞台裏の模様をお読みいただければ幸いです。

 これまでに紹介した5社では、いずれも運営の渋さ、手堅さに唸らされました。

 野球で、守備が上手な選手はあらかじめ打球の方向を予測して守備位置を変えるため、ファインプレーがファインプレーに見えない(難なく捕球しているように見えてしまう)という話がありますが、ISPのサービスが「当たり前」に感じられるのにも、そのような理由があるようです。

 具体的な方法には違いがあるものの、各社とも独自のノウハウに基づいて将来の通信需要を予測し、計画的な設備の増設などを行っています。そのため、急に通信需要が増えるイベントがあっても、現場の急な対応が必要になるケースはまれなようです。

 そのうえで、自社でコントロール可能な領域(設備)をどのように用意するか、利用者の声や地域の特色にどのように対応していくか、などに、各社の特徴が現れています。今後のISPインタビューにもご期待いただき、読み比べていただければと思います。