「仕事のIT」聞いてみました
「ありがとう」でビジネスをつなぐ、ビジネスチャット「TENWA」
会話こそ宝の山、大手金融機関での採用例も
2018年5月16日 12:01
本連載では、仕事で知っておくとちょっと便利なお役立ちサービス・製品を、担当者に直接聞いてご紹介します。今回から5回は、株式会社テンダが提供するビジネスチャットツールや自動マニュアル作成ツール、Notes移行サービスなどを紹介していきます。
株式会社テンダが提供するビジネスチャットツール「TENWA」はクラウドベースのビジネスチャットツールだ。
「業務効率アップだけでなく、モチベーションアップやメンタルヘルスケアに効く」とうたう、独特なコンセプトを持っており、多数の「ありがとうスタンプ」や、コミュニケーション状態を統計的に可視化し、社員の不調を発見できるという機能などがウリという。ビジネスチャットとしてのセキュリティも万全で、大手金融機関をはじめとして、これまでに6万5000ユーザーを獲得した実績を持っている。
このツールは、どういう思想で設計され、どのように役立つのか? 「会話こそ宝の山」と話す担当者に話をお伺いした。
沢山の「ありがとうスタンプ」がウリのビジネスチャット?
社内コミュニケーションが重要であることはあらためていうまでもない。大企業も利用するグループウェアから、コンシューマー用に提供されているツールを企業で利用するケースなど、さまざまなツールが利用されている。
「ビジネスチャットツールとしては、さまざまなベンダーが製品を提供していますが、TENWAは6万5000ユーザーを獲得しています。多くのユーザーを獲得しているポイントは、クラウドサービスで導入が容易であること、さらにシングルテナント方式で、会社の機密情報を流出しにくくするセキュリティを担保した仕様です」と、テンダのビジネスプロダクト事業部でTENWAの開発に携わる、プロダクト開発部課長の伊達直人氏は話す。
大手金融機関にも導入実績を持つが、このケースで評価を受けたのが「ありがとうカード」だ。コミュニケーションを行っている際、スタンプで「ありがとう」と送り返す。
「わざわざメールで『ありがとう』と書いて送るとなると、メールを書く側も『ありがとう』と一言だけメールを書くわけにもいきません。ところが、スタンプだと気軽に送ることができます。受け取る側は『ありがとう』という連絡を受けて悪い気持ちになることはありません。簡単なやりとりですが、良好なコミュニケーションのきっかけとなるとありがとうカードが評価されたのです。」(伊達氏)
実はこの大手金融機関はM&Aによって複数企業が合体して誕生した。それだけに旧出身母体を越えて、円滑なコミュニケーションを取っていくことが必須とされてきた。そこで従来は紙のカードを使って「ありがとう」を相手に伝える試みが行われてきた。これをTENWAによって電子化することが試みられたのだ。
「この大手金融機関様は、従業員満足度が上がることで顧客満足度向上につながるとの観点から、紙のありがとうカードを導入したそうです。これを電子化したところ、狙っていた通り、従業員の満足度が向上するという実績が出ているため、グループ企業への導入も拡大しています。」(ビジネスプロダクト事業部事業部長の川橋浩二氏)
しかも、この「ありがとう」スタンプは一種類だけあるわけではない。ちょっとした「ありがとう」や、最大限の「ありがとう」、あるいはキャラクターの違いなど、実に様々な「ありがとう」が用意されており、しかも「導入企業様によっては、独自の“オリジナルありがとうスタンプ”を導入されている例もあります」(伊達氏)という。
ちなみに、TENWAの使い方は企業によってそれぞれ。ある企業では、顧客から寄せられた注文番号を共有するために活用し、別な企業は現場の状況を写真に撮り、それを共有するためにTENWAを使っている。通常は電話でアラートが起こったことを知らせるシステム監視にTENWAを利用し、アラートを見たスタッフが「この案件は自分が担当します」と名乗り出ることで、アラート対応がスムーズに進むようになったというケースもあるそうだ。
「会話こそ宝の山」、チャットを統計管理してスタッフのケアも
それ以外にも企業から評価された機能が複数そろっていることが、TENWAの強みだ。外部招待機能は外部スタッフと一緒に作業することが不可欠な企業にとっては好評な機能で、この機能目当てに導入する企業も多い。
「外部招待機能を思わぬ使い方で使っている企業も多く、例えば入社前の学生さんに使ってもらうといった使い方をしている企業もあります。」(伊達氏)
ファイル管理機能は企業から大きく支持を受けている機能。管理者権限を持った人間であれば、すでに送付してしまったファイルでも削除することができる。コンシューマー向けのコミュニケーション製品でよく問題になる“誤爆”を防ぐことができる。
過去のやりとりを見ることができる機能は、途中からその話題に参加したメンバーにとっては、過去をさかのぼって状況を確認することができる機能となる。それまでのやりとりを会話で確認できることで、その話題の経緯、どんな雰囲気で話が進められたのかを確認できる。
5月から新たに加わるのは管理者向けの統計機能。「個人の発言数などを追うことができるだけでなく、その部門のコミュニケーション頻度をデータで確認できるようになります」(伊達氏)。コミュニケーションが活発に行われているチームと、コミュニケーションが少ないチームを比べ、実績と比較することで、コミュニケーションと実績の関連性を見比べるといった使い方ができるようになる。
「今後、会話データにからめた分析ができる機能も加えていく予定です。前向きな話題が多いのか、ネガティブな話題が多いのか、そこに実績はどう関連するのかの比較といったことができるようになります。また、管理職の人間は、暗いコメントをすることが多い社員がいれば、一声かけてケアするといった使い方もできます。社員それぞれ、モチベーション高く仕事をしていくことができるよう支援する。そんなコミュニケーションツールに育てていきたいと思います。」(伊達氏)
会話から仕事の状況を把握する――というと、「そこまでして社員を管理するのか?」という意見も出る。しかし、TENWAが狙っているのは社員を管理することではない。「管理職も部下全員を常に正しく把握できるとは限りません。自分が気が付かない部下の状況を、システムがそっとサポートしてくれる。そんなイメージなのです。まさに、会話こそ宝の山で、チャットデータが新しい気づきを与えてくれるのです」(川橋氏)。
今後、AI、テキストマイニングといったテクノロジーをフル活用していく計画だが、「ビジネスチャットを使うことで便利に仕事ができるのは当たり前です。今後は、管理職のみなさんが抱えている課題を解決するためのお手伝いをする機能を充実させていきたい」と開発を担当する伊達氏は話している。
同社では、今後も、最低でも月に1回バージョンアップを行い、大きな機能拡張から、細かな部分の改善まで、機能強化を進めていくという。
(協力:株式会社テンダ)