清水理史の「イニシャルB」
CSM無効でも大丈夫! Windows 11新規インストール用のUSBメディアを作る
2021年9月6日 06:00
8月19日から「Windows 11 Insider Preview」のISOイメージファイルの公開が開始された。新規インストール用のUSBメモリーを作成したが、環境によってはブートできない場合もある。USB作成と起動のポイントを整理しておこう。
UEFIで「セキュアブート」を有効に、「CSM」は無効に特にメーカー製のノートPCでは設定に注意
確か、Windows 10がリリースされたタイミングでも同じことにつまずいた記憶があるが、今回もやはり新規インストール用USBメモリーの作成でつまずいてしまった………。
8月19日に公開されたWindows 11 Insider PreviewのISOイメージファイルは、以下のサイトでMicrosoftアカウントでサインインした後、ビルドや言語を指定すればダウンロードできる。
・Windows Insider Preview Downloads
ISOファイルは、仮想マシンへのインストールソースとして利用できるだけでなく、USBメモリーを用いて新規インストール用のメディアを作成することが可能だ。しかし、USBメモリーへISOイメージを書き込む際は、いくつかの注意点がある。
具体的な方法は、Microsoftが公開している以下のドキュメントでも記載されているのだが、環境によっては、この方法ではブートできない。
具体的には、UEFIのみのシステムにおいて、従来のBIOSをエミュレートして互換性を保つための仕組みである「CSM(Compatibility Supported Module)」が無効になっているケースや、セキュアブートが有効になっているケースだ。
自作PCであれば、これらが無効になっているケースもあるが、メーカー製のノートPC(特に法人モデル)などでは、これらが標準でオンになっているケースがある。
例えば、今回、筆者はWindows 11のテスト用に、第8世代Core i5搭載の富士通「LIFEBOOK U939/B」を中古で入手したが、この条件に当てはまっていたため、作成したUSBメモリーがブートできなかった。
このため、若干設定を変更してUSBメモリーを作成したり、インストール時のみUEFIの設定を変更するなどの工夫が必要だったのだ。
具体的な作成方法を紹介する前に、ここまでの条件を整理しておこう。インストール先PCの設定環境は以下の通りだ。
- UEFI(CSM無効)
- セキュアブート有効
ISOイメージを書き込むUSBメモリーはNTFSでフォーマット
UEFIブート用のUSBメモリーは、本来ならFAT32でフォーマットする必要があるが、WindowsのISO(11以外も)には4GB以上のファイル(install.wim)が含まれるため、NTFSでのフォーマットが必須となる。
Microsoftでは以下のウェブページで、FAT32用にinstall.wimを4GB以下の複数ファイルとして分割する方法を公開しているので、場合によってはこちらも参考になるだろう。
・USBフラッシュドライブからのWindowsのインストール
USBメモリーへの書き込みには、前述したMicrosoftの文書でも紹介されている「Rufus」を利用した。USBメモリーの容量は8GB以上が必要となるが、今回は32GBのものを用いている。
さらに今回は、UEFI(CSM無効)のPC用にNTFSフォーマットのメディアを作成するので、Rufusのパラメーターは以下のように設定した。
- イメージオプション:標準のWindowsインストール
- パーティション構成:GPT
- ターゲットシステム:UEFI(CSM無効)
- ファイルシステム:NTFS
インストール時だけは、セキュアブートを必ず無効に
作成が完了したら、USBメモリーからOSのインストーラーを起動するが、ここで重要なのが、セキュアブートを無効にした状態で起動すること。これは、Rufusの作成完了時に表示されるメッセージにも記載されているが、見逃しがちだ。
前述したように、ビジネス用のノートPCなどではセキュアブートが標準で有効になっているケースもある。また、Windows 11のシステム要件にセキュアブートが含まれているため、セキュアブートをオンにしたくなってしまうが、インストール時にセキュアブートがオンになっていると、USBメモリー上のシステムの署名を確認できずにブートに失敗してしまうのだ。
このため、インストール時(USBメモリー起動時)はセキュアブートをオフにしておき、Windows 11のインストールが完了したら、再びセキュアブートをオンにするという操作が必要になる(オフのままでも動作は可能)。
セキュアブートをオフにしたら、あとは通常の手順と同じだ。
UEFIの設定画面で、USBメモリーの起動順を上位に設定したり、UEFIのブートメニューを呼び出してUSBメモリーから起動するなどの操作を行えば、Windows 11のインストーラーが起動するので、後は画面に従ってOSのインストールを進めるだけだ。
UEFIメニューを要チェック
ということで、今回はWindows 11のインストールUSBの作成方法を整理した。UEFIとCSMの自動認識の環境などではMicrosoftの文書の通りで問題ないが、CSMがオフになっていたり、セキュアブートがオンになっている環境では、ひと工夫が必要なので、頭の片隅に置いておくと安心だ。
とりあえず、作成したUSBメモリーが起動しなかったときは、UEFIメニューの設定を一通り確認してみるといいだろう。