清水理史の「イニシャルB」

CSM無効でも大丈夫! Windows 11新規インストール用のUSBメディアを作る

 8月19日から「Windows 11 Insider Preview」のISOイメージファイルの公開が開始された。新規インストール用のUSBメモリーを作成したが、環境によってはブートできない場合もある。USB作成と起動のポイントを整理しておこう。

新OSが登場するたびに、USBメモリーの作成に苦労する

UEFIで「セキュアブート」を有効に、「CSM」は無効に特にメーカー製のノートPCでは設定に注意

 確か、Windows 10がリリースされたタイミングでも同じことにつまずいた記憶があるが、今回もやはり新規インストール用USBメモリーの作成でつまずいてしまった………。

 8月19日に公開されたWindows 11 Insider PreviewのISOイメージファイルは、以下のサイトでMicrosoftアカウントでサインインした後、ビルドや言語を指定すればダウンロードできる。

Windows Insider Preview Downloads

ビルドや言語を指定してISOファイルをダウンロード可能

 ISOファイルは、仮想マシンへのインストールソースとして利用できるだけでなく、USBメモリーを用いて新規インストール用のメディアを作成することが可能だ。しかし、USBメモリーへISOイメージを書き込む際は、いくつかの注意点がある。

 具体的な方法は、Microsoftが公開している以下のドキュメントでも記載されているのだが、環境によっては、この方法ではブートできない。

ISO の使用

「CSM(Compatibility Supported Module)」が有効の環境なら、この構成で問題なくブート可能

 具体的には、UEFIのみのシステムにおいて、従来のBIOSをエミュレートして互換性を保つための仕組みである「CSM(Compatibility Supported Module)」が無効になっているケースや、セキュアブートが有効になっているケースだ。

 自作PCであれば、これらが無効になっているケースもあるが、メーカー製のノートPC(特に法人モデル)などでは、これらが標準でオンになっているケースがある。

 例えば、今回、筆者はWindows 11のテスト用に、第8世代Core i5搭載の富士通「LIFEBOOK U939/B」を中古で入手したが、この条件に当てはまっていたため、作成したUSBメモリーがブートできなかった。

 このため、若干設定を変更してUSBメモリーを作成したり、インストール時のみUEFIの設定を変更するなどの工夫が必要だったのだ。

 具体的な作成方法を紹介する前に、ここまでの条件を整理しておこう。インストール先PCの設定環境は以下の通りだ。

  • UEFI(CSM無効)
  • セキュアブート有効

ISOイメージを書き込むUSBメモリーはNTFSでフォーマット

 UEFIブート用のUSBメモリーは、本来ならFAT32でフォーマットする必要があるが、WindowsのISO(11以外も)には4GB以上のファイル(install.wim)が含まれるため、NTFSでのフォーマットが必須となる。

 Microsoftでは以下のウェブページで、FAT32用にinstall.wimを4GB以下の複数ファイルとして分割する方法を公開しているので、場合によってはこちらも参考になるだろう。

USBフラッシュドライブからのWindowsのインストール

今回、「Rufus」でUSBメモリーを作成した際の設定

 USBメモリーへの書き込みには、前述したMicrosoftの文書でも紹介されている「Rufus」を利用した。USBメモリーの容量は8GB以上が必要となるが、今回は32GBのものを用いている。

 さらに今回は、UEFI(CSM無効)のPC用にNTFSフォーマットのメディアを作成するので、Rufusのパラメーターは以下のように設定した。

  • イメージオプション:標準のWindowsインストール
  • パーティション構成:GPT
  • ターゲットシステム:UEFI(CSM無効)
  • ファイルシステム:NTFS

インストール時だけは、セキュアブートを必ず無効に

 作成が完了したら、USBメモリーからOSのインストーラーを起動するが、ここで重要なのが、セキュアブートを無効にした状態で起動すること。これは、Rufusの作成完了時に表示されるメッセージにも記載されているが、見逃しがちだ。

 前述したように、ビジネス用のノートPCなどではセキュアブートが標準で有効になっているケースもある。また、Windows 11のシステム要件にセキュアブートが含まれているため、セキュアブートをオンにしたくなってしまうが、インストール時にセキュアブートがオンになっていると、USBメモリー上のシステムの署名を確認できずにブートに失敗してしまうのだ。

 このため、インストール時(USBメモリー起動時)はセキュアブートをオフにしておき、Windows 11のインストールが完了したら、再びセキュアブートをオンにするという操作が必要になる(オフのままでも動作は可能)。

USBメモリーからの起動時は、セキュアブートをオフ(画面では[使用しない])にする

 セキュアブートをオフにしたら、あとは通常の手順と同じだ。

 UEFIの設定画面で、USBメモリーの起動順を上位に設定したり、UEFIのブートメニューを呼び出してUSBメモリーから起動するなどの操作を行えば、Windows 11のインストーラーが起動するので、後は画面に従ってOSのインストールを進めるだけだ。

USBメモリーの起動順番を上位に設定して起動すれば、Windows 11のインストールが開始される

UEFIメニューを要チェック

 ということで、今回はWindows 11のインストールUSBの作成方法を整理した。UEFIとCSMの自動認識の環境などではMicrosoftの文書の通りで問題ないが、CSMがオフになっていたり、セキュアブートがオンになっている環境では、ひと工夫が必要なので、頭の片隅に置いておくと安心だ。

 とりあえず、作成したUSBメモリーが起動しなかったときは、UEFIメニューの設定を一通り確認してみるといいだろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。