清水理史の「イニシャルB」

TP-Link「Archer BE260」、性能優秀! 新機能もある! が、中間モデルの“苦悩”も見えるWi-Fi 7ルーター
注目のポイントはWAN、LAN両方の2.5Gbps対応
2026年4月27日 06:00
TP-LinkのArcher BE260は、言わば「ちょっといいエントリークラス」のWi-Fiルーターだ。エントリーモデルのArcher BE220に対して無線も有線も高性能だが、価格的には1万4800円前後と、ミドルレンジのモデルに近い設定がなされている。
パフォーマンスは優秀で、VPNマージという新機能も搭載されており、完成度は高い。ただ、店頭で買うときには、ほかにも目移りして「どっちにしようか?」と迷いやすい製品の代表だ。
WAN/LAN 2.5Gbps対応のエントリーモデル
TP-LinkのArcher BE260は、4324Mbps(5GHz帯)+688Mbps(2.4GHz帯)の速度に対応したデュアルバンド対応のWi-Fi 7ルーターだ。
5GHz帯の4324Mbpsという速度は珍しいが、1系統あたり約1441Mbpsの通信を同時に3系統使える、つまり3ストリーム対応で4324Mbpsという構成になっている。
| 価格 | 1万4800円前後 |
| CPU | - |
| メモリ | - |
| 無線LANチップ | - |
| 対応規格 | IEEE 802.11be/ax/ac/n/a/g/b |
| バンド数 | 2 |
| 最大速度(2.4GHz) | 688Mbps |
| 最大速度(5GHz-1) | 4324Mbps |
| 最大速度(5GHz-2) | - |
| 最大速度(6GHz) | - |
| チャネル(2.4GHz) | 1-13ch |
| チャネル(5GHz-1) | W52/W53/W56 |
| チャネル(5GHz-2) | - |
| チャネル(6GHz) | - |
| ストリーム数(2.4GHz) | 2 |
| ストリーム数(5GHz-1) | 3 |
| ストリーム数(5GHz-2) | - |
| ストリーム数(6GHz) | - |
| アンテナ | 内蔵×3 |
| WPA3 | 〇 |
| メッシュ | 〇 |
| IPv6 | 〇 |
| IPv6 over IPv4(DS-Lite) | 〇 |
| IPv6 over IPv4(MAP-E) | 〇 |
| 有線(LAN) | 2.5Gbps×1+1Gbps×3 |
| 有線(WAN) | 2.5Gbps×1 |
| 有線(LAG) | - |
| 引っ越し機能 | - |
| サードパーティー製セキュリティ | 〇 |
| USB | - |
| USBディスク共有 | - |
| VPNサーバー | 〇 |
| DDNS | 〇 |
| リモート管理機能 | 〇 |
| 再起動スケジュール | 〇 |
| 動作モード | ルーター/AP |
| ファーム自動更新 | 〇 |
| LEDコントロール | 〇 |
| ゲーミング機能 | - |
| サイズ(mm) | 155×52.5×170 |
Wi-Fiルーターのストリーム数は、一般的に偶数の場合が多い。PCやスマートフォンは2ストリーム、アクセスポイントはエントリークラスが2ストリーム、ミドルレンジ以上で4ストリームという構成が多い。
これは、MU-MIMOで複数ユーザーが同時にアクセスしたときを考慮した構成が必要なためだ。例えば、4ストリーム対応のアクセスポイントなら、2ストリーム対応のPCやスマートフォンを2台同時に接続可能だが、3ストリームとなると1ストリームが余ってしまう。
なので、3ストリームというのは、実際のところメリットが出にくい。もちろん、本製品を2台使ってメッシュ構成にすればバックホールで3ストリームの4324Mbps通信も可能なうえ、ビームフォーミングで良好なアンテナを選択するなど安定性向上にメリットはある。
が、個人的には、そこまで考えるなら4ストリーム対応の製品を買った方がいいんじゃないか? という気もする。
ということで、本製品を選ぶメリットはどこにあるのか? というと、エントリークラスの製品でありながら、有線LANのポートがWAN/LANともに2.5Gbpsに対応している点と言える。
現状、1~2万円前後で2.5Gbpsの有線LANに対応している製品は、バッファローの「WSR6500BE6P(2万円前後)」、エレコムの「WRC-W701-B(9000円前後)」「WRC-W702-B(1万6000円前後)」、ZTE「Sora BE3600 Pro(9000円前後)などがあるが、これらは全てWAN側のみ2.5Gbps対応となる。
WAN/LANともに2.5Gbpsに対応しているのは、本製品「Archer BE260(1万4800円前後)」と同じくTP-Linkの「Archer BE400(1万6000円前後)」などとなるため、WAN/LAN2.5Gbpsの環境を、なるべく安く手に入れたいという人向けの製品と言える。
アンテナ内蔵のすっきりデザイン
デザインは、現行のTP-Link製品に共通するアンテナ内蔵のすっきりとしたデザインで、ロゴも小さく、余計な装飾もないシンプルな印象になっている。
サイズは155×52.5×170mmと、既存のArcher BE220とまったく同じで、デザインも共通となる。底面の台座を背面に付けることで壁掛けも可能な点も同じだ。
前面のLEDは数が多いが、背面の物理ボタンや設定画面、アプリからの設定でオフにできるため、点滅が気になるという人でも安心して利用可能だ。
インターフェースは、前述したようにWANポートが2.5Gbps、LANポートは2.5Gbps×1+1Gbps×3の構成になっている。USBポートは搭載せず、簡易ファイル共有機能なども省略されている。
新機能「VPNマージ」を搭載
ソフトウェア面での注目すべきポイントは、「VPNマージ」という機能が搭載されている点だ。
複数のVPN接続をデバイスごとに使い分けることができる機能だ。ルーターに複数のVPN接続先を登録しておき、PC1からは会社Aに、PC2からは会社Bに、というように自動的にルーターでVPN経路を選択して通信できる機能となる。
なかなか面白い機能と言えるが、利用環境は限定されそうだ。現状、企業向けのVPNサービスは認証の関係でPCから接続するのが一般的で、ルーターから接続できないケースもある。
もちろん、VPNサーバー機能も搭載しているので、VPN関連の機能が充実している製品と言えるが、これらの機能を目的に買うユーザーは少ないかもしれない。
このほか、セットアップや管理などの機能については、従来のTP-Link製品同様、よくできている。スマートフォンのアプリを使って初期設定が簡単にできるうえ、TP-Link IDを使えばリモートからの管理も可能だ。
パフォーマンスは優秀
注目のパフォーマンスは優秀だ。以下は、いつものように筆者宅の1階に本製品を設置し、2階、3階でiPerf3による速度を測定した結果となる。
| 通信 | 1F | 2F | 3F入口 | 3F窓際 |
| 上り | 1510Mbps | 606Mbps | 298Mbps | 142Mbps |
| 下り | 1990Mbps | 903Mbps | 566Mbps | 440Mbps |
※サーバー:MINISFORUM MS-01 Core i5-12600H/RAM64GB/1TB NVMeSSD/10Gbps SFP+/Proxmox 9.1 LXC(Ubuntu 24.04)
※クライアント:Core Ultra 5 226V/RAM16GB/512GB NVMeSSD/Intel BE201D2W/Windows11 24H2
2.5Gbpsの有線LANを使える恩恵で、1階は下りで1990Mbpsと2Gbps近い速度を実現できており、低価格な製品としては高速な結果が得られた。2階でも下り903Mbpsなので、床1枚隔てたくらいなら1Gbps有線並みの速度を実現できる。
長距離も性能は高く、3階入り口で下り566Mbps、最も遠い3階窓際でも440Mbpsと速い。Archer BE220もそうだが、この筐体を採用したTP-Linkのエントリーモデルは、文字通り、コストのわりにパフォーマンスが高い。
なお、TP-Link製品は、MLOも、MU-MIMOも、OFDMAも標準で無効になっている。こうしたシンプルな運用もiPerf3のようなスループット測定では有利な方向に影響している可能性がある。
個人的にはArcher BE400を狙いたい
以上、TP-LinkのArcher BE260を実際に使ってみたが、2.5Gbps環境での利用を想定したエントリーモデルで、無線の性能も高く、いい製品と言える。VPNマージはユーザーを選びそうだが、誰でも買って満足できる製品と言えるだろう。
ただ、個人的には、プラス2000円で4ストリーム対応のArcher BE400が買えるので、そちらを選んだ方がいいのではないかと思える。やはり、WAN/LAN 2.5Gbps対応のWi-Fi 7ルーターを少しでも安く買いたいという人向けの製品と言えるだろう。



