第325回:バッファローの無線LAN搭載フォトフレーム「PF-50WG/BK」
DLNAサーバーやオンラインアルバムにも対応



 バッファローから発売された「PF-50WG/BK」は、無線LANを搭載したデジタルフォトフレームだ。DLNAサーバーだけでなく、オンラインフォトアルバムの写真も表示できるなど、同製品の多機能な特徴に迫ってみよう。





オンラインへの出入口が充実

 昨年末、個人的にEye-Fi Shareカードを購入した。無線LANを内蔵したSDメモリカードで、デジタルカメラに装着することで、撮影した写真を無線LAN経由でPCやオンラインアルバムサービスに自動転送できる製品だ(詳細はこちらを参照)。

 カメラによっては省電力設定をしないときちんと転送されなかったり、転送のタイミングがバラつくなど、少々クセのある製品ではあるのだが、こういった製品が登場してくると、オンラインのサービスが、その裾野を広げるには、やはりハードウェアとの連携が不可欠なのだと実感させられただ。

 オンラインアルバムなどのオンラインサービスは、現状、PCが主な利用プラットフォームであり、データを保存する、取り出すといった入口も出口もPCであることが多い。PCだけでなく、携帯電話から使えるサービスも増えてきてはいるが、そのほかの周辺機器からオンラインのサービスを直接使えることは、これまではあまりなかった。

 しかし、前述したEye-Fi Shareでデジタルカメラが直接オンラインサービスの入口として使えるようになったり、chumbyのようなガジェットや、今回紹介するデジタルフォトフレーム、さらにはテレビやゲーム機など、オンラインサービスの出入口として使えるハードウェアが徐々に登場しつつある。

 恐らく、今年以降はこういった入口や出口として使えるハードウェアがさらに増えてくるはずなので、オンラインのサービスもより便利に、そして身近に使えるようになってくることだろう。





DLNA、オンラインサービス対応のデジタルフォトフレーム

PF-50WGシリーズ

 前置きが長くなってしまったが、今回、取り上げるバッファローの「PF-50WG/BK(ブラックモデル)」も、そんなオンラインのサービスをうまく利用した製品だ。

 基本的には、800×600の解像度となる8型液晶パネルを搭載したデジタルフォトフレームで、本体側面に用意されたメモリカードスロット(SD/CF/MS)やUSBに写真が保存されたメディアを装着することで、すぐに写真を表示することができるようになっている。


本体前面側面

側面右側面にはメモリカードスロットとUSBポートを搭載。USB(PC)となっているポートを利用してPCと接続すれば、メモリカードリーダーとしても使える

 クリア加工された液晶で写真を鮮やかに表示できたり、上下の視野角が広いなど、デジタルフォトフレームとしての基本性能も高いのだが、最大の特徴はやはりIEEE 802.11b/g準拠の無線LANを搭載している点だ。

 これにより、ネットワークで接続されたPC(付属のMedia Serverを利用)、DLNAサーバー機能を搭載したNASに保存されている写真を無線LAN経由で再生することができ、PicasaとFlickrという2つのオンラインアルバムサービスにも対応し、オンラインに保存された写真をインターネット経由で再生することが可能となっている。

 同様に無線LANを搭載したデジタルフォトフレームは存在するが、本製品は無線LAN搭載の従来製品と比べると、8インチ、800×600と液晶サイズや解像度が高く、しかも低価格(実売2万円以下)となっている。8インチで2万円以下というのは、実は無線LAN非搭載のフォトフレームの中でも低価格なので、これをきっかけにデジタルフォトフレームの低価格が進む可能性も高そうだ。





AOSS対応で接続簡単

 それでは、実際の使用感をチェックしていこう。

 まずは接続だが、これは簡単だ。バッファロー製品ならではのAOSS、そしてWPSによる自動設定に対応しており、同社製のアクセスポイントやWPS対応のアクセスポイントを利用している場合は、設定メニューからAOSSやWPS設定を開始するだけで無線LANの設定が完了する。

 もちろん、手動での設定も可能で、SSIDを検索後、画面上に表示された文字をリモコンで選んで暗号キーを入力すれば接続が可能だ。セキュリティ方式は、64/128bitのWEP、WPA(TKIP/AES)、WPA2(TKIP/AES)に対応しているが、筆者がテストしたところ、WEPなら問題なく接続できるアクセスポイントの場合でも、WPAではうまく接続できない場合もあった。

 同梱されていた取扱説明書の捕捉によると、AOSSも一部製品(WZR-AMPG300NH/WZR-AMPG144NH)を利用している場合は接続に失敗するケースがあるため、利用するアクセスポイントとの相性があるのかもしれない。


AOSS、WPSでの設定に対応。対応アクセスポイントがあれば接続設定は手軽
手動での設定にも対応。画面上の文字をリモコンで選んで入力する

iPodの音楽も再生可能

 接続が完了すれば、とりあえずLAN上のサーバーのデータは表示できるようになる。画面上のメニューから写真の表示元として「DLNAサーバー」を選択すると、LAN上のサーバーが自動的にリストアップされる。あとは、一般的なDLNAクライアントと同様に、フォルダなどを指定して写真を選べば、ネットワーク経由で画面上の表示されるというわけだ。

 なお、写真は1枚ずつの表示はもちろんのこと、スライドショー表示も可能となっている。フォルダを選択した状態でリモコンの「スライドショー」ボタンを押せば、そのフォルダ内の写真を自動的に表示できる。


付属のメディアサーバーソフト以外にもDLNAサーバーのファイルを参照可能。今回はWindows Home Server(Windows Media Connect)、SONYのNASで動作を確認したが、問題なく接続できた
付属のサーバーソフト「LinkTeater MediaServer」。公開フォルダやアクセス制限の設定が可能

 また、写真と一緒にBGMとして音楽を再生することも可能だ。DLNAサーバーに音楽データ(MP3/AAC)が保存されている場合は、写真と同様に音楽やフォルダを選択後、リモコンの「BGM」ボタンを押す。

 音楽を選択後、普通に再生してしまうと、音楽メニューから他の画面に移動してしまうと音楽の再生も中断されてしまうので、必ずBGMボタンを使って再生するのがポイントだ。

 なお、正式にはサポートされていないが、筆者が試してみた限りではiPod上の音楽も再生できた。iPodをUSBポートに接続すると、USBメモリとして認識されるので、音楽が保存されているフォルダにアクセスしてファイルを指定することで、同様に再生したり、BGMとして利用することができた。


正式にはサポートされていないがiPodの音楽も再生できた




Flickrで他の人の写真も手軽に楽しめる

 一方、オンラインサービスを利用する場合は、事前にアカウントの登録が必要になる。PF-50WGは、Googleの「Picasa」、Yahoo!(米国)の「Flickr」に対応しており、これらのアカウントを所有している場合は、設定メニューからアカウント(パスワードは設定不可)を登録しておけば、PF-50WGからオンラインアルバムに保存された写真を表示することができる。

 ただし、この機能は若干、使い方が限られる。なぜなら、いずれのサービスの場合も、表示できるのは「公開」設定されている写真のみとなるからだ。

 前述したようにパスワードを設定できないことからもわかる通り、アクセスできるのは公開されたアルバムのみで、非公開や特定ユーザーのみに公開している写真にアクセスすることはできない。


Picasa、Flickrに対応

 このため、写真をオンラインに保存してPF-WG50で表示したり、遠くに住む家族のためにオンラインに写真を保存して、それをリモートのPF-WG50で見てもらうといった使い方も可能だが、あくまでもインターネット上に公開してもかまわない写真に限られる点には注意が必要だ。

 ただし、その一方で、公開されている写真なら誰のものでも再生できるというメリットもある。特にFlickrを利用した場合(Picasaの場合はアカウントを指定しなければならない)、写真メニューから「Tags」と「interestingness」というメニューが選択できる。つまり、Flickrで公開されている写真すべてを対象に、特定のTagが指定された写真をPF-WG50で表示することができるわけだ。

 これにより、たとえば「Tags」から「beach」を選べば、どこの誰が撮影したのかはわからないが、とにかく「beach」というタグが付いた写真が片っ端から表示されるようになる。

 見ている側からすれば、どのような写真があるのかが予想できないので、次はどんな写真なのか? とワクワクしながら写真を見るという新しい使い方ができる。


Flickrでは自分が公開する写真以外にTagsやinterestingnessというメニューから、他の人の写真も手軽に表示可能
特定のタグを指定すれば、どのような写真かワクワクしながら見られる

 プリントした写真を納める従来のフォトフレームは、どちらかというとお気に入りの写真をかざるものであった。このため、写真をあまり撮らないとか、飾っておくほどお気に入りの写真はない、などという人にはフォトフレームは無縁の存在だった。

 しかしながら、デジタルフォトフレーム、それもオンラインサービスに対応したデジタルフォトフレームの場合、必ずしもお気に入りの写真を飾る必要はないわけだ。店舗などでBGMなどと一緒に、ひたすら表示し続けるといった使い方にも便利なのではないだろうか。





動画再生も可能だが……

 以上、バッファローの無線LAN対応デジタルフォトフレーム「PF-50WG」を実際に使ってみたが、表示される写真はキレイだし、ネットワーク経由でさまざまな写真が表示できるなど、デジタルフォトフレームとしてはかなり良くできている。

 オンラインサービスの使い方に若干注意が必要だが、価格も手頃なので、デジタルフォトフレームとしてはかなりおすすめできる製品だ。

 なお、本製品は写真と音楽に加えて、動画(MotionJPEG、3GPP/対応拡張子:avi、mov、3gp)の再生にも対応している。筆者が試した限り、MPEG2やWMVのファイルも認識したが、MPEG2は本体の明らかなパワー不足でコマ送りのようにしか再生できず、WMVは音声のみ再生され映像が表示されなかった。


動画も再生可能(メモリカード、DLNAサーバーなど)。MPEG2なども再生できるがパワー不足でスムーズには再生できない

 再生できる映像が限られ、映像によってはスムーズに再生できない場合もあるので、この機能はオマケ程度に考えておくのが無難だろう。やはり、基本的には写真と音楽を再生するためのフォトフレームとして使う製品と言えそうだ。


関連情報

2009/1/13 11:13


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。