"ここ"がイチ押し! 旬モノ実験室

非常時の切り替えに何秒かかる? 5G対応メッシュWi-Fi 6ルーター「Deco X50-5G」の回線バックアップ機能を試す

固定回線に加えて4G/5Gにも対応したメッシュWi-Fiルーター「Deco X50-5G」

 TP-Linkの「Deco X50-5G」は、最大3.4Gbpsの5Gに対応した据え置き型のWi-Fi 6対応メッシュルーターだ。

 SIMフリーで回線事業者を選ばず利用でき、固定回線の契約が難しい環境での利用に適している。それだけでなく、固定回線との組み合わせも可能で、障害などで固定回線が使えなくなっても、自動的に4G/5G回線に切り替えることができる。オフィスや店舗など、回線断が許されない環境での利用を想定して、どれくらいのダウンタイムで切り替えができるのかを検証してみた。

◆Deco X50-5Gのイチ押し!
回線断から約45秒で切り替え完了! バックアップ回線がある安心感

固定回線メインで4G/5Gをバックアップ用に設定できる

 TP-LinkのDeco X50-5Gは、2402Mbps(5GHz)+574Mbps(2.4GHz)に対応したメッシュWi-Fiルーターだ。

 最大の特徴は、WAN側に固定回線と5G/4G回線の両方を使える点だ。通常のWi-Fiルーターと同じように背面に装備された1Gbpsまたは2.5Gに対応した有線LANで固定回線に接続できるだけでなく、底面に用意されたスロットにSIMカードを装着することで5G/4Gでの通信も利用できる。

正面
背面
底面

 対応するバンドの詳細は、同社が公開するスペック表で確認してほしいが、SIMフリーとなっており、ユーザーの契約状況や環境に合わせた事業者を選択可能となっている。

メイン回線が切断されると自動的にバックアップ用4G/5Gに切り替え可能

 もちろん、両方を使えるといっても、同時に使えるわけではなく、切り替え式となる。機能的には「4G/5Gバックアップ」となっており、通常時は固定回線を使いつつ、DNSサーバーへのルックアップでネットワークエラーが発生した場合に、4G/5Gに切り替えることができる(DNS+指定宛先へのPingの両方を条件に設定することも可能)。

 切り替え先として利用する4G/5G回線は、あらかじめAPNなどを設定しておく必要がある。ただし、今回、検証に利用した「povo 2.0」は、SIMカードを装着するだけで自動的にAPNが設定された。事業者次第だが、4G/5G回線の設定は手間なくできると言えそうだ。

4G/5G回線をバックアップに利用できる
検出は標準ではDNSへの問い合わせ失敗時だが、Pingで特定のホストなどを指定することもできる
今回は回線にpovo 2.0を利用。APNは自動設定された
◆SMSの送受信やデータ通信容量の上限設定も可能

 ちなみに、本製品の設定に利用するDecoアプリには、SMS機能も搭載されており、Deco X50-5Gに装着したSIMカードを使ったSMSの送受信も可能となっている。また、データ設定で通信容量の上限を設定したり、一定容量以上使ったらアラートを送信したりすることも可能だ。

SMSの送信やデータ容量の上限設定も可能

 実際に、バックアップ回線への切り替えはスムーズだ。固定回線と4G/5G回線の両方を設定した状況で、固定回線のLANケーブルを抜いてみたところ、手元のストップウォッチでの計測で、ケーブルを抜いてから約45秒で自動的に4G/5G回線へと切り替わった。

 実際に通信が失敗したことを検出するまでの時間があるため、即座に切り替えというわけにはいかないが、ウェブブラウザーにエラーが表示されてから、数回ほどリロードすれば復帰する印象で、回線断というトラブルによってユーザーが混乱するような「間」を与えることはない。かなりスムーズな切り替えと言える。

回線断を検出(左画面)から45秒ほどで4G/5G回線に自動的に切り替え完了(右画面)

 4G/5Gに切り替わった後、再び固定回線のLANケーブルを装着すると、同様に45秒ほどで固定回線に自動的に切り替わる。こちらは、直前まで4G/5Gで通信できているので、よりシームレスに切り替えが行われる印象だ。

 いざというときのバックアップ回線が使える安心感は高いと言えそうだ。

Wi-Fiルーターとしても高性能

 最後に、Wi-Fiルーターとしての性能を検証してみる。以下は、木造3階建ての筆者宅の1階に本製品を設置して、1~3階の複数のポイントでiPerf3の速度を計測した結果だ。

iPerf3テスト結果
上り/下り1F2F3F3F端
上り1310Mbps553Mbps240Mbps144Mbps
下り1120Mbps894Mbps409Mbps305Mbps

※サーバー:Ryzen3900X/RAM32GB/1TB NVMeSSD/AQtion 10Gbps/Windows11 Pro
※クライアント:Core i5-8365/RAM8GB/1TB NVMeSSD/Intel AX200

iPerf3テスト結果

 本製品は、5GHz帯で160MHz幅の2402Mbpsを利用できるうえ、2.5Gbpsの有線も備えているため、2042Mbpsに対応したPCやスマートフォンを利用すれば、エンドツーエンドをほぼ2.5Gbpsでつなぐことができる。このため、1階の近距離で1Gbpsオーバーを実現できている。

 3階での結果も300Mbps(下り)と高速なので、単体でも十分な性能を得られる印象だが、メッシュ構成にも対応するのが本製品のメリットで、同じTP-LinkのDecoシリーズを組み合わせて、メッシュでエリアを広げることもできる。オフィスなどで、既存のWi-Fi環境を刷新したいと考えている場合は、一緒に回線バックアップ環境も整えられるメリットがある。

 これまでにも4G/5Gに対応した製品は存在したが、IoT向けやモバイル用途を想定した製品が多く、Wi-Fi側の性能がさほど高くないモデルが多かった。本製品は、こうした環境の置き換えにも最適だ。シンプルにWi-Fiの性能が高いので、広い店舗や、ゲスト接続が多く見込まれるイベント会場などでも使える。さまざまな用途に活用できる製品と言えそうだ。

「"ここ"がイチ押し! 旬モノ実験室」は、今気になるハードウェアやソフトウェアをピックアップして、その製品の「イチ押しのポイント」に注目し、魅力をレポートします。バックナンバーはこちら

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。