イベントレポート

BCCC第3回技術応用部会

ブロックチェーンを理解するにはやはりコードから学ぶべき ~ハンズオンセミナー「イーサリアムについて」レポート

 4月9日、一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)の技術応用部会では「ハンズオンセミナー:『イーサリアムについて』」を開催した。参加者はおよそ30名で、加盟各社の技術担当者を対象としたセミナーだ。これは残念ながら一般に公開されたものではないが、編集部では参加の機会を得たので、その概略をレポートする。

ハンズオンセミナーの概要

 このハンズオンセミナーでは30分程度のイーサリアムに関する概要説明ののち、各自がGoogle Chrome用の機能拡張をインストールし、配布されたオンラインテキストを参照しながら、初歩的サンプルコードをIDEで入力し、およそ1時間半のうちに、自力でテストネットワーク上にデプロイをするという手順である。

 講師を務めたのは、ConsenSys社のJim Maricondo氏である。ConsenSys社は現ブロックチェーンに関するプロトコルなどのインフラ技術開発、ソリューションの提供、出資事業、教育事業、製品提供などを行う技術会社である。米国のニューヨーク(ブルックリン)で起業し、現在はサンフランシスコのほか、世界に拠点を構える分散型組織の企業として成長をしている。従業員数も700人ほどにまで急成長をしているということだ。そして、いよいよ日本でもオフィスを開く予定にしているということで、Jim Maricondo氏はその担当者という立場である。

 今回、ConsenSys社から提供されたテキストではシンプルなコードを実際に自分で入力し、コンパイルをして、テストネットワークへとデプロイすることがゴールである。その過程を経ることで、プログラムに心得のある人はスマートコントラクトが動く仕組みを具体的につかむことができる。

ConsenSys社のJim Maricondo氏

イーサリアムの特徴

 今回のハンズオンセミナーで扱ったイーサリアムは、数あるブロックチェーンプラットフォームの1つである。このイーサリアムの特徴は、他のプラットフォームに先駆けてプログラマブルになったということである。プログラマブルになったということは、さまざまな条件を設定して、トークンの移動などを自動的に行うことができるという、いわゆる「スマートコントラクト」を実現することができるということである。

ブロックチェーンプラットフォームの比較
イーサリアムの優位性

 Jim Maricondo氏によれば、現在のところはプライベートブロックチェーンで運用している例が多いが、今後はパブリックブロックチェーンが当たり前になると考えているという。それはちょうどクラウドサービスが当初はプライベートクラウドでなければ危険であると考えていた時代から、パブリッククラウドを受け入れるようになったことと同じ道をたどると考えるということだ。

 パブリックブロックチェーンになることによって、分散型アプリケーションを開発することができるようになり、そのためのプラットフォームとしてはもっとも進んでいるのがこのイーサリアムであるという。

オンラインテキストとハンズオンで使うIDEの画面

ハンズオンセミナーで体験することは重要

 多くの技術的な知識を持つ人にとっては、コードを実際に触ってみることがなによりも理解につながるはずだ。こうしたハンズオンセミナーはもっと開催されてもいいのではないかと感じる。ブロックチェーンに対する知識を持つ技術者不足はすでに起きつつある問題で、スキルを持つ人材の育成は業界にとっての共通の解決すべき課題ということができよう。

今後の予定

 BCCCの技術応用部会では、5月に「第1回仮想通貨『じゃない』ブロックチェーンアプリコンテスト」の開催を予定している。ハッシュの活用やトレーサビリティなど活用案を中心に、ブロックチェーンについて技術的理解の向上とスキルアップを目的としている。なお、参加条件はブロックチェーン推進協会の会員社であることと、4月20日までのエントリーが必要となる。

一般社団法人ブロックチェーン推進協会技術応用部会長の森一弥氏(インフォテリア株式会社)

 こうした活動に興味のある方は、BCCCへ問い合わせをしてほしい。