イベントレポート
Interop Tokyo 2018
「Sigfox」で実現する自転車盗難防止サービスや“物流IoT”、「Interop Tokyo 2018」のKCCSブースで展示
2018年6月14日 06:00
「Interop Tokyo 2018」の京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)のブースでは、同社が日本で独占展開している無線通信技術LPWA(Low Power Wide Area)規格「Sigfox」について、パートナー各社が開発するSigfox対応デバイスや活用事例を紹介している。いずれも低消費電力かつ長距離伝送が可能なSifgoxの特徴を前面に押し出したものになっていた。
自転車の位置情報を追跡する盗難防止サービス
スポーツバイク盗難防止サービス「AlterLock」は、加速度センサー、Sigfox、GPS、Bluetooth機能を備える専用のデバイスを自転車に取り付けることで、自転車の位置情報をスマートフォンから確認できるもの。株式会社ネクストスケープが10月にリリースする予定のサービスだ。
所有者が自転車から離れるとBluetooth接続されたスマートフォンと専用デバイスの接続が切れて、自動的にロックモードに移行。自転車の振動や移動を検知するとアラームを鳴らす防犯機能を搭載している。万が一盗難された場合でも、スマートフォンアプリから位置情報の履歴と自転車の現在地を調べることができる。
アプリには自転車本体の画像に加えて、警察への届け出などに必要な防犯登録番号、固体識別番号を登録できる。
デバイス本体の大きさは、38×150×8mm(幅×奥行×厚さ)、重さは約90g。バッテリーはリチウムポリマーで駆動時間は最大2カ月。IP66の防水性能を備える。月額利用料は月額325円で、デバイス料は8900円(いずれも税別)を予定。
Sigfoxで通信距離やコスト問題を解決する“農業IoT”
株式会社ジョイ・ワールド・パシフィックでは、ビニールハウス内の温度・湿度などの環境データを取得することで、農産物の品質安定に繋げるための“ビニールハウス環境管理ソリューション”を紹介。6月12日より実証実検を開始したものだ。
すでに3G・LTEなどのモバイル回線、Wi-Fi・920MHz帯特定小電力無線などの無線技術を活用したサービスの提供は存在しているが、導入・運用コストなどの費用対効果や、通信距離の問題などの課題があったという。Sigfoxを利用することで、低消費電力かつランニングコストを抑えたシステムの構築を実現できるとしている。
センサーデバイスから取得したビニールハウス内の温度・湿度・日射量・二酸化炭素濃度などのデータは、Sigfoxクラウド経由でアプリ「jwp IoT Platform」と連携する。アプリではデータの蓄積・可視化、予測・アラートなどの検証を行う。
トラックや貨物の位置情報をドライバー間で共有できる“物流IoT”
トラックや貨物の位置情報などを荷主・ドライバー間で共有する物流IoTサービスの実用化を目指し、KCCS、双日株式会社、アイ・サイナップ株式会社では実証実験を行っている。
これまでは通信料や電源、通信基盤などの制約により、データ収集・分析が困難だったそうだ。Sigfoxを採用することで、電池交換が複数年不要なセンサーデバイスの費用に加え、通信料、クラウド利用料を含んだサービスを低価格で利用できるとしている。
KCCSではSigfox無線基地局の設置およびネットワークサービスの提供、アイ・サイナップはSigfoxに対応したセンサーデバイスの開発、双日は物流IoTサービスの提供を手掛ける。
この物流IoTサービスで構築したシステムを生かした防犯製品の参考展示も行われていた。子ども用の製品に関しては単4電池で3~4カ月稼働するという。