イベントレポート

Japan IT Week 春 2019

GPU搭載ミニPCや、マルチGPU/NVMe SSD搭載可能なサーバー群が展示

Japan IT Week 2019「データセンター展」ASUSブースレポート

 「クラウドコンピューティングEXPO」「データセンター展」など11の展示会から構成される「第28回 Japan IT Week【春】後期」が、5月8日から10日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている。

 ここでは、データセンター展へ出展中のASUS JAPANブースの模様をレポートする。

ワークステーション級ミニPCなどのGPU搭載マシン

 展示ブースには、GPUを活用するワークステーションやミニPCが並んでいた。

 「MiniPC PA90」は、CADなどに向けたワークステーション級ミニPCだ。GPUとしてNVIDIA「Quadro P4000」または「Quadro P2000」を搭載する、日本国内では未発表の製品だ。円筒形のデザインで、発熱量に応じて上端の蓋が少し上がり、冷却効率を向上するという。

日本未発表の「MiniPC PA90」。GPUにはQuadro P4000またはP2000を搭載
発熱すると、上の蓋部分が持ち上がって隙間ができ、冷却効率を向上する

 「MiniPC PB60G」は、筐体を積み重ねていく方式のミニPCで、こちらも日本では未発表だ。本体下にあるほぼ同サイズの筐体には、NVIDIAのGPU「Quodro P620」または「Quodro P1000」を搭載。箱を取り替えると、GPUを変更できる。

同じく日本未発表の「MiniPC PB60G」。積み重ねられた下の箱にGPUを搭載する

 「E900 G4」は、4基のGPUを搭載可能なワークステーション。展示ブースでは、その上でコンテンツ制作ソフトを動かしてベンチマークを測定し、CPUとGPUや、シングルGPUとマルチGPUを比較した結果を紹介していた。

コンテンツ制作向けワークステーション「E900G4」で、CPUやGPUのベンチマーク

リアルタイムに高速道路の車速をAIで予測、コンテナや一括管理ツールも

 サーバーのコーナーでは、3つのデモが行われていた。

 1つめはAIだ。台湾の高速道路カメラの映像から、AIによりリアルタイムに速度を予測するデモだ。2Uサーバーに搭載した2基のGPUそれぞれに、AIの学習と推論を担当させていた。

台湾の高速道路カメラの映像からリアルタイムに速度を予測する
2基のGPUを搭載した2Uサーバー。GPUごとにAIの学習と推論を担当

 2つめはコンテナだ。パートナーが開発した管理ツール「compass」でコンテナを作って動かすところをデモしていた。

 3つめは「ACC(ASUS Control Center)」。いくつものマシンのハードウェアとソフトウェアを一括管理するツールだ。

管理ツール「compass」でコンテナを作って動かす
いくつものマシンのハードウェアとソフトウェアを一括管理する「ACC(ASUS Control Center)」

GPUやNVMe SSDを搭載可能なサーバーも展示

 このほか、複数のGPUやNVMe SSDを搭載できるサーバー群も展示されていた。

 「ESC8000 G4」は、GPUを8基まで搭載可能。シングルルート(1系統)とデュアルルート(2系統)の構成をソフトウェアから切り替えられるのが特徴で、GPGPUによるHPCサーバー向けとなる。

 「ESC4000 G4」は、1Uラックマウントサイズの筐体に、最大4基のGPU搭載可能なサーバー製品。ストレージはNVMe SSD最大4基まで搭載できる。

「ESC8000 G4」。GPUを最大で8基搭載可能
「ESC4000 G4」。1Uラックマウントの薄型筐体に4基までのGPUを搭載できる

 「RS720-E9-RS24-U」は、2UでNVMe SSDを24基搭載できる製品。GPUは最大2基を搭載可能。

「RS720-E9-RS24-U」。2UでNVMe対応ストレージを24ベイ備える
サーバーやワークステーション向けのマザーボードも展示されていた

Chromeboxでデジタルサイネージ

 Chrome OSのコーナーでは、電算システム(DSK)によるデジタルサイネージソリューション「StratosMedia」がデモ展示されていた。ASUS Chromebox 3を用い、1台の管理コンソールから100カ所までの表示を管理する。

 また、StratosMediaに加え、サイネージ側にカメラを取り付けて、前を通過した人の統計情報を管理コンソールで確認する「comieru」も展示されていた。カメラ前の混雑度も表示できるという。

 そのほか、ASUS Chromeboxのエンタープライズ事例として、シンクライアント的に使う例などが紹介されていた。

デジタルサイネージソリューション「StratosMedia」と「comieru」のデモ
サイネージ画面。ディスプレイの上にカメラが付いている
管理コンソール画面。サイネージ前の人の統計情報も表示される

店舗に置いておける顔認識マシン

 エッジコンピューティングのコーナーでは、日本未発表のエッジ向けコンピューター「PE200U」を使った顔認識をデモしていた。店舗に置いたPE200Uで機械学習のモデルを動かし、カメラの前の人数や性別、年代などを判別する。同じ構成で、例えば工場で物を判別して数えるといった用途にも利用できる。

店舗に置いたエッジデバイスで顔認識を動かし、人数や性別、年代などを判別するデモ

Tinker Boardで画像認識やロボット制御

シングルボードコンピューター「Tinker Board S」(左)と「Tinker Board」(右)

 組み込み向けのコーナーでは、シングルボードコンピューター「Tinker Board S」「Tinker Board」の応用を、国内代理店であるPhysical Computing Lab(TechShare株式会社 Physical Computing事業部)がデモしていた。

 1つめは画像認識。IntelのUSBスティック型ディープラーニング用デバイス「Neural Compute Stick 2」をTinker Board Sに接続し、魚眼レンズのカメラからの映像をリアルタイムで画像認識していた。

画像認識の機材。Intel Compute Stick 2の上にあるのが魚眼レンズのカメラ
カメラからの映像をリアルタイムで画像認識

 2つめはロボット制御。業務用ロボットアームシステム「DOBOT」を操作して物体をつかむところをデモしていた。もともと教育用を想定していたが、机の上サイズの小さなFA用途で引き合いがあるという。

業務用ロボットアームシステム「DOBOT」を操作して物体をつかむ
DOBOT操作のための画面