イベントレポート

CEATEC 2024

米粒大のセンサーが電池レス・無線読み取りで動作、規格はRFIDを元に拡張

慶應大のコンソーシアムが展示

システムで使われるセンサー。電池レス、無線読み取りで利用可能

 10月15日~18日に幕張メッセで開催されている「CEATEC 2024」。慶應義塾大学 後方拡散通信コンソーシアムが、バッテリーなしで無線センサーからのデータを伝送する「同期・マルチチャネルバッテリーフリー無線センシングシステム」を展示した。CEATEC AWARD 2024 ネクストジェネレーション部門賞を受賞したものとなる。

 このシステムは、「RFIDのセンサー版」とでもいえるもの。RFIDのような超小型のセンサーチップを用意し、無線給電でセンサーチップに給電、RFIDのような無線通信でセンサーからのデータを読み取る仕組み。RFIDは決められたデータを返すだけだが、このシステムではセンサーの値を返すため、RFIDよりも応用範囲が広くなる。

無線給電されて動作する基板が形状により右の3種類をサンプルとして作成。左は無線チップ
模型のヘリコプターの回転翼に搭載した例

 システムで考案・開発したのは無線チップ、読み取り装置、無線通信プロトコル。

 無線通信プロトコルは、既存のRFIDの規格を元に拡張したもので、単に「値が取れる」だけでなく、複数のセンサーを同期してデータを読み取れる。例えば「模型のヘリコプターの回転翼に取り付け、それぞれの回転翼の状態をリアルタイムで確認する」といったことをしても、同期して読み取れるため、ズレた値を読み取ってしまうことがないという。無線は920MHzのサブギガ帯を利用し、数m離れたところから給電、データを取得できる。

 また、バッテリーレスで使用でき、RFIDのように小型・軽量なため、上記の回転翼のような、設置困難な場所でも設置し、データを取得することが可能。

スイッチを接続、スイッチの状態を無線で返すという応用例
センサーの回路例。中央の丸い封止部分にセンサーが入っている

 センサーをつないでおき、読み取りの電波を向けたときだけデータを返すため、ある物にシステムを装着しておき、必要なときだけ読み取り機を向けてデータを取り出すということもでき、活用次第で用途が大きく広がる可能性があるという。また、規格としては、様々なセンサーの接続に利用できるとする。