イベントレポート

CEATEC 2024

東北大学、MRAM活用でAI処理の消費電力を1/10以下に、TSMCでの量産も視野

東北大学の「CMOS/スピントロニクス融合AI半導体」

 10月15日~18日に幕張メッセで開催されている「CEATEC 2024」では、東北大学は「CMOS/スピントロニクス融合AI半導体」でCEATEC AWARD 2024 ネクストジェネレーション部門賞を受賞。MRAMを使ったエッジAIコンピューティングにおける大幅な省電力化を展示した。

 省電力化の中心は新しいメモリー「MRAM」を採用したこと。MRAMはPCなどで一般的なDRAMと違い、不揮発性を持ちながら高速に使えるメモリー。省電力化のひとつは、DRAMでは必要な電力消費の大きいリフレッシュ動作がMRAMでは不要なこと。さらにMRAMの動作特性に最適化したメモリー利用などを進めていくことで大幅な消費電力削減を実現するという。

電力消費の新旧比較。100に対して3.71で処理している

 展示を行ったNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のブースでは、AIアクセラレータの重みメモリーに大容量MRAMを搭載するなどし、映像認識AIの高効率実行技術として、AIチップの消費電力を大幅削減することを実演、従来の消費電力を100とすると10以下で処理する様子が公開された。

展示したチップ
技術解説や社会実装のイメージを記したパネル

 消費電力削減は動作時だけでなく待機時も大幅削減、不揮発性によって起動時電力や起動時間の削減も可能。今後、さらにMRAMの特性に合わせたメモリー利用やソフトウェアとすることで消費電力削減もさらに進めることも可能だという。

 また、省電力化ができただけでなく効率的に設計する技術開発なども紹介。半導体受託製造企業のTSMCの16nm次世代FinFETプロセスで製造が可能となることを含め、MRAMの採用効果だけでなく実利用への道筋まで示していた。

技術開発や、試作したチップの詳細