イベントレポート

第22回東京国際ブックフェア

国内図書館での普及率1%未満、“電子図書館”に向けたソリューション

 東京ビッグサイト(東京都江東区)で7月1日~4日に開催中の展示会「第22回東京国際ブックフェア(TIBF2015)」「第19回[国際]電子出版EXPO」から、本記事では“電子図書館”ソリューションの展示ブースを紹介する。

国内ではまだまだこれからの電子図書館向けサービス

 日本電子図書館サービス(JDLS)は、2015年4月より販売を開始した電子図書館サービス「LibrariE(ライブラリエ)」を紹介している。電子書籍の貸出から閲覧まで扱う電子図書館システムに加え、図書館が予算管理を行いながら選書・購入する選書オーダリングシステムを提供する。図書館に対してアクセス権を販売する形で提供し、52回の貸し出しまたは2年間を超えると更新する必要がある。その際、都度課金モデルへの変更も可能。ライセンス料は出版社や著者に一部還元される。

JDLSは、KADOKAWA、講談社、紀伊國屋書店が設立した電子図書館サービスを提供する企業
電子図書館サービス画面

 電子書籍の取次業務を行っているメディアドゥのブースでは、楽天および同社傘下の米Overdriveと共同で電子図書館の日本での展開について紹介している。6月30日には、龍ケ崎市立中央図書館と潮来市立図書館での電子図書館サービス導入を発表しており、龍ケ崎市立中央図書館では7月上旬、潮来市立図書館はサービス準備中だという。ただし、日本での電子図書館サービスの実施割合は全図書館の1%未満だとしており、まずはサービスの認知度向上を図っていくとしている。

2つの図書館で電子図書館サービスを提供開始予定。慶應義塾大学では2014年11月より実証実験として、慶應義塾大学メディアセンターで先行導入しているという
メディアドゥでは、スマートフォン向けビューアーを自社開発
LINEが提供する電子マンガサービス「LINEマンガ」にコンテンツ配信システム「md-dc」を提供している

 大日本印刷(DNP)のブースでは、公共・大学向け電子図書館プラットフォームを紹介している。DNPでは2011年の札幌市中央図書館との実証実験を経て電子図書館サービスを展開しており、2014年4月からはクラウド型電子図書館サービスを提供。現在、全国28館でDNPの電子図書館プラットフォームを採用しており、130の出版社から1万6000タイトルが登録済みだという。ビューアーはブラウザーベースで、図書館から発行されたIDでログインすれば、PCやスマートフォン/タブレットで閲覧できる。

DNPが提供する電子図書館プラットフォーム。公共図書館向けは「TRC-DL」、大学図書館向けに「MARUZEN-DL」として提供している
電子図書館から本を貸し出した場合の画面。電子図書館全般に言えることだが、書籍のライセンス数が貸し出せる本の数に直結するため、借りられない場合は他ユーザーの返却を待つ必要がある。返却期間を過ぎると強制的に返却される
PCブラウザー上で閲覧できるビューアー。エンジンはボイジャー製のものを利用しているという
図書館から発行されるIDでログインすれば、スマートフォン/タブレットなどのデバイスでも利用できる

(山川 晶之)