イベントレポート
CEATEC 2025
石破茂首相「世界で最もAIを開発しやすく、活用しやすい国を目指す」、CEATEC 2025にメッセージ
CEATEC 2025オープニングレセプションレポート
2025年10月15日 09:51
CEATEC 2025のオープニングレセプションが、10月14日午後6時30分から、東京・丸の内のパレスホテル東京で開催された。
会場には、IT/エレクトロニクス産業の経営トップをはじめとする経済界関係者のほか、政府関係者、在日大使館関係者など、約700人が参加した。
石破茂首相「AIおよび半導体分野に10兆円超の公的支援」
石破茂首相がビデオメッセージを寄せ、「世界各国からの数多くの参加者のもとに、CEATEC 2025が盛大に開催されることを心よりお慶びを申し上げる。Innovation for Allをテーマに、最新技術やアイデアの展示だけでなく、未来の社会や暮らしへの貢献を具体的な姿で示し、活発な議論が行われることを期待している。CEATECに、新たに設置されたAXパークでは、生成AI、データ流通インフラ、セキュリティなどの社会のあらゆる領域に広がる最新技術と、乗り越えなくてはならない課題について、研究成果や導入事例、開発プロジェクトなどが、連日にわたって紹介されている」とし、「AIは、イノベーションの加速、リスクへの対応を両立させなくてはならない。世界で最もAIを開発しやすく、世界で最もAIを活用しやすい国を目指し、国家戦略として、省庁を横断して、AIによるイノベーションを本格的に推進し、様々なリスクを予見した規制改革、制度改革を進めていくため、人工知能基本計画の策定を開始した。また、2030年度までに、AIおよび半導体分野に、10兆円以上の公的支援を行う仕組みと財源を確保している。日本の経済、産業の国際競争力を強化し、地方創生の実現につなげることが大切である」などと述べた。
デジタル庁 平将明大臣「世界一、AIフレンドリーな国を目指す」
また、デジタル庁の平将明大臣は、「デジタル庁は、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を、ミッションに掲げている。人手不足が深刻化するなか、デジタルを最大限に活用し、業務の効率や省人化などを進めることは、日本全体の喫緊の課題である。デジタル化による便利さを、国民に実感してもらえるような取り組みをしていく。産業競争力を左右する重要な要素のひとつに、データの効果的な連携と利活用がある。だが、組織を超えたデータ連携環境は整備されているとは言えない。また、生成AIの利用によって生産性を指数関数的に向上させることができると考えており、日本は、世界一、AIフレンドリーな国を目指す。企業では、業務におけるAIの積極的な利活用に取り組んでもらいたい。さらに、今年は、ボディや手足を持ったフィジカルAIの開発が進み、生活が大きく変わる。ここでは、日本が得意とする伝統的なモノづくりの重要性に光があたりつつある。日本の国際競争力強化につながることを期待している」と語った。
経済産業省 古賀友一郎副大臣「新しいイノベーションの実現を後押し」
経済産業省の古賀友一郎副大臣は、「CEATEC 2025には、幅広い出展者が集まり、AIに注力した展示やコンファレンスが行われている。生成AIは、イノベーションそのものであり、様々な分野にイノベーションを起こすことが期待されている。日本の経済産業の成長には、生成AIの社会実装を的確に進めていくことが求められている。デジタル産業の力強い成長を実現するために、絶え間ない努力と、若い人たちの柔軟な発想をもとに、新しいイノベーションの実現を後押ししたい」と語った。
総務省 川崎ひでと大臣政務官「オール光ネットワークを中核とするデジタルインフラを整備」
また、総務省 大臣政務官の川崎ひでと氏は、「総務省は、人口減少社会において、イノベーションを創出し、経済成長を実現することを目指しており、CEATECの理念に共感している。イノベーションの創出のためにも、AIの活用をはじめとする社会DXの加速が不可欠であり、とくに、地方でDXを推進するには、ゲームチェンジャーとして期待されるオール光ネットワークを中核とする新たなデジタルインフラの実現が必要になり、この整備を強力に進めていくことになる。情報通信分野の発展のための議論を重ね、時代を先取りする改革に積極的に取り組む」とした。
JEITA 漆間啓会長 「すべての人に恩恵をもたらすイノベーションを」
一方、主催者である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の漆間啓会長(三菱電機社長)は、「CEATECは、今年で26回目の開催となる。Society 5.0を旗印に、あらゆる産業、業種の人と技術、情報が集うデジタルイノベーションの総合展示会として、持続可能な社会を拓くイノベーションや、未来を支える研究開発の成果が披露されている。テーマは、Innovation for Allであり、業界や国境を越えて、すべての人に恩恵をもたらすイノベーションの実現を目指す理念を体現した展示会となっている。イノベーションは、限られた人のものではなく、誰もが創出し、享受できるものである。テクノロジーや社会、暮らしへの貢献を具体的に示すことで、多くの人々の共感と参画を促し、イノベーションの社会実装を加速させる契機にしたい」と述べた。
経団連 東原敏昭審議員会副議長「AIによる価値向上は社会実装のタイミングに」
乾杯の音頭をとった一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の東原敏昭審議員会副議長(日立製作所会長)は、「いよいよ社会実装のタイミングに入ってきた。CEATEC 2025では、AIを活用しながら、価値観を高めることが求められており、大きな意義を持つ。会社のなかにあるデータを、競争データと協調データに区別し、データ連携によって新たな価値を生み出すことがポイントになるだろう。CEATEC 2025で掲げたInnovation for Allのテーマが示すように、みんなが参加する社会を作る必要がある。そのために、データ連携を行い、明るい未来を作っていこう」と呼びかけた。
CEATEC AWARD授賞式も開催
「CEATEC AWARD 2025」の表彰式も行われた。
総務大臣賞は、シャープの「電子制御式フェーズドアレイアンテナ搭載小型・軽量LEO衛星向けユーザー端末試作機」が受賞。経済産業大臣賞は、NTTドコモの「“痛み”の共有による相互理解の深化を実現するプラットフォーム」が受賞。そして、デジタル大臣賞は、村田製作所の「AI時代の信頼できる音声入力を実現するマスク装着型デバイス mask voice clip」が、それぞれ受賞した。