イベントレポート
International Space Apps Challenge Tokyo 2013
NASAやJAXAのデータを活用するアプリのアイデアソン、日本科学未来館で開催
(2013/3/25 15:47)
米国航空宇宙局(NASA)や日本の独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが公開している宇宙・地球環境・衛星関連のデータを利用してアプリ開発などを行う、世界規模のハッカソン「International Space Apps Challenge(ISAC)」が4月20日・21日に開催される。
日本でも東京大学・駒場リサーチキャンパスで同日、「International Space Apps Challenge Tokyo(ISAC Tokyo)2013」が開催予定だ。これに先立って3月24日、アイデアソン(参加者がアイデアを出し合うイベント)と呼ばれるプレイベントが東京・青海の日本科学未来館にて開催された。
ISACの開催は昨年に続いて今年で2回目。昨年と同様、NASAやJAXAが公開しているデータを使ってソフトウェアやハードウェアの開発、市民科学、データ可視化といった問題解決のプロジェクトを行うことが目的だ。
昨年の事前アイデアソンは東京・渋谷のデンソーITラボラトリーにて行われたが、今年は日本科学未来館の巨大地球儀「Geo-Cosmos」を見上げる1階のシンボルゾーンでの開催となった。
このアイデアソンは、日本科学未来館による地球をテーマにしたイベント「全員集合! つながりプロジェクト2013 10日間の地球合宿」の一環。同じ日の午前には、JAXAおよび多摩美術大学、東京工科大学、株式会社電通が主催する「JAXA Open API 2013」の最終報告会も開催された。小惑星探査機「はやぶさ」のデータを使ったAPIを活用した学生の作品を発表するイベントで、ISAC Tokyoとも連携している。会場では学生の作品の展示スペースが設けられ、小惑星「イトカワ」に水をあげると表面にいろいろなものが生えてくる「栽培☆すくすくイトカワ」や、イトカワから砂を回収するゲーム「Itokawa Lander」、はやぶさの軌道を体験できる「ドキドキ★はやぶさの旅」など多彩な作品が展示された。
午後のISACのアイデアソンでは、事務局長の関治之氏による挨拶のあと、Google マップ上で衛星を追跡するウェブアプリ「GoogleSatTrack」の開発者でもある自然科学書編集者/科学系ライターの柏井勇魚氏による昨年の作品解説が行われた。そしていよいよアイデアソンがスタート。ここでは未来志向の会議手法「視覚会議」を展開する株式会社ラーニングプロセスの代表取締役である矢吹博和氏がファシリテーターとなって進行を取り仕切った。
まずは自己紹介を書いたスケッチブックを見せながら自己紹介する“アイスブレイク”を実施。次に2人がペアを組んで短い時間ずつ対話していく“スピードストーミング”、アイデアをスケッチブックに書く“アイデアスケッチ”などを実施した。さらにグループごとにテーブルにアイデアを並べ、各人がやってみたいアイデアに印を付けていく作業を行った。
最後に、人気上位のアイデアの中からハッカソン本番で開発するプロジェクトを選定する“トップアイデアレビュー”を実施し、各アイデアごとに必要なメンバーを募集した。そして各人が参加したいチームを選び、チームごとにブレストを実施した。
今回のアイデアソンで決まったのは、日本科学未来館のGeo-Cosmosを自分の部屋に再現する「Geo-Cosmosを部屋で体験」、体調不良のデータと宇宙観測データとの相関を解析する「宇宙の天候と私の健康」、宇宙の電磁波の音をサンプリングして、宇宙の映像と組み合わせて楽しむウェブアプリ「Radiation Bach~宇宙の音楽を体験~」、「ソーラーパネル設置箇所 選定アプリ」、今の文化的価値観で新しい星座を一から作る「新しい星座を作ろう!」、気に入ったデブリ(宇宙ゴミ)にタグ付けしてモニタリングする「“マイデブリ”にタグつけ!」、月や火星の地形画像を認識して人の顔などを探す「宇宙文明発見」、動画・写真や地球・気象観測衛星の情報、天気予報の情報などをリアルタイムに地図上に反映させるプロジェクトなど、計13プロジェクト(すべて仮題)。
今後のスケジュールとしては、4月5日に東京・渋谷の「FabLab Shibuya」にて、3Dプリンターの使い方などを学べるハードウェアアイデアソンを実施。さらに前述した通り4月20・21日の2日間にわたって東京大学・駒場リサーチキャンパスにてハッカソンの本イベントが開催される。会場には21日朝まで3Dプリンターを設置する予定で、21日の午前中はFabLab Shibuyaでレーザーカッターや大型の機材を利用して成果品を出力できる「ものづくりコアタイム」も設けられる。そして21日午後に各作品のプレゼンテーションや有識者による審査により優秀作品および本選に送り出される作品が決定される。
事務局長の関氏はアイデアソンを終えて、「昨年のプレイベントではアイデアをブラッシュアップする時間はあまりなかったのですが、今回はアイデアそのものを深めることができてよかったです。今回のアイデアソンに参加できなかった人も、本番に来ていただければ誰でも必ず貢献できる場所があるので、エンジニア以外の方もぜひお越しください!」とコメントした。
特に現状ではデザイナーが不足しており、多くのチームで募集中だという。また、各チームはアプリやサービスの開発とともに本番最終日にはプロジェクトの成果をプレゼンテーションする必要があり、その資料作りを行うスタッフも求められている。プログラミングの知識がなくても宇宙が好きなら誰でも参加可能というこのイベント、興味のある人は参加してみてはいかがだろうか。