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「WD Red」12万台のビッグデータからHDDの故障を予測、アイ・オーが法人向けNASで「予兆通知サービス」
2017年11月15日 11:00
株式会社アイ・オー・データ機器は15日、法人向けNASの監視サービス「NarSuS」に、「LANDISK H/X」シリーズを対象とした「予兆通知サービス」を追加する。NarSuS加入者は無料で利用できる。
NAS監視サービス「NarSuS」とは?
NarSuSは、NASからNarSuSサーバーにアップロードしたデータに基づいて、管理者がウェブ上でNASの稼働状況を確認できるサービス。
異常検知をメール通知したり、HDD障害通知とともに、どのように復旧するかの手順までを案内する。具体的には、故障時にHDDを入れ替える場合には、カートリッジの取り出し方や、挿入の仕方のガイダンスまでを管理画面に表示するという。
同社の氷見潤一郎氏(事業戦略本部販売促進部販売促進課リーダー)は、通常、障害発生時にサポートに連絡した際に、センターが混み合っていてつながらなかったり、オペレーターにNASの状況をうまく伝えられないといった例を挙げた。そうしたときには「何度か電話でやり取りが発生し、復旧に時間がかかってしまうこともある」とし、事前にNASの稼働や故障の状況に関するデータをサーバーにアップロードしておくことで、「復旧時間を大きく短縮できるメリットがある」とした。
新提供する「予兆通知サービス」のメリットは?
新たに提供する予兆通知サービスは、HDDのS.M.A.R.T.情報だけでなく、ビッグデータに基づいた独自技術によりHDDの故障前にメールで通知するサービス。
同社の法人向けNAS全製品では、Western Digitalの「WD Red」シリーズを搭載している。これまでの6年間において、12万台のWD Redの稼働状況を収集しており、ここから得られたビッグデータに基づいて、故障の予兆をメールで通知するという。
通常はWD Redの保証期間は2年となっているが、同社では独自に3年間の保証期間を設けている。これも、こうしたビッグデータに基づいて決定しているのだという。
氷見氏は、「突発的に故障が起きると即時対応が求められ、作業のスケジュール化ができず管理者業務が圧迫される」とし、さらに「NASに置かれたデータを活用する部署からの問い合わせへの対応にも時間を要する」とした。
また、実際にNAS HDDの故障時には、「予備機材がなければ予算化して承認を経て発注し、さらに到着するまでの時間や、交換作業の時間も各部署と調整する必要がある」と述べ、「その間にもし、残りのHDDが故障すればデータ全消失につながる危険性がある」とした。
予兆通知サービスで、故障が事前に通知されれれば、事前に機材準備やメンテナンス日の調整を行えるなど、管理者業務の負担を軽減できる
有償保守サービス「ISS」加入で故障前に交換用HDDを提供
同社の有償保守サービスである「ISS(アイオー・セーフティ・サービス)」では、故障交換の通常保証に加えて、予兆通知時も交換に対応しており、加入していれば、無償でのHDD交換を行うという。
予兆通知時が発行されると、メールとともに連絡が行われ、訪問しての「オンサイト保守」の日程調整や、代わりの機材を送って先方で管理者自身がディスクを交換する「デリバリー保守」の発送タイミング調整などが進められるという。氷見氏は「まだ故障していないHDDの交換となり、サポートとしては手厚い」とした。
現在、同社の法人NAS製品購入者のISS加入率は約3割とのことだ。通常、ISS保守サービスはNASの購入と同時に加入するものだが、購入から48カ月後までは加入できるという。今回の予兆通知サービスの提供により、今後はこの加入率をより高めるとともに、LANDISK H/Xシリーズ以外にも、サービスの提供を拡大していく予定だという。