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公衆無線LANの接続速度が10倍、通信効率が30%向上、認証プログラムの実証実験で、KDDIやQualcommなど5社

 KDDI、Qualcomm、Ruckus Networks、シャープ、HTCの5社は22日、公衆無線LAN向け認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」の「Vantage 2」機能に基づく品質改善技術のフィールドトライアルを実施し、通信効率が30%改善し、アクセスポイントへの接続速度が最大10倍に向上する効果が得られたと発表した。

 フィールドトライアルは、「au Wi-Fi SPOT」の一部エリア(東京都渋谷区)で、Qualcommのチップセット「IPQ806x」と「QCA99xx」で動作するSnapdragon 845搭載モバイルクライアントと、Ruckus Networksのアクセスポイント「R610」または「R710」を用いて実施された。HTCとシャープは、実証実験のサポートを行ったという。

 Wi-Fi CERTIFIED Vantageは、Wi-Fi Allianceによる国際標準技術。このうちVantage 2機能は、空港、駅など混雑したキャリアWi-Fiネットワークでも高いネットワーク効率と容易で品質の良いWi-Fi接続を提供するために開発されたもの。

 認定プログラムによって提供されるマネージドWi-Fiネットワークにより、容易な認証とセキュアなアクセスなどの機能を提供、「ユーザーにとってシームレスな認証と接続が可能になる(Wi-Fi Allianceマーケティング担当バイス・プレジデントのケヴィン・ロビンソン氏)」とされる。

 また、新機能である「アジャイルマルチバンド」により、ネットワーク側からクライアントへ帯域やチャネルなどの情報が提供され、最適な環境にアクセス可能になるほか、前から接続しているアクセスポイントに接続し続ける状況を指す「スティッキークライアント」のふるまいも排除できるという。

 KDDIによれば、今回実証した品質改善技術は、「混雑時の通信効率を改善する技術」「電波が不安定な状況において接続しない技術」「公衆無線LANへの接続時間を短縮する技術」の3要素から構成されている。

 KDDIでは、訪日外国人の増加やイベントにおけるトラフィックの急増、災害時のWi-Fi無料開放など、公衆無線LANが混雑するシーンの増加に対し、ユーザーがストレスなく公衆無線LANを利用できるための対策を継続的に実施しており、今回の取り組みはその一環だという。

 そして、今回の結果も踏まえ、現在提供しているau Wi-Fi SPOTをより快適に利用できるよう、将来的には「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」の商用導入を検討するほか、さらなる品質向上に向けて取り組むとしている。