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「ウイルスバスター」最新版発売、AI強化で脅威を予測してブロックできるように、「決済保護ブラウザ」も新搭載

トレンドマイクロ株式会社取締役副社長の大三川彰彦氏(9月6日に行われた記者発表会で)

 トレンドマイクロ株式会社は6日、セキュリティソフト「ウイルスバスター」シリーズの最新版を発売した。主にWindows/Mac版とAndroid版で新機能の追加や機能強化が行われている。ダウンロード版は同日11時より販売を開始、追って9月13日より店頭でのパッケージ版が販売される。

ふるまいを予測して攻撃を未然に防げるように進化

 Windows向けの機能として、ファイルの実行前にふるまいを予測するAI技術が新たに搭載された。これにより、マルウェアなどの脅威を未然に防げるようになったという。具体的には、ファイルの特徴をもとにした解析と、ファイルの特徴からふるまいを予測する解析を実行前に組み合わせたハイブリッドモデルのAI技術を採用することで高精度の検出を実現したという。

「ハイブリッドモデル」による機械学習型スキャンのイメージ

 従来は、ファイルの実行前に侵入経路やファイル形式、プログラムの書き方などのファイルの特徴を静的に解析する機械学習型スキャンと、ファイルの実行時に通信先や実行されるプロセスなどのふるまいを動的に解析する機械学習型スキャンを使用してきた。しかし、コードの難読化が施されたダウンローダーではファイルの特徴から脅威を判定するのが難しくなっており、ふるまいを予測する学習モデルの作成の必要性が出てきたという。

従来の機械学習型スキャンのイメージ

 なお、ハイブリッドモデルでの解析はJavaScriptのみが対象となり、実行ファイルの解析では、従来型の機械学習型スキャンで行われるとしている。

「ハイブリッドモデル」でファイル実行前の検知を行うが、実行された場合でも従来型の機械学習型スキャンを行う

 MacとAndroid向けにもAI技術を活用した機械学習型スキャン機能を新たに搭載した。こちらは実行前のファイルの特徴を元にした解析のみの対応となる。

MacとAndroid向けにAI技術を活用した機械学習型スキャン機能を搭載

新たに「決済保護ブラウザ」搭載、サポート詐欺/偽警告対策機能もAIで強化

 さらに、Windows向けの機能として、偽の警告画面で偽のサポート窓口へ連絡を促すような、サポート詐欺/偽警告への対策機能にもAI技術を搭載した。

 トレンドマイクロによれば、サポート詐欺/偽警告に関する問い合わせが年々増加しており、2018年7月時点で昨年1年間の相談件数を大きく上回る状態だという。そこで新機能では、サポート詐欺/偽警告サイト特有の構造上の特徴をパターン化して検出する従来の機能に加えて、詐欺サイトの構造やスクリプトの特徴を学習することで、パターンでは検出が困難なサポート詐欺/偽警告サイトへのアクセスを未然にブロックするとしている。

サポート詐欺/偽警告サイトの検知画面

 このほか、Windows向けにはネットバンキングやネットショッピング利用時の口座情報やクレジットカード番号を狙った攻撃から保護する「決済保護ブラウザ」を新たに搭載した。同機能利用時はブラウザーの周りに青い枠と、「ウイルスバスターで保護されています」というメッセージが表示される。

「決済保護ブラウザ」利用時の画面

 Android向けには、LINEやFacebookなどのアプリ内ウェブブラウザー利用時に、フィッシング詐欺サイトなどへのアクセスをブロックするウェブ脅威対策機能に対応した。元々、iOS向けに搭載されていた機能になる。

 トレンドマイクロプロダクトマネージャの木野剛志氏は、6日に行われた製品発表会でウイルスバスターの新機能に触れつつ、「常に先進の技術を提供することで、ユーザーを保護していきたい」と語った。

トレンドマイクロ株式会社プロダクトマネージャの木野剛志氏

製品ラインアップ・価格

 マルチデバイス対応の「ウイルスバスター クラウド」は、Windows/Mac/Android/iOSの端末3台までで使用可能。トレンドマイクロ・オンラインショップでの販売価格は、1年版のダウンロード版が5380円(税込)、Android/iOS向けの「ウイルスバスター モバイル」1年版のダウンロード版が3065円(税込)。PC/スマートフォンやインターネットの接続トラブルなどの問い合わせに24時間365日対応するサポートサービスをバンドルした「ウイルスバスター クラウド+デジタルライフサポート プレミアム」は、1年版のダウンロード版が7980円(税込)。

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