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カスペルスキー新社長に藤岡健氏、3年後の売上高2.5倍を目標に サブスクリプションビジネスも推進

株式会社カスペルスキー代表取締役社長の藤岡健氏

 1月1日付で株式会社カスペルスキーの代表取締役社長に藤岡健氏が就任した。新社長の藤岡氏は、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズやソニックウォール・ジャパンで代表取締役社長を務めた経歴を持つ。2月13日に行われた新社長就任記者会見では、2021年度の売上高を2018年度の2.5倍にすることを目標として掲げた。

 国内ビジネスの状況に関しては、2015年度の売上実績と比較すると2018年度にはコンシューマー事業で1.37倍、法人事業で1.79倍、全体で1.6倍の規模に成長しているという。

 今後のコンシューマー事業の展開については、ブランドマーケティングやセキュリティに関する啓発活動、情報発信の強化、サブスクリプションビジネスを推進するという。また、ユーザーが使いやすい新製品の投入を近々計画しており、3年後には2倍の売上高を目指す。

 サブスクリプションについては、全体の2~3割の売上になることを想定している。新規ユーザーの獲得を目的としており、導入までの敷居を下げることで最終的には長期間にわたり利用してもらうことを目指す。

 法人ビジネス事業に関しては、パートナー企業との協業によるMSPビジネスの展開、脅威別に細分化された製品・サービスの投入、サブスクリプションやOEM事業の拡大、パートナープログラムの刷新と営業体制の強化を主要戦略として掲げる。

 国内におけるCSR活動については、教員や子ども向けに情報セキュリティ啓発教材などを展開しており、教員向けのウェブサービス「情報モラル診断サービス」は3万人、児童・生徒や保護者向けのウェブサービス「ジュニアスマホ検定」は2万人が利用した実績があるという。今後もこれらのコンテンツの強化や、啓発活動にも力を入れるとしている。

 このほか、同社製品の透明性を証明するための取り組みも積極的に行う姿勢を見せている。データの保存・処理を行うサーバーをロシアからスイスへ移管しており、2019年以降は日本を含む他国のデータ移転を開始する予定だ。さらに、同社が使用するツールやソースコードを第三者組織が監査・検証するための施設「Transparency Center」もアジア圏や北米にも開設するとしている。

 米政府は安全保障上の理由からカスペルスキー製品の使用を禁止しているが、藤岡氏は同社の製品がスパイ行為を行っていないと否定しながらも、第三者機関による監査で透明性を確保することが必要だと説明する。「疑われているものに対する原因究明は日々行っている。会社としてコメントすべきものに関しては公式な発表というかたちで出していきたい」とコメントした。