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大規模災害時は「公衆電話」の利用を――NTT東日本が認知向上へ新たな取り組み
「はじめての公衆電話」子ども向けに解説、360度VRコンテンツも
2019年3月8日 06:20
2011年3月11日に発生した東日本大震災から8年が経つ。このような大規模災害が発生したとき、電話による安否確認が増えるため、固定電話や携帯電話は発着信に対して規制がかかることがある。そのような事態になった場合、「公衆電話」を思い出してほしい。公衆電話は、通信規制の対象外として優先的に扱われる「災害時優先電話」に指定されているからだ。また、停電になっても公衆電話には交換局から電気が供給されるため、硬貨があれば利用できる。災害時における公衆電話の重要性は高い。
「公衆電話を使ったことがない」小学生では77%
しかし、こうしたことは周知されていないようだ。東日本電信電話株式会社(NTT東日本)が実施した北海道胆振東部地震の被災者を対象に行ったアンケートでは、被災時に家族や知人に連絡を取ろうと思った際、「電話(携帯電話やスマートフォンを含む)」「メール」「インターネット(LINEやSNSを含む)」以外で想起された連絡手段について、「わからない・諦める」「直接会いに行く」という回答が合計64.8%に上った。その一方で「公衆電話」と回答したのは12.8%にとどまったとしている。このことから、公衆電話は災害時の連絡手段として認知されていないのが現状だと言える。
小学生においては、77%が公衆電話を使ったことがなく、27.3%はそもそも公衆電話の存在を知らないとしている。
なお、これらのアンケートは、2018年11月にインターネットを用いて全国の小学生の子どもを持つ親400人と、北海道胆振東部地震の被災者400人を対象に行われた。
子ども向けに「はじめての公衆電話」解説、360度VRコンテンツも
NTT東日本では、このような現状を打開するため、2018年に2200校の小学校にポスターを貼ったり、90万枚のチラシを配ったりして公衆電話の認知度を上げる活動を行った。さらに、子どもを対象とした公衆電話教室も実施している。
また、NTT東日本では、子どもに向けた「はじめての公衆電話キッズページ」を開設する。ここでは、公衆電話のかけ方やまんが、クイズ、VRを用いたコンテンツを提供する。
全国の公衆電話は16万台に減少、その一方で自治体と協力して「災害時用公衆電話」配備
NTT東日本では災害時における公衆電話の重要性をアピールしているが、ピーク時の1984年度には全国に93万台設置されて公衆電話が、2017年度は16万台にまで減っている。
そのためNTT東日本では、自治体と協力して、災害時に無料で使える「災害時用公衆電話(特設公衆電話)」を事前に配備。その数はNTT東日本管轄内で、2011年は約7000台だったが、現在は約4万6000台にまで増えている。
また、どこに公衆電話が設置されているのか思い浮かばない人も多いだろう。NTT東西では、それぞれ公衆電話の設置場所を公開しているので、自宅や職場の近くの公衆電話の場所をあらかじめ調べておくと、いざというときにすぐに連絡が取れるだろう。現在も災害時を含む通信手段の確保のため、概ね500m~1km四方に1台設置しているとしている。