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日本マイクロソフト、TeamsとJiraやTrelloとの連携を紹介
「ATLASSIAN TEAM TOUR」でアドオンアプリで各種サービスと連携ができると強調
2021年2月19日 08:25
JiraやTrelloなどのSaaS(Software as a Service)形式の法人向けソフトウェアを提供する豪州のソフトウェアベンダー「Atlassian」の日本法人となる「アトラシアン株式会社」(以下、両社合わせてアトラシアン)は、2月17日に「ATLASSIAN TEAM TOUR」というオンラインイベントを開催し、同社のソフトウェアソリューションに関する各種の発表や解説などを行った。
2月17日の午前中に行われた基調講演では、同社の主力製品の1つであるTrelloに関する新しい発表(別記事『Trelloが大幅に機能を刷新! アトラシアン式ガントチャートとは?』)が行われたほか、午後には各製品の詳細を説明する分科会が行われた。この中の1つには「コラボレーションプラットフォームとして進化するMicrosoft Teams」と題した、日本マイクロソフト株式会社の春日井良隆氏(Microsoft 365ビジネス本部エグゼクティブ・プロダクト・マーケティング・マネージャー)による講演が行われ、Teamsとアトラシアン製品の活用などについての説明が行われた。
Teamsにサードパーティーの機能追加で利便性をアップ
春日井氏は米Microsoft CEOのサティヤ・ナデラ氏の言葉「この2カ月で、2年分のデジタル変革が起きた」という言葉を引いて、デジタル変革やデジタルトランスフォーメーション(DX)などの言葉に象徴されるような様々なビジネスなどのデジタル化が急速に進んでいるという現状を表現した。
その上で春日井氏は「こうした状況になる前のグローバルにおける1日あたりのTeamsのユーザー数は4400万人だった。それが2020年の4月には7500万人に急増し、2020年の10月には1億1500万人へと増加している。日本でも日経225企業の84%が利用している」と述べ、COVID-19のパンデミックによって起こった社会の急速なDX化などの影響によりTeamsを利用しているユーザー数が劇的に増えていることを強調した。
そのTeamsの特徴について春日井氏は「Teamsはチャット、通話、ウェブ会議、ファイル共有などが1つで済むという特徴があり、Microsoft 365の機能の1つとして提供されていること」と述べ、Officeアプリケーションや電子メールシステムやそのほかのクラウドサービスがセットになっているMicrosoft 365を契約することで、他社であればそれぞれ別々に提供されている機能が1つのサブスクリプション契約で提供されるのがメリットだと強調した。
春日井氏は日本のビジネスシーンで当たり前に使われているWord、Excel、PowerPointなどのOfficeアプリケーションのハブとしての役目がTeamsにはあると述べ、さらにTeams向けに提供されているアドオンアプリを追加することで、Teamsに様々な機能を追加できることを強調し、その具体的な例として、Adobe SignのTeamsアプリを紹介した。
Adobe SignはAdobeが提供している電子署名のプラットフォームで、SaaSとして提供されている。具体的にはユーザーのクライアントデバイスにペンデバイスなどを利用して署名する仕組みで、欧米では手書きの署名の代替として、日本では印影の代替として利用されている。クライアントアプリとしてはAdobe自身が提供しているAcrobatなどが使えるが、Teams向けにもアプリを提供しており、Teamsの中でAdobe Signの電子署名をすることが可能になっている。
春日井氏は「こうしたTeamsのアプリは2021年1月現在、770に達しており、今後も増える見通しだ」と述べ、Teamsをサードパーティーのアプリケーションと組み合わせて使うとよりユーザーの利便性が向上すると強調した。
アドオンアプリでJiraやTrelloもTeamsから利用可能に
そして春日井氏は今回のお題であるアトラシアンとの連携について触れ、「JiraやTrelloなどのアトラシアンのサービスとTeamsを連携させることが可能だ」と述べ、その具体的なデモをアトラシアン株式会社の皆川宜宏氏(ソリューションエンジニア)が行った。
皆川氏はTeamsのチーム(Slackでいうところのチャンネル)からJiraのサービスを呼び出し、Jiraで進行しているプロジェクトをTeamsから呼び出せるようにする様子などのデモを行った。またTrelloに関しても同様で、TeamsのチームにTrelloで進行している採用のプロセスを取り込むなどのデモを行った。
春日井氏はこうしたTeamsのアドオンアプリに関しては、Microsoft自身が提供するもの、そしてAdobeやアトラシアンの例のようにサードパーティーが提供するものを利用することができるほかに、MicrosoftがPower Platformと呼ぶPower BIなどのツールや、自社でツールを開発して利用することなどが可能と説明した。
春日井氏は「Teamsはウェブブラウザーのようなものだと考えていただけると分かりやすいと思う。したがってウェブアプリを作るような感覚でTeamsのアプリを構築することができる。それだけでなくローコード(筆者注:C言語のようなプログラミング言語ではなく、GUIでアイコンを置いていくなどの作業でプログラムを構築していくこと)で開発も可能だ。Microsoftが提供するPower Appsを利用することでそうしたことが可能だ」と述べ、同社としてはビジネスユーザーにはウェブアプリやPower Appsなどのようなローコードのツールを利用して手軽にTeamsアプリを構築することができるのでぜひ取り組んで欲しいとアピールした。
このほか、春日井氏は同社がファーストラインワーカーと呼んでいる現場での作業労働者に向けたソリューションとしてAndroidのウェアラブルデバイスとTeamsを組み合わせて提供していることを紹介したほか、Teamsでは日本のユーザーがデータを保管するデータセンターとして東日本と西日本のデータセンターが標準になっていることを強調し、HIPAA/GDPRなどの国際的なプライバシーの基準にも対応しているため安心して利用できると強調した。
Teamsの新機能を紹介
最後に春日井氏は最近実装された、あるいはこれから実装される予定のTeamsの新機能について説明した。Togetherモード(日本語版では集合モード)は、いわゆるタイル表示から人間だけを切り抜いて、シアターだったり、カフェだったりと、もう少しフレンドリーな背景にマージして表示するモード。既に日本でも展開されており、人数が多い時のミーティングなどに使うとよりフレンドリーなかたちでミーティングできる。
2021年春に展開予定の「カスタムレイアウト」はスピーカーを右端に表示し、PowerPointのプレゼンテーションをその後ろに表示するという、テレビのニュースや天気予報などで利用される手法をTeamsに適用したものとなる。また、テレワーク/リモートワークで注目されている従業員の福利厚生を実現する「ウェルビーイング」などについて説明した。